裏通りメインストリート

道星毛糸

〜プロローグとして。とある粗暴な男の語り〜

ん。なんだ見ねぇ顔だなぁ。

この町は初めてかい?


ようこそ、裏通りメインストリートへ。


ここじゃいろんなことがアングラに還っちまう。

治外法権なんて言葉で一括りにすんのも生温い。

生き残りたきゃ、せいぜい一人で生きる術を見出すか、信頼できる仲間を見つけることだな。


でなきゃ、明日の日の出を拝めねぇぜ。


あん? なんで裏通りなのに、メインストリートかって?


そんなの簡単さ。ここは地名が“裏町”ってんだ。


だからここの通りは、メインでも裏通りなのさ。面白ぇよな。


“ねぇ、何してるの~? 早く行こうよぉ~”


あぁ、悪い悪い。今行くよ!

ははっ、連れに呼ばれちまったぜ。


つーか、お前。さっきからそんなとこで座り込んで、寒くねーのか? おーい!


(肩を揺さぶり、察する)


…あらら。ふっ、なんだよ。忠告が少し遅かったみてぇだな。


はぁ、つくづく新入りを歓迎しない町だぜ。ったくよ。


まぁ、気が付けねぇで一人語りしてる俺も、オーバードーズ気味だわな。控えねぇと。


危うく、同じ穴の狢になっちまうぜ。はははっ。

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