第8話 木の実を求めて
ソフィは枝と枝を凍結させて、道を作っていた。木の上で迷彩柄のローブを纏った五つある身をもぎ取っている。四つ目を取り終え、五つ目を取ろうとして手をひっこめた。
木の実を空間魔法を施したポーチの中に入れると立ち上がる。
「これで材料は揃いました。そろそろ帰りますか」
元来た道を歩きだし、枝の継ぎ目に立つと足を止めた。
進行方向に小型犬並みの体格で手足が生え、靴を履いたクワガタが立っていた。振り返り、木の実を見ると同じ体格を持った、リスがいた。下を見ると蟻が行進をしている。
「下は駄目ですか」ソフィは右手に杖を持ち、魔力を込めると左手の杖に赤色の紋章が浮かび上がった。{Los」と囁く。足元の連結させていた氷が溶けだした。ポケットから石ころを取り出し、リスに向かって投げた。石は放物線を描き、リスを飛び越える。そして、ソフィはリスに向かって走り出す。リスは口を開けて、ソフィを待ち構える。
リスは飛びかかろうとして、動きを止めた。リスの横を通り過ぎるソフィ、リスの胴体は木の実に擬態した木の実に目と鼻と口がある。生物に食われていた。クワガタは凍結が解除されて跳ね上がった木の枝に進行を阻まれていた。
「身体能力を上げるのは余分に体力を消耗するし、魔力を消耗するので使いたくはないのですが」
ソフィは自分に杖を向ける。
「Wallfahrt(巡れ)」
そう呟くとソフィはその場から数メートル離れた木へ飛び移った
ソフィは歩きの上で止まるとふうっと息を吐き、その木に生えている木の実を取り、周囲を確認する。何もないことが分かると水筒に口を付け、水分を補給し、塩を舐める。。
左耳のイヤリングを外し、口づけをすると水色だったイヤリングが琥珀色に変わる。木の上から周囲を見渡すと大きな蛇がいるのが見えた。木の上にある。木の実を取ると木の実に杖を向ける。杖から赤い紋章が浮かび上がる「Los」と呟くと木の実を蛇の方に投げた。蛇は木の実を追い、木の実を齧ると木の実は黒く変色した。ソフィは木を降りて歩き出す。
「おい」と背後から呼びかけられた。
杖を構えて振り返ると木に赤い目と赤い口が開かれていた。樹は芝居じみた声で言う「おいおい、痛いじゃないか」
ソフィは足元を見ると、木の根っこが絡みついていた「どうもすいません、まさか魔霊樹とは思いませんでした」
「全く、蛇は熱で感知して獲物を認識するだから、実を温めて、囮に使った。人間にしては知恵を使うじゃないか。ともかく木の実を取ったんだ、支払うものがあるだろう?」
「何のことでしょうか」
「知ってるぞ。お前達、材料を採取する奴はとったものに対して、対価を支払わないといけないルールがあるんだろう?」
ソフィはふぅっとため息を吐く。
「その通りです。ではお返しに」
ソフィは右耳のイヤリングを外そうとする。
「おいおい、そんな魔力じゃ足りないだろう、俺らがどれくらいの栄養であれを作ると思ってるんだ」
イヤリングから液が一粒こぼれた。木の上では木の実が一個出来上がった
「では、どうしろと」
「ポーチの中にそれに見合うものがあるだろう」
ソフィはポーチをぎゅっと抑える。木は口を綻ばせる「おいおい、4個も取っといて、それはないだろう。俺たちは情報を共有してるんだ。知ってるんだぜ、あの化け果実を囮にしたんだろう?」
訝しげな顔で見つめるソフィ
「へぇ、それは凄いですね」
「その顔は信じてないな、じゃあ、証拠を見せよう」
近くの樹から実が落ちた。木の根が動いて木の実がソフィの近くに飛んできた「なあ、言った通りだろう?」蛇が木の実を追ってきた。ソフィの近くに蛇が寄る。ソフィは両手に杖を持ち頭上に向ける。右手の杖から青い魔法陣が浮かび上がり、左手の杖から緑の魔法陣が浮かびあがった「Los(行け)」ソフィが呟くとソフィに水が降る注ぎ風が吹いて、全体を揺らした。蛇が寄ってきて、ソフィと見つめあった。ソフィを探知できなかった蛇は木の実を追う。
「体を冷やして、探知を免れるとは」ソフィは肩を撫でおろす。
「おいおい、頼むよ。こっちは腹ペコなんだ」ソフィは腰から刃の背にギザギザがついたコンバットナイフを持ち、掴まれている木の根を切ろうとする。「分かった、取引しよう、闇の者の契約だ。お前も知ってるだろう。闇の者の取引は絶対だと」
ソフィの手が止まる。
「何をしてくれるんですか?」
「あの蛇をどうにかしてやる」
「貴方は私を食べれば済むんじゃないですか」
「お前たちは自分たちのことをどう思っているかは知らんが、人間の肉は不味いからな、旨いのは注射針が何個もある奴と発狂している奴の脳だけだ」
「それだけですか」
「この場を凌げるだけでも、いい筈なのにがめつい奴だ。お前の今後に役だつものをやる。私から必要なものが出てくるのでな。ついでにちょっとした情報をやる。それで私との契約は平等になる。それだけ、今の私にとって重要なのだよ」
ポーチから木の実を一個取り出し、木に放り投げた。口に木の実が吸い込まれる。
「よしよし、いい子だ、いいものをやろう、賢者様ほどではないが、ワシも軽い予知ができる。そなたが必要になるものがある。持っていくとよい」木の上から実が一個落ちてきた。「失敗作で食ったら発狂するがお主には必要になるはずだ。間違いな。それといいい情報を教えよう」木は歪んだ笑みを浮かべる「賢者が我々の仲間入りをしたそうだ」ソフィは振り向き、ぽつりとつぶやいた「あの賢者さんが?」
「ああ、仲間をかばった所を何処かの樹が取り込んだとさ」
ソフィは振り返り、歩き出した。
「その賢者は取り込まれるとき、笑っていたようらしいが、はて、人間の考えることは解らんもんだ」
ソフィが見えなくなると枝が木の実を樹の所に寄越した。
「蛇は熱を感知してそれを追ってくるそれを利用して木の実を熱し、追わせて来るとは」
近づいてきた蛇は頭から口の中に進入した。樹は口を閉じると残りの胴体も吸い込んだ。
「これでまだ大丈夫だ。まだ生きられる。魔霊樹は闇の力を秘めているため、討伐対象になっているはずだが、どうしたことだろう。憐れんだのか、お礼か、はてさてどうしたことじゃろう?」
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