第3話 国防軍試験
キア国に円形の石造りの建物がある。中に広場があり、広場を囲むように3階構造の観客席がある。
2階の観客席には銀髪でウェーブのかかったボブヘア。両耳に青いイヤリングを付けた整った顔立ちで無地の黒いワンピースの上にコルセットを付けた着た女性。その横に金髪のロングヘアを後ろで一本に纏めた整った顔立ちの白のブラウスの上に赤のコルセットを付け、茶色のスカートを履いた女性が座っていた。
「ソフィ、始まるわね。」金髪の女性はそう言って、遠い目をして、砂場が土台の広場を眺める。
「マリーはこの試験を受けて、国防軍に入隊したんだったね」ソフィも過去を懐かしむように広場を眺める。
「あら、貴方も合格してたのに辞退して、冒険者になっちゃたね」
「魅力的だったですが、色々な所を見てみたいというのがありまして」
「全く、キア国魔法学校で栄えある主席合格者の考えることは分からないわね。普通だったら、名誉なことだと喜ぶのに」
イヤリングがきらりと光る。
「主席卒業なんて、大袈裟なことは止めてください。貴方も栄光の国防軍10番隊隊長なのに」
「そう言われると恥ずかしいわね」
二人は笑った。
「これは、キア国国防軍の10番隊隊長じゃないか」中年の男性の声が聞こえた。
ソフィとマリーは後ろを振り返るとそこにがっしりした中年男性1人と20代半ばの男女が居た。
皆、引き締まった体で精悍な顔をしていた。
マリーは立ち上がろうとすると中年男性が手を前に出し、手ぶりで静止した。
「今日は休暇中だ。敬礼などよい。それに他のお客も来てるんだ。変に注目されたくない」
「は」とマリーは返事をした。
男女は男性は5人、女性は3人の構成だった。
中年男性はソフィに顔を向けると「ほぅ」と言い、注意深く見つめた。
「君は中々やるね。良ければ、今度、国防軍の試験を受けてみないかい?」
マリーは笑っていて、他の人物はソフィを驚きの目で見ていた。
肩が開いたブラウスに茶色と黒が縦に交互入ったスカートを履いた女性が目を見開いた。
「貴方、ドラゴン退治の時の!」
中年男性は興味深い顔でその女性を眺めた。
「リア、その話は今度、聞かせてくれるかな?そろそろ時間だ。マリー、こいつらは将来、自分の部下になるかもしれない奴の戦いぶりを見にきたくて、先程、偶然合流したんだ。私もおんなじだがね。では、行くよ。そこは全員が座る分の席はないからね。2番隊と8番隊の隊長は1階で見てるよ。」
二階席に青い髪で黒い眼鏡をかけた。温和な顔つきの男性と脇に温和な顔つきの緑の髪の女性と青い髪の女の子が居た。
「パパも前にこの試験を受けたの?」
「そうだよ、でも、やりたいことがあったから、賢者になったんだ」
「パパ、凄い!私もこの試験を受ける」
「頑張って、パパを超えましょうね」
広場には3人と3人が向かい合っている。赤いローブを纏った人物が二人と片方は黒いローブを纏った人物が2人のチーム。
赤いローブの3人は向かい合っている。赤いローブを着た女性が二人、赤いローブの色白で金髪に琥珀の髪留めをして、カールを巻いた女性、気の強い顔で名はシャーロットという。色白で緑のショートヘアの女性がローブを着ていて名前はエマという。一人は動きやすいプロテクターを纏った2本の短剣を携えた浅黒い肌で黒髪で中世的な顔の人物で名はズハンという。
シャーロットが深呼吸をする。
「いよいよ、来ましたわね」
「そうだね、シャーロット」緑の髪の女性が力強く頷く。
緑髪の女性は黒髪の人物を見つめる
「私はエマっていうの。貴方の名前は?」
「ズハンという宜しく」
シャーロットはズハンを一瞥する。
「シャーロットといいます。宜しくお願いします。」
「宜しく」
一方、黒いクローブの3人とも精悍な顔をしている。女性が二人、一人は茶色のショートヘアで名前はアイリス。青色のショートヘアの女性はロミ。重厚な鎧を装着している剣を携えた金髪の短髪の男性が一人名前はレイン。全員が胸に翼と剣の紋章が描かれていた。
アイリスが相手のチームを見つめる。
「あの金髪と緑の髪はキア国国立学校の主席と二番らしい、連携が厄介だ。あの黒髪はボア町で犯罪組織の剣客をしていたのを突入時に保護して、才能を見込んだ。向こうの警察が学校に入れたらしい」
レインは目を丸くする。
「あの、ボア町出身か、気を抜けないぜ」
「もしかしたら、やられるかもな」ロミが軽い口調でいう。
「かもな」レインは真剣なまなざしで見つめる。
3人の顔が引き締まる。
「この試験の目的は最低限の実力と仲間意識の確認だ。倒すことが目的じゃない。向こうは知らないがな」
アイリスはそういうと相手を見る。
シャーロットは観客席に手を振る10代半ばの人物を見ると駆け寄る。
「行けるよね」
「勿論ですとも、この日のために頑張ってきたのですから」
シャーロットは手を握りしめる。
「始めはエマが主席だったけど、途中で失速した。きっとバテたのね」
「どうでしょうか」
「主席の貴方だったら、合格間違いないわ」
「ありがとう」
シャーロットはそう言うと戻って行った。
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