第七話 昨日の甘寝
大川は、
大川は、母刀自───
(
まだ、月に照らされた
昨日の
気を抜くと、左手の小指、かわいい口に噛まれた跡を、見てしまう。
(私は、兄上とは違う。
遊びで、なんて言わない。)
早く、比多米売の事を、皆に宣言して、一人用の部屋を与えて、大事に囲ってしまいたい。
胸が
まだ、誰にも比多米売の事を言わないでいるのは、大事な事を訊けていないからだ。
「私の
と。比多米売を
男が
「私の
と、皆に高らかに宣言したい。
そうすれば、誰も文句は言わない。尊重してくれるだろう。
大川は将来、身分の高い
断れるものではない。
たとえ、身分の高い
比多米売は、
比多米売が
皆、
(比多米売、早く会いたい。)
大川は、
これまでの時間で、すれ違う女官の顔をいちいち確認してしまっていたが、比多米売はいなかった。
(早く……、一目でも、明るい陽の下で、姿を見たい。)
夢のような
昨日のことは、全て幻だったのではないか。
昨日愛した
そうではないと、早く確証が欲しかった。
比多米売と会ったら、どんな反応をするか楽しみだった。
(比多米売は恥じらって、赤面するだろうか。
いじらしく微笑みかけてくるだろうか。
そしたら、私も微笑みかけよう。
私も真っ赤になってしまうかもしれない……。
もしかしたら、
そしたら、
比多米売、と甘く名を呼び、微笑みかけ、懐に持っている金の
まわりの人は驚くだろう。かまうものか。
比多米売が、はい、とこたえたら、私はその柔らかい手をとろう───。)
* * *
にわかに
カツカツカツ、
通常、
女官、武人の多くは
何かあったのか。
開け放たれた
「宇都売さま! 女官が何者かにかどわかされました!
母刀自──宇都売が息を呑み、
「誰がかどわかされたのです!」
と鋭く言った。青ざめた日佐留売が鎌売を見た。
「比多米売です!」
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