第4話
気付けば私は、涙を流してダイニングにぽつんと座っていた。
きっと色々な経験をしたのだろう。辛いことも、悲しいこともあったかもしれない。それでも、何かを守るために行動できる、立派な大人になっていたのだ。
その成長を近くで見ることができなかったのは、少しだけ寂しい。
物思いに耽っていると、夜だというのに
「和子、今すぐ病院に行こう!」
私たちは急いで支度をして病院に向かう。早く
お医者様や看護師さんに囲まれて、
「父さん! 母さん!」
「
私と
半年眠っていたこと、ずっと機械に生かされていたこと、それらを捲し立てるように説明するけど、
それよりも、話したいことがあるのかうずうずしているようだった。
「俺、国を救う勇者になったんだ。エルフと旅をして、魔王を倒して、ようやく帰ってきたんだよ」
「そうだ。魔王と戦ってピンチになった時に、母さんの声が聞こえたんだ」
「諦めちゃだめ、頑張りなさいって。いつも剣道の試合で応援してくれるみたいな感じでさ。
母さん、もしかして魔王城にいた?」
私はふふっと笑う。
「もしかしたら、いたかもね」
「え、まじで?」
そりゃそうよね。彼女とのハグを親に見られたんだから、恥ずかしいに決まってる。
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