当てつけての逆張り行為は褒められたもんじゃ無いな

コトプロス

第1話 神様ってそういう所あるよね

 

「はえー、エリート様はやっぱり雰囲気からして違うなあ。いつもあんなピリピリしてんだろうかね」


俺は緊張感を紛らわせるために軽口を叩く。


「まあそう言うな、あいつらは将来が掛かってるんだからさ」


 友人のそのセリフは重苦しく響いた。“アイツ”じゃなければ良いなあ……俺たちみたいのからすればこんなんはとんだ茶番だし、さっさと終わらせて欲しいんだよね。


まあ、この日に向けて頑張ってた奴らからすると聞き捨てならないだろうけどさ、関係ない人間からするとこういう感想しか出ないわけですよ。自分でもヒネてるとは思うんだけどさ。


心中で愚痴ってるとエリート様ご一行がまた動き始め、俺と隣にいる友人も移動を始める。


「なあ、おまえは誰が認められると思う?俺ぁウチの姫さんだと本家の羽振りがよくなるから良いんだけど」


今度は友人の方からの質問だ、まあ確かにウチの姫さんに来て欲しさはあるよな。でもあっちを立てるとこっちが立たなくなるし、パワーバランスがうんぬんカンヌンと面倒くさい話が加速するからなあ。俺としては揉めても上手く取りなしてくれる家ならどこでも良いんだよな。


「“アイツ”の家じゃなければどこでも良いかな」


友人は苦い顔をしている。そういうと思っていたと言わんばかりの顔だな。なら聞くなよとは思わなくもないが、友人もこの空気に耐えかねてるんだろう。ホント、さっさと帰ってダンジョンに潜って皆して怪物をシバき回してたら良いのにさ。数人がクッソ強くなるよりも全員がそこそこ強くなる方が一人当たりの負担が減るから楽になるのにな。


 まあ、権威つけや求心力を保つのも必要な事だろうとは思うんよ?

集団がまとまるのには「この人についていこう!」って思わせる人物のが適してるって理屈はさ。まあ権威ある家に生まれたからってプライドだけやたら高い奴はそれはそれで面倒くさいんだけど。


なんて心の中で愚痴ってると前の方が光り始めた。儀式が始まったっぽいな。

さっさと終わんねえかなあと思いながら突っ立てるとエリート様の方から叫び声が聞こえて来た。ああ、トラブルかやっぱ起きるよなあ。出所はやっぱり“アイツ”か?ほっといてもそこそこ強いのに強欲なこって。


「俺を認めて俺の力になれ!スサノオノミコトよ!俺は黒羽家次期当主の黒羽我道だぞ!」


うわぁ、俺様系の叫びが聞こえて来た(´;ω;`)ブワッ


「日ノ本におわす天津神よ!私にこの困難を乗り越える力を授けたまえ!」


うわっ、キラキラ系もノリノリやんけ


「…………」


ウチの姫さんは何言ってんのか分かんねえな



他にもぞくぞくとエリート様が儀式の真ん中で日本の神様にいろいろとお願いをしていく。俺もついでに祈るだけ祈っとこうかな。儀式の場所からは離れてるから効果はないだろうけど、思うだけならタダだしな。日本がダメになるかどうかの瀬戸際なんだ、やってみる価値はありますぜ!


えー、日本の神様、エリート様だけ強くなっても人数が少なくて手が回らなかったり、エリート様しか対処できない事態になれば組織としてはジリ貧なんで、全体の底上げになる様に力を貸して欲しいですね。チートモノの流行りは長いけど一人二人がクッソ強くても他が一般人に毛が生えたようなのだと仕方ないしさ、頼むよ神さん


(アレよりマシな願いだし、こいつの星は輝いて無いからコイツにするわ。聞こえてんだろ。仰々しいのはかったるいから手早くいくぞ。え?なんでかって?初めから輝いとる奴より、輝いて無いのを輝かす方がおもろいやろ。そんだけ。じゃあ見とるからがんばれよー。)

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