闇鳥

岸亜里沙

闇鳥

暗闇の中、羽を休めるカラス


漆黒に溶け込むように、優雅に佇む。


目の前に置かれている鼠の死骸には、


見向きもせずに空を見上げている。


「俺は何者だ?」


問いかける声も、この暗闇に掻き消される。


この世界で生きているのは、


自分だけかと錯覚をしているかのよう。


孤独という名の自由。


だが、きっとそうなのだろう。


「全ては俺が脳内で創り出した幻影」


見えているもの、


感じているものは、


此処には存在しないと。


あの星座ほしも、


あの海洋うみも、


この記憶おもいでさえも。


そう考えて鴉は怖くなった。


そしてふと目の前の、


鼠の死骸に目を止める。


「お前は、誰だ?」

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闇鳥 岸亜里沙 @kishiarisa

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