第698話
「ここがミヤマさんのお部屋ですか!」
エミリーに腕を引かれながら案内して、私の部屋に辿り着きました。
「ええ、こちらに来てから二ヶ月ほどお世話になってる部屋です」
だいたい二ヶ月くらいになると思うんですが…もうそんなになりましたか。
この宿にはお世話になりっぱなしです。そう考えると、昨夜の差し入れは正解でしたね。
あれ?宿の料金は教団から出てるんですよね?アイリーンさんにもお礼をしといた方が良いのでは?…
「何も無いですねぇ…何処でメグちゃんと話したんですか?」
おっと…そんな事よりも今はエミリーの方が大事です。聞かれた事にお答えしましょう。
「椅子とテーブルを出して、ここに私、そこにメグさん、ケイトさんがそこに座って話したんですよ」
指を差しながら昨日の座り位置を説明しました。テーブルと椅子は収納の中です。収納のお陰で部屋の中に何にも無いんですよねぇ。
…今更ですけど席次とか気にしなくても大丈夫でしたよね?
「…ケイトさんも居たんですか?」
一応居ましたね。寝てるんじゃないかってくらい喋ってませんでしたけど…
「もちろんですよ、メグさん一人で部屋に来る訳無いじゃないですか」
逆にメグさん一人なら私も部屋に入れてませんよ。
「早く言ってくださいよぉ…メグちゃん一人で来たのかと思ってビックリしたじゃないですかぁ」
どうやらちゃんと伝わっていなかった様ですね。もっとしっかり二人で来たと言うべきでした。
「女の子一人で遊びに来たのはエミリーが初めてですよ」
男一人ならハロルドさんが最初になりますね。あれも用事があって来たのであって、遊んでた訳では無いですけど。
「私が…初めて…」
そうですよ、記念すべき初めて一人で部屋に遊びに来た女の子です。
「エミリー、立ちっぱなしも何ですしその椅子にでも座ってください」
せっかく遊びに来てくれたのに、立たせておくのは失礼ですよね。元々部屋にある椅子をエミリーに勧めてみました。
「お断りします…とう!」
椅子を勧めたら断られましたよ!それだけじゃありません。掛け声と共にエミリーがベッドにダイブしちゃいましたよ!
「いきなりどうしたんですか?」
ベッドの上をごろごろと転がるエミリーに問い掛けると、エミリーは身体を起こしてベッドに腰掛けました。
「気にしないでください…それよりも渡したい物があります。ミヤマさんもここに座ってください」
エミリーが横に座れとばかりにベッドをポンポンと叩いてますね。
エミリーの横に座れるなら、断る理由がありません。遠慮なく座らせて頂きましょう。
「それで、渡したい物とは何ですか?」
エミリーの横に座って聞いてみると…
「これです!クッキー焼いて来ました!」
おお、昨日言ってた甘い物ですね!さっそく作ってきてくれたとは感激です。
エミリーの手作りクッキー、これは食べるのが楽しみですよ!
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