ウインクの練習

※会話のみ。

某感染症自粛期間中の曽根崎と景清の話。

え? なんでこの二人は会ってるのかって?

……。






曽根崎「で、実際君は家にいて何をしてるんだ?」

景清「えーと……あまり言いたくないんですが……」

曽根崎「ポーカーで負けたんだ。罰ゲーム代わりに言ってみろ」

景清「ぬぐぐ……わ、笑いませんか」

曽根崎「内容による」

景清「……う、ウインクの練習……」

曽根崎「……」


曽根崎「ふ、ぐぅッ……!」

景清「あああああ笑いやがった!」


曽根崎「いやすまんすまん。しかしウインクって……ぶふぅっ」

景清「腹立つヤツだなマジで! ちがっ、違うんです! だって僕、昔からこれで相当バカにされてきて……!」

曽根崎「あー、悪かった。お詫びに手ほどきしてやるから、早速どんなもんなのかやってみろ」

景清「嫌ですよ! 絶対アンタも僕をバカにするに決まってる!」

曽根崎「私がそんな男に見えるか?」

景清「見えるんだな、これが!」

曽根崎「日頃の行いが物を言ってしまった。……それはともかく、やってみろ」

景清「……」


景清「……むっ」(両目バチンッ)


曽根崎「うん、分かった。そもそもウインク自体結構複雑な動きなんだがな。君の場合はまだ神経が片目を閉じるという行為に慣れていないが故に起こる現象である可能性がある。なのでまずは両目を閉じてそれから片目を開けてみて……」

景清「真面目に扱われたら扱われたでクッソ恥ずかしいな!」

曽根崎「どうしろというんだ」

景清「っていうかアンタ! アンタもしてみてくださいよ! そこまで言うならさぞバチバチにできるんでしょうねぇ!?」

曽根崎「ほい」(凄まじいしかめ面)

景清「すいません表情筋壊れてましたね!!」

曽根崎「賑やかな男だな、君は」





藤田『……え? ウインク? 叔父さんのウインク見たくてわざわざテレビ電話するとかどんだけ可愛いんだオレの甥』

景清「いいから。ちゃちゃっとウインクしてみせてください」

藤田『はいよー』(ばっちーん)

景清「ぐぅっ!!」

藤田『なぜ苦渋面』

景清「チクショウ……どこでウインクの血は途絶えたんだ……!」

藤田『ウインクの血って何よ』

景清「藤田さんにできて僕にできないなんて……!」

藤田『叔父さんサラッとディスられてる。……よくわかんねぇけど、何回か練習してみりゃいいんじゃね?』

景清「む……それもそうですね。これを機に一日の練習回数を増やしてみる事にします」

藤田『……もうしてたのか……』





阿蘇『は、ウインク? いきなり電話してきたから何かと思ったら』

景清「す、すいません。どうしても阿蘇さんのウインクを見てみたくて……」

阿蘇『何だそのそこはかとなく怖ぇ動機』

景清「だ、だめですか」

阿蘇『……別にいいよ。あー、これでいいか?』(パチッ)

景清「……」

阿蘇『……何』

景清「阿蘇さんのウインクって、破壊力ありますね……」

阿蘇『何の話?』





三条『なんだよ景清、オレと話したいの!? ……え、ウインク!? いいよ!! 見てろよ、せーのっ!』(バチンッ)

景清「めっちゃ下手だな」

三条『普段しねぇからね! そういうお前はできんの?』

景清「ふんっ」(バチンッ)

三条『なはっwwwww 両目wwwww 両目つぶってるwwwww ふへへへへへへwwwww』

景清「ああああん!? 見てろよ三条! めっちゃくちゃ練習してステイホーム明けたら真っ先にすんげぇウインク見せてやるからな!!」

三条『両目つぶるよりすげぇウインクねぇよwwwww』

景清「ああああああああ!!!!」





柊『――え、ウインク?』

景清「はい、お願いします」

柊『しょうがないわねぇ、とくと見なさいっ!』(パッチーン)

景清「鮮やか」

柊『当然よね! じゃ、ボクそれなりに忙しいからまたねー!』(パッチーン)

景清「わぁぁぁぁナチュラルなウインクだ!! すごい!! すごいです柊ちゃん!!」

柊『フフン、褒めなさい! ボクったらとってもご機嫌になってあげるわ!』





景清「というわけで、ウインクを集めてみました」

曽根崎「昭和の歌謡曲にありそうなフレーズだな」

景清「結果、僕が一番下手だと判明」

曽根崎「まあそうだろうよ」

景清「次点で曽根崎さん」

曽根崎「覚悟はしていた」

景清「そこで思いました。果たして、このままで終わっていいのかと」

曽根崎「別にいいが……」

景清「否! いいですか、曽根崎さん! 今日から僕らはウインク練習隊ですよ! 毎日練習して、自粛期間が明けた頃には皆が驚くような一端のウインク師になってみせましょう!」

曽根崎「君の努力は往々にして右斜め上にカッ飛ぶよな」

景清「まずは! 右目から! ふんっ!」(両目バチンッ)

曽根崎「えふっwww」

景清「がああああああ!!!!(怒)」

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