第6話 ダサいリュックの驚きの中身!
「わたくしは
よく見ればその少女の丸眼鏡の奥の瞳は片方が赤で、もう片方は緑色だった。
俺はそのエリファ・フィンという少女の話した事柄の中で
「・・・・・・エリファ・フィンさん。ルチアのリュックの中のものをお見せする前にひとつだけお訊きいたいんですが・・・・・・あなたは何で私たちのパーティなんかに入りたいんですか? あなたもこの街に滞在する冒険者なら一度はあの動く写真を見てるはずですよね?」
すると、そのエリファ・フィンという名の白髪ロングの美少女は丸眼鏡を人差し指で押し上げてからこう答えた。
「もちろん見ましたよ」
「だったらなんで?」とロージア。
「それは・・・・・・」
「答えられないんですか?」
と再びロージアが口を開く。
すると、そのエリファ・フィンという名の少女は俺の背負っていた焦げ茶色のリュックを指差してこう言ったのだ。
「・・・・・・その答えは、そのリュックの中にあるはずです」
それで、ここで俺はやっとこう言ったのだった。
「見てもないのに何でそんなことが言えるんだよ?」
ちょっとカッコつけたような口調になったのはロージアの俺に対する好感度の上昇を狙った結果だった。
エリファ・フィンは俺のその問いに一瞬絶句したが、すぐにこう答えた。
「感じるのです! 貴方のそのリュックからドラゴンの・・・・・・マスタードラゴンの強い力を!」
俺はそれを聞いて心底驚いていた。
というのも、俺の背負っていた焦げ茶色のリュックの中には大きな白い卵が入っていたからだ。
そのことは俺とロージアしか知らないはずで、しかもこの卵は元ネタの『グレイト・シーフ』では一切物語に関わってこない。デカいリュックを含めてただのギャグのような存在なのだ。
そして、もちろんこんなエリファ・ファンなんて美少女は『グレイト・シーフ』には登場しない。
俺はロージアと目で少し会話してから、リュックの中の卵を取り出し、そのエリファ・フィンという名の少女に見せた。
すると、彼女はこうほとんど叫ぶような声で言ったのだ。
「それは、マスタードラゴンの卵です! かつてマスタードラゴン様の従者だった
俺はまたロージアと目で言葉を交わしてからこう答え始めた。
「俺の生まれ故郷の近くにあるダンジョンで偶然子供の時に見つけたんだ。それからもう5年以上こうやって持ち歩いてる。なんか知らないけどそうしなくちゃいけないような・・・・・」
しかし、俺が全てを言い終わる前に、そのエリファ・フィンという少女がこう口を挟んできたのだ。
「5年も? その間に卵に何か変化は?」
「変化? えっと、なんか年々大きくなってきてるような・・・・・・あと、最近背中でちょくちょく動いたりするんだ、気のせいかもしれないけど」
俺がこの世界に来てから実際にこのリュックを背負って感じていたことを素直にそう答えると、そのエリファ・フィンのいう名の白髪ロングの美少女はこう言ったのだ。
「それは、もうすぐ生まれるってことですよ! もうすぐこの世界にマスタードラゴンが再び誕生するってことです!」
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