第5話 追放した側のターン!?
あの場では精一杯気丈に振る舞っていたが、ロージアはやはりかなり傷付いていたようで、その夜は宿でほとんど言葉を発することはなかった。
もちろん元ネタの『グレイト・シーフ』にこんな夜は存在しない。
だから当然その夜の攻略法を俺は全く知らなかったのだが、ロージアが本当に全然喋ってくれなかったので結果的に俺ばかりが話すことになってしまった。
「よく考えてみれば親父と1対1でやり合ってまだ生きてるって時点であいつはS級以上だってことだろ? 仮に親父と同じS級だとしても、S級はA級100人分の強さだって話だから、とても俺たちの
ロージアが何も返してくれないので、俺はさらに続けた。
「もしかしたら親父はあの見た目に騙されたのかもなぁ。親父、異常に女にやさしかったからな。それで本気を出せなかったのかも。それに、敵の最強の能力を盗んで相手の戦意を喪失させる・・・・・・そういうジェントルな戦い方好きだったもんな、親父。・・・・・・でもそれが全部相手の思う壺だったわけだけど」
しかしロージアは何も反応してくれなかった。
でも、こうやってロージアを慰めるために冷静にあいつ(俺はこの時点でこの世界では親父の敵は悪魔族の男ではなくあの人間の若い女――本当に若いかどうかは別として――なのだと確信していた)のことを分析してみると、つくづく自分の実力のなさが恨めしく思えてくる。
親父の
俺はロージアの隣のベッドでそんなことを考えながら、いつの間にか眠り込んでしまっていた。
⚫
翌朝、俺はロージアよりもかなり早く目覚めてしまったので、一人でコーヒーを
【あの3人についての新しい情報がわかりましたので報告します!】
以下はその報告の要約である。
アルバトン・ダッカー(男
さらにナーシャ・バルファン(女
そして驚くことにあのザカト・ドアンク(男
どうやら俺はあの3人のことを少しナメていたのかもしれない。
そんな超金持ちトリオに目をつけられた俺たちの旅は惨めなものだった。
それでもロージアが朝にはいつもの明るい彼女に戻っていたのは本当に唯一の救いだった。
「じゃあ、新しい仲間を見つけに、少し遠いけど、まずは冒険者
と俺が言うと、
「うん、そうだね!」
とロージアは笑顔で元気に答えてくれた。
すると、次の瞬間中空にパッとこんな文字がまた現れた。
【たった今幼なじみのロージア・スパークルと恋人同士になる可能性が生まれました!】
「えええっ!?」
と俺は思わず大きな声を出してしまう。
それもそのはず、ロージアが恋愛対象になるなんて元ネタ『グレイト・シーフ』では絶対にあり得ないことだったのだ。
「どうしたの? ・・・・・・お兄ちゃん?」
ぐべっ!
お兄ちゃんと呼んでくる幼なじみ(隠れ巨乳!)が恋愛対象?
最高じゃねえか!
俺がそう思っていると、また中空にこんな文字がパッと現れた。
【たった今のロージア・スパークルのあなたに対する恋愛度数は★1個です! これが★10個になったらあなたはロージア・スパークルに告白することができます! 彼女の性格をよく考えて好感度が上がるような言動を日々心がけましょう! ちなみに今、彼女の頭の上に表示されている★マークは今後は★が増加した時のみ表示されます!】
それからわずか数秒後にロージアの頭の上に表示されていた下記のような★マークは一旦消えてしまった。
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
それにしてもなんで原作と同じハートマークじゃないんだろうと思いながらも、俺はロージアが突然恋愛対象になったことに一人舞い上がってしまっていたのだが、かなり苦労してその日のうちになんとかたどり着いた(魔術高速鉄道も使えないので)冒険者
すぐに俺たちはその兆候に気づいた。
というのも、俺たちがその大きな建物の中には入ると、それまでみんな大きな声で喋っていたのに、その全員がピタリと話すのをやめてしまったのだ。
そして、しばらくするとチラチラと俺たちのことを見ながらこそこそと耳打ちをし始めるのである。
本当にこれ以上ないってほど嫌な雰囲気だった。
その理由を俺たちが知ったのは、その建物の中ほどまで入った時だった。
冒険者
「本当にひどい目に遭いましたよ。あの新聞の記事の通りです。俺たちは被害者だから顔は出せませんが、それでもみなさんにちゃんと
腹が立つどころの話ではなかった。
その時、俺の中で生まれていたのは殺意までもう少しで届いてしまいそうなほどの激しい怒りだった。
俺のことだけならまだいい。
俺のためにあのパーティーを初めて抜けてくれたロージアのことをあんなにひどく言うなんて絶対に許せなかった。
俺たちはその動く写真を最後まで見ると(それはどうやら一日中繰り返し繰り返し流れているみたいだった)、すぐにその建物を出ていった。
そして、もう当分は二人きりで活動していくしかなさそうだと思ってすっかり落ち込んでいた時に、俺たちは後ろからこう声を掛けられたのだった。
「わたくしをあなた方のパーティーに入れてくれませんか?」
振り向くと、そこには白髪ロングで丸眼鏡をかけた驚くほどの美少女が立っていた。
「わたくしは
よく見ればその少女の丸眼鏡の奥の瞳は片方が赤で、もう片方は緑色だった。
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