第二回

 私は今日、郵便局に手紙を出す為に家を出たのだ。これは非常に大切な手紙である。今変なものを見た気がするが、気を取り直して行こう。

 見上げると空は青く広く晴れている。白い雲は眩しく輝いている。私は手紙を入れている胸ポケットに手を当てた。そして再び空を見た。ああこの手紙を出すのに相応しい青空だ。

 角を曲がると、また電信柱にさっきの犬が隠れている。そしてやっぱりヘッヘッ、ヘッヘッ言いながら今度は虫捕り網を持って待ち構えている。ふざけた犬だ。バレバレなんだよ。

 それにしてもあの虫捕り網はなんだ。あれで私を捕まえるつもりか? 捕まえたところでせいぜい私の頭しか入らない……。

 いいだろう、その思惑、乗ってやる。そして今度こそ思い知らせてやる。

 私はそう息巻くと、力強く電柱に向かって歩き出した。

 電柱の所まで来ると、犬は今だっ! と言わんばかりに目を輝かして虫捕り網を私に振りかざして来た。

「ヤァッ!」と私は叫んで背面跳びの要領で後ろに飛んだ。ところで、走ってきたスクーターに私は勢い良く跳ね飛ばされた。

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