第35話 姉と妹と元ギャル 街香パート
「マチ姉はナカ兄のこと、どう思ってるの?」
「彼のことは昔から好きだよ」
「えっ? じゃあボクの告白がもし上手くいってたらどうしたの?」
「どうもしないよ。妹である恋ちゃんとくっついていれば、マチにとっても無関係じゃなくなるからね」
「ふ、ふーん? でも大失敗だったよ~。だからボクからフってやったんだ! 今度はマチ姉が頑張る番だと思うんだ!」
恋都は純粋に応援してくれている。だけどもう遅い。私の気持ちはとっくに伝えているし、見せられるモノは全て見せた。それにもかかわらず、彼の気持ちは幼い頃からずっと変わらないままだった。
そうなると残された方法は、嫌だけどあの女にも厳しく警告するかあるいは――
「じゃあさ、たまちゃんのアイデアで出てきたハーレムカフェってやつでナカ兄を篭絡しちゃおうよ!」
「案外難しい言葉を知っているね、恋ちゃん」
「ボクの取り得は知識くらいだからね~。でさ~――」
ハーレムカフェ。あのどす黒い女がつまらない企画を自ら出してくるなんて、絶対何かを企んでいるに決まっている。
あたるは護国彩朱とすでに結ばれてしまった。そんな不利な状況で今さら彼にハーレムを与えたところで何の意味も無いというのに。
「――あぁ、でも……」
「え、何か言った~? マチ姉」
「何でもないよ。そうだ、恋ちゃん。耳を貸してもらえる?」
「ん~? うんうん……おしぼりだね! 確かにカフェでは大事なアイテムだもんね。それならボクは重要な役割を果たすよ~」
「……お願いね」
彩朱を助けるつもりなんてないけど、あたるに何かあっても心配。そうなると私がするべきこと、出来ることは出来るだけあの女の邪魔をすること。
多分、それが私の立ち位置なんだ。
だから何が起きても、あたるは陰ながら守ってみせるよ、あたる。
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