第25話 迫りくる双子妹の手 3

「あわわわ……! ね、ねぇ、、どうすれば収まるの?」


 自分のあそこをこれ呼ばわりされるのはどうなんだろうか。


 しかし恋都に何かしてもらうつもりなんて無いし、してもらっても問題だ。そうなると生理現象が収まるのを静かに待つしかなくなる。


「ボクの手で押さえつければ鎮まるかな?」

「いや、それはちょっと……というか、何もしなくていいからね?」

「でもなんか辛そうなくらい盛り上がってるじゃんか! ボクでも何か出来たらやった方がいいと思うし」


 あくまでも朝に発生する自然な生理現象であって、恋都に興奮していたわけでもない――はず。つまり彼女に何かしてもらう必要は無い。


「本当に何もしなくていいよ」


 要は落ち着けばいいだけのことだ。そもそも大して眠れていない状態のところに恋都がいて、朝の時間帯に重なっただけに過ぎない。


 しかし、


「何だよ!! それって、ボクを意識してないってことじゃんか!」


 何かをしたかったのか、恋都の方が興奮気味だ。


「えぇ!? 何でそういう考えになるの……」

「ボクだって女なんだぞ! ボクを女として意識してくれたからこその現象だって思ってたのに! それなのに何もしなくていいなんて、何の為に隠れていたのか分からなくなるじゃん!!」


 もしかして、恋都なりに俺にアプローチをかけてきたってことなのだろうか。恋都にしか出来ない忍び込みだし、親たちも特に警戒もしないからこその行動。


 でも、俺は恋都のことは。


「う、ごめん……」

「謝るなー!! 謝るんなら手を出せばいいんだ!」

「でも俺は恋都のことをで見てないというか……えっと」


 幼い頃にそれぞれで約束を交わしたまではいいとして、将来がどうだとかを確実に決めたわけじゃない。気になっている子はいるにはいるとはいえ。


「――それって、ボクじゃない誰かを見てるってこと? 誰かにならやらせたってことだろ?」

「そうじゃなくてね……うーん」

「……つべこべ言わずにボクの手を使えばいいじゃんか!!」

「――!?」


 ベッドの脇に立っていた恋都が突然自分の手を俺に掴ませ、山のいただき付近に触れさせようとしてきた。


 だがすでに俺の生理現象は時間が終わり、何事も無かったように収まった。


「ええ? 何で? さっきまで動いてたものが消えて無くなってる……?」 


 朝の生理現象さえ収まれば後はどうとでもなる。


「アレ自体一時的なものだっただけで、深い意味なんて無かったっていうか。だから恋都がどうとかってわけじゃないから心配しなくても――」

「……結局、ボクに何かしてもらいたくなかったってこと?」

「うーん。でも、恋都が隠れてこの部屋に来てくれただけでも良かったよ」


 正常な状態じゃないし俺としては、今はこう答えるのが精一杯だな。


「あの人に言われたから気持ちを昂らせて来たのに、ナカ兄はきっとボクじゃ駄目なんだ」

「え?」

「……ボク、帰る。ナカ兄のことを諦めるつもりなんて無いけど、こんなやり方じゃ駄目だって分かったし」


 何だか落ち込ませてしまった。しかし深夜から早朝の間に恋都に何かしても、それは取り返しのつかないことになりそうだったししょうがないよな。


「えっと、それじゃまた学校で――」

「ううん、ナカ兄は今日は学校休むから」

「へ? 俺が学校を休むってどういう――」

「こういう意味だよ、ばかっ!!」


 握りこぶしを作っていた恋都の手が、見事に俺のあそこに命中しめり込んだ。


 そこからの記憶は無く、気づいた時にはすでに外は夕方だった。

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