3-8

三津夫「次は、この小窓の数字の謎を

解くのですね、時方さん。

でも、もう考えるまでもないの

ではないですか?」


時方「どういうことだね?」


三津夫「だって、ここに『=(イコール)』みたいな記号が書いてありますし、この小窓に入る

数字は、『獅子』つまり、『4』、『4』しか

あり得ないのではありませんか?」


三津夫は、くぼみと小窓の間に書かれていた『=』を指差して言った。


時方「三津夫君、残念ながら不正解だ。

なぜならば、もしも、善也氏が、

獅子(しし)と読ませたいなら、2つの小窓の

間に、その『=』と同様に『×』の記号を書いて、『4×4』となるように書かれていても

良いはずだ」


三津夫「…では、何が入るのですか?」


三津夫は、ちょっと怒りながら、そう言った。


時方「この『=』の記号は、この記号の左側と

右側にあるものが、等しい事を表している。

つまり『る』、『IO』、『ぬ』が、表している『LION』と、右側の数字が等しくなければ

ならない。さっきも言ったように、『LION』は、

『獅子』のことだから、これを また一ひねり

して、『4×4』だと考えると…。

三津夫君、もうわかるのではないかな?」


三津夫「僕には、さっぱり、わかりませんよ」


数九子「分かりました、時方さん。

左側が、『4×4』を表しているなら、右側は、

その答えの『16』が入るのでは

ないでしょうか」


時方「正解です、数九子さん。これで、

今回の謎は解けました。後は、ご自分で、

金庫を開けて、中をお確かめください。

私たちは、これで、失礼します」


三津夫「ちょっと、時方さん。

中を見ないで、帰るんですか?」


時方「私の仕事は、謎を解くことです。

金庫の中身に興味は、ありません。

さあ、帰りますよ」


三津夫「でも、金庫が、さっきの額や、

数字で、本当に開くかどうかだけでも

確かめても良かったのでは?」


時方「じゃあ、三津夫君、君は残ってくれて、

結構です。後で、後日談でもあれば、

報告してください」


三津夫「あっ、時方さん…」


時方は、三津夫を置いて、一人で、

判示物 邸を、あとにした。


第4章につづく



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