第4話:ステータス《中編》

「じゃあ、スキルの説明に移るんだけど、その前に—————」


 そう言うと、セイの隣に一つのホワイトボードが現れた。

 最近では基本的に画像での授業が一般的なので使われなくなった、旧世代の大きめのやつだ。


「—————まずは種族の設定をしようか」


 その言葉と共に、ホワイトボード上にいくつも文字が浮かんでくる。


人族ヒューマン

獣人族セリアンスロープ

竜人族ドラゴニュート

鬼人族

妖精族エレメンタル


「これらが大きな括りでの種族になるよ。大まかな初期ステータスはここで決まることになるね。その中から、さらに細かな種族を選んでもらう事になるよ」

「種族ごとにステータスに変化が生じるのか?」

「そうなるね。基本的に合計値は50になるんだけど、一つ一つのステータスには変化があるよ。という事で、大まかな変化について解説していくね」


 セイの説明を訊いていく…が、長くなるので割愛しまとめると———


人族ヒューマン

全てのステータスにおいて平均的な種族

細かな変化としてはハーフ種族などがあり、その場合は少々そちらに引っ張られる


獣人族セリアンスロープ

物理攻撃や速度のステータスが高い種族

基本的には魔法攻撃は苦手な傾向にあるが、一部に魔法が得意な種族もいる


竜人族ドラゴニュート

物理、魔法どちらのステータスも比較的高い種族

また、最初に選ぶ種族としては得意属性の変化があげられる


鬼人族

物理関係のステータスが高くなっている

他の種族に比べ鈍足となっている

また、獣人族と同様に魔法が得意な種族もいる


|妖精族

魔法や器用さのステータスが高い種族

一部、物理が得意な種族もいる


 ————こんな感じになっていた。


「じゃあ、どの種族にする?」


 恐らく、基本行動はユイと共にすることになるだろう。

 ユイは恐らく魔法を得意な種族にするので妖精族はなしだ。

 次に、俺はどちらかというとどっしり構えて攻撃するよりかは、動いて攻撃する方が得意なので鬼人族もなしだろう。

 かと言って、基本二人でやるのにどちらも物理と魔法、どちらかに偏っているのも気になる。


 正直、竜人族は気にならないでもないが‥‥


「人族にするよ」

「了解。人族だね。じゃあ次に、人族の中からさらに種族を選んでもらうよ。人族の種族は‥‥こちら!」


 ノリノリでホワイトボードに向け手を向けるセイを無視しつつ、ホワイトボードに目を向ける。


純人種ヒューマン

半犬人ワーウルフ

半猫人ワーキャット

半竜人デミドラゴニュート

半森妖精ハーフエルフ

半土妖精ハーフドワーフ

半天使ハーフエンジェル


 称号『セイの興味』と同様に☆の付いている半天使に目を向ける。


「お、ミトの種族には半天使が追加されてるみたいだね!半天使は種族選択時に『○○の興味』のスキルを取った人だけが選べるようになる、特殊種族だよ!勿論、他の種族に比べて若干強くなっている」


 セイの『種族選択時に~』の部分が少々気になりはするが、どうせ今聞いても答えて貰えないだろうから今回はスルーする。


「どう強くなっているんだ?」

「他の種族に比べて、初期ステータス値が10多くなっているんだ」

「デメリットは?」

「特にはないね。他の種族と同様にステータスが割り振られるんだけど、半天使は純人種の完全上位互換になっているよ。その代わり、純人種の種族スキルは取れなくなるけどね」


 これは取りに行くべきか、行かないべきか‥‥

 迷うが、これはあくまでゲームだ。アカウントを作り直すには、VRヘッドセットの本体とゲームのカセットを買う必要があるが、まあいつも通り、飽きたらやめるだけなのだ。

 少しでも楽しくなる可能性があるのなら、そちらを選んでいこうと思う。


「なら、半天使で頼む」

「りょーっかい!ミトの種族を半天使で設定したよ」


 まあ、特にデメリットらしいデメリットは無さそうだし、チートだ何だと騒ぐ連中はいそうだがそれは運営に通報すれば黙らせられるので問題ないだろう。


「じゃあ、次に職業についての説明に移るよ」

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