第2.5話:リンク・オン(運営side)
*ゲーム運営side
「守野さん、こっち来てください!」
「突然どうした?バグの使用者でも出たのか」
「いいえ、そんなのは速攻で監視AIに弾かれるのでありえないでしょ!そんなどうでも良い事では無くて、開始30秒足らずでユニーク称号の『究明者』と『セイの興味』、『オリンポスの観察対象』が取られてしまいました!」
「うん‥‥?‥‥‥‥はぁぁぁ!?」
一人のプログラマーが責任者を大声で呼び、起こったことを説明する。
責任者である守野は一瞬内容に理解が追いつかなかったが、理解が追いついた瞬間に大声を上げた。
「うるさっ!守野さん、叫びたい気持ちは分かりますけど、耳元で叫ばないでください!」
「あ、ああ、すまない。で、それは事実か?」
「はい。セイが自己紹介を終え、それに対して返答したかと思ったら彼女の
「そんな見た目と名前だけで‥‥しかも一瞬でばれるようにしてたか?」
「いいえ。確かにヒントは多めに出していましたが、一瞬でばれるようなものでは無かったと思います。しかも、ゲーム開始時の一番興奮していそうなタイミング。そんな中でいつも通り、一つの事に集中しすぎずに頭を働かせている時点でやばい人ですよ」
「まあ、普通は無理だよな‥‥だからこそあんな称号作ったんだから」
「それで‥‥称号の方どうしますか?」
元々、数日ほどで一つ目の称号『究明者』はバレるだろうと考えていたが、
が、しかし、開始から数十秒ほどでばれることは想定していなかった。しかも、その他の称号である『セイの興味』と『オリンポスの観察対象』の称号に関して言えば『究明者』を取ることに比べて高目な難易度に設定していたため、ユニークエンブレムと同じように強い性能にしてしまっているのである。
しかし、この称号は何かその神の興味を引く、イベントで大きな成績を残すことでようやく手に入れることができる。その様な設定にしていたのだが‥‥このような形での興味の引き方は想定していなかったのだ。
「そうは言っても、あと数分で称号の性能を変更できるわけないだろ。それこそ監視AIにブロックされるわ」
「ですよねぇ‥‥じゃあ、このままという事で大丈夫ですか?」
「うーん‥‥まあ、何か不正があるわけでもないしな。取り敢えずは要監視対象に登録をしておくだけにしておこう」
「ではそうしておきますね」
監視AIは運営からは半ば独立した存在になっていて、運営ですらも大型アップデートなどのタイミングでもなければ、大きな変更を加えることは難しい。
まあ、イベントなどの際に不正や贔屓の挟む余地がないようにこのような設定にしたのだが‥‥今回はそれが裏目に出てしまったような、出ていないような‥‥微妙な感じに影響してしまった。
自分ではまだ何もしていないと考えている間に要監視対象として認定されてしまったミト。
しかし、そのミトに今後振り回されることになろうとは、運営は誰一人として考えもしなかった。
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