第7話王子たち2
王太子殿下以外の二人の王子が冷遇されているという訳ではありません。
これは滞在中に感じたものに過ぎませんが、王太子が愛され過ぎている事は確かでしょう。
第二王子殿下の母君は他国の王女。
ただ庶子の王女という事で正妃ではなく側妃として嫁いで来られた方です。
この側妃様の場合は国同士の同盟も含んだ婚姻でした。砂漠の国として知られる側妃様の国は一年中水不足。
そこで水の王国と名高いアクア王国と同盟という形で婚姻が成されたのです。
アクア王国は、王族を始めとした貴族階級の殆どが水関係の魔法を使用なさいますので、砂漠の国としてはその力は喉から手が出る程欲しいもの。アクア王国側にとってメリットがないように思われますが、実はそうでもありません。アクア王国は水関係なら強いのですが、それ以外は他国に後れを取っているのが現状。特に技術面に関して。側妃様の国は技術面に強く、輸出入に関してもかなり優位な立場に立っています。
そんな国の王女を娶る事になったのですから、アクア王国としても無下に扱う事など出来る筈がありません。
異国の血を引く第二王子殿下は浅黒い肌と青い瞳をしたオリエンタルな雰囲気の美丈夫であり、とても聡明だと聞き及んでいます。王太子殿下とは一つしか離れていない事もあり、幼い頃は共に勉学や剣術を学んでこられた仲だそうです。
ただ途中から「王太子」の教育は別に行われ始めたらしく、今ではほとんど交流がないのだとか。
第二王子殿下には婚約者がいらっしゃらないません。これには政治的な思惑があっての事でしょう。
第三王子殿下は伯爵家出身の側妃様の息子ではありますが、王位継承争いを恐れて母君と共に伯爵家に匿われているのが本当のところでしょう。現国王陛下の御子息は三人。本来なら第一王子と第二王子で争うのですが、肝心の第二王子殿下は異国の母を持つという、ある意味ハンデを背負っています。そうなりますと、第一王子である王太子殿下のライバルと目されるのは自然と第三王子となるのです。
ここでもし、帝国貴族の私が第三王子の妃になれば一気に形勢逆転となります。
私は全く興味のないお話なのですが。
ですが、第三王子側からすれば気が気ではないでしょう。
アクア王国は内乱もなく平和な国として知られています。第三王子とその母君は勿論の事、伯爵家も内乱になりかねない婚姻など到底望んではいない筈です。
王子達から探りを入れたかったのですが、残念。
そうなると残るのは……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます