第6話王子たち1
メイド達が何やら画策しているようです。
気持ちは分かりますが、やり過ぎないように注意が必要かしら?
お父様からの手紙には「要、監視」と書かれています。これはどちらに対するものかしら?
あの父の事です。
全部が正解でしょう。
それと、この国の第二王子が留学先から戻って来ると手紙に書かれています。同時に、王太子の元婚約者の令嬢も王都に来るそうです。
王太子とその妃に代わって接待してくださるそうですが、遅すぎる対応と言わざるを得ません。多分ですが、父が何か申した結果でしょう。
それにしても第二王子ですか。
武門に優れていると聞いています。
この国の国王陛下には亡き王妃の他に二人の側妃がいらっしゃいます。
王妃殿下は公爵家出身で、第一王子である王太子殿下の母君。ですが、この方、数年前に亡くなっています。
大変美しい方で国王陛下の寵愛を一身に受けた女性。
陛下のみならず、その側近すら魅了し、王宮中の者が王妃の美しさに感嘆していたとか。
その愛されし王妃に王太子殿下は瓜二つで、そのため国王陛下を始めとした人々は王太子殿下を溺愛していると言ってもいい状況でした。
「第二王子殿下がまともな事を祈るしかございません」
「そもそも何故、今更、第二王子を出してくるでしょうか?」
「愚かな王太子殿下の尻拭いに決まってますわ」
この国に対するメイド達の評価は更に低くなったのは言うまでもありません。
ただでさえ、評価ゼロだったのに。マイナスに振り切れましたね。
「第三王子殿下は未だに挨拶も見えられませんし」
「伯爵領にいるというお話ですけど……」
「病弱だという話もあります。本当かどうか分かりませんが母君の実家で療養しているとか」
「その話は本当のようです。ただ病弱という点は疑わしいですが……」
「何故ですか?」
「伯爵家の現当主の奥方が名門の侯爵家の出だからという話が有力ですが、恐らく第三王子殿下が王太子殿下よりも出来が良かったからではないかと噂されてますわ」
「大変な読書家だそうで、文官たちも舌を巻いた程だとか」
「王太子殿下が側妃と親交を深めていった頃から母君と共に領地に引きこもり始めたらしいのです。恐らくは王位争いを避ける為ではないかと……」
「確かに……。それなら納得できますね」
「武の第二王子殿下と異なり、王太子殿下と第三王子殿下は文の方面でどうしても衝突しますし、何かと比較されてしまいますものね」
メイド達の話が段々と政治的なものになってきました。
無理もありません。
王家の話ですからね。
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