第4話 結構ぐちゃぐちゃだが、これ幸い。

 結構ぐちゃぐちゃだが、当事者全員がここに居る。


「ちょっと黙れ」

 意識の遮断。

 何分経っても、本人は一瞬だけ寝たように感じるらしい。助っ人君で試した。


 見た目は、動きが止まっただけで息もしているし、固まって居るだけ。


 抱き合っている一年生を起こす。


「話を聞かせてくれないか? 何があった?」

「何があったって、あんたが万引きをして、先輩に見つかった。殺されるって言ったんでしょう」

「あっ。ごめん」

 幻影を解除する。


「ふっんぐ」

 叫びそうになったので、口を押さえる。

「大丈夫。落ち着いて。自称正義の味方だから」

「自称?」

「そう」

 ものすごく、怪訝そうな顔をされる。 

 なぜだ。


「まあまあ、悪い事にはならないから。多分」

 信堯がそう言うと、もっと怪訝そうな顔になった。

「多分?」


「―― 時間も無いし、話を聞かせて」

 少し力を使う。


「あっうん。この子、跡部って言うんだけど、上杉君が万引きして学校にバラされなく無ければ、お金を払えって。でも万引きして来いって言ったのは、別の先輩で、問い詰めても俺は言ってないって」

「なーるほど。で、あんたらは?」

「上杉君が根性無しだから、この子と一緒に、話をしに来たのよ」

「わかった。そしたら、エンコーしてこいと」

「そう、あそこの女が、今日はやる気が起きないとか言って」

 指さす相手は、エッチ大好きそうだった、雅美ちゃんじゃないですか。


「まあ、逃げて良いよ」

「でも、クラスも知られたし、顔の写真も撮られたから……」

 うーん。悩む。だが、居られるとジャマだ。


「大丈夫だから、帰って」

 少しずるだが、暗示を掛ける。

「はい」

 二人共出ていく。


「あの入り口、鍵が開いているは、監禁じゃないって言う。言い訳用か?」

「そうかな? だとするとバックに何かいるのか?」

「援交の元締め?」

「うーん。ちょっと、親父に連絡をしておくよ」

「蛇の道は蛇」

「ちがう。というのに。あっ。親父……」

 信堯が電話をしているうちに、光莉ちゃんと話をしよう。


「さあさあ、おっきして。俺が誰だか分かる」

 見た瞬間土下座。

 俺のことは知っているらしい。


「ごめんなさい。脅されて」

 彼女の言い訳はこうだ。


「信美。お前大学に行くんだろ。俺は推薦もあるし大丈夫だが、お前大丈夫か?」

「大丈夫。きちんと習うから」

 元泰の、腰の上にまたがっての会話らしい。

 光莉ちゃんは、元泰のモノを大きくした後、何故か見せられていたらしい。


「ああっ? 予備校とか行ってんのか?」

「家庭教師かな? 克和。あーと、元彼が賢いのよ」

 そう言われて、少し考え込んで……


「元彼? 優しくて気持ちいいエッチをする奴か?」

「なんでその事」

「おまえが言ったんだよ」

 そう言って大きく突き上げたら、信美さん嬉しそうだった。だと。


「えっ。あははは。気のせいよ」

「彼氏が、受験が出来なきゃ一人浮くじゃないか。なんか考えろ」


「そう言って、すぐ、私に言いふらせって。私ならレイプされた証拠はあるからって」

「証拠?」

「薬飲んで毎日のように……」

「あー分かった」

「一年の時に騙されてずっと…… ネット上にばら撒くって。ばら撒いたら消えることはないって……」

「かわいそうに」

 頭をなでる。よく見ると、やつれていなければ、結構かわいい子だが……


「克和。裏はいない。だけど本職に目を付けられているな。秒読みだ。攫うなら今だぞ」

「今でしょ…… か。明日は終業式ずるをしようか」

「ずる?」

「明日、潔白だけ宣言して貰う。そして、本職さんに任せるか?」

 そう言った後、奴の言葉を思い出す。

『君が手を下さないと駄目だよ』


「あー。ちくしょう。元泰君達は、今晩からお泊まりだ」

 外に待機中の二人も中に入れる。


 翌日、言って貰うことを、信美と光莉ちゃんに教え込む。


 終業式の前、教室に先生が来たタイミングで、宣誓してもらう。


「先生。松平 元泰くんに言われて、嘘をつきました。長坂 光莉さんをレイプしたのは元泰くん達です。先生達がいじめを問題にしないから、一年の時からずっとやっていたそうです。克和は大学の合格枠が一つ空くからと選ばれました。私、元泰くんが好きなので、やりました」

 信美は、上手に言えたようだ。


 俺は驚いた振りを、崩してはいけない。

 次は、光莉ちゃんの暴露の番。誰が一番悪いのか……


「そうです。私は一年の時から、ずっとひどい目にあってきました。先生達は取り合ってくれないし、ずっとひどい目に。―― 武田君は何もしていません。ごめんなさい」

「ごめんなさい」

 二人共が、こちらに向けて頭を下げる。


 そう、あの後も、警察沙汰にはならず、協議中で止まっている。

 だが、夏休みを利用して、停学アンド自主退学を進められていた。


 学校に責任はないと、言い切る予定だった。


 だが、今回。彼女には被害届を出して貰った。

 他の奴らが持っていればどうしようもないが、主要な奴らのスマホは抑え、持っていたパソコンも抑えた。


 ただ、犯人達は……

 今ゲーム中だ。

 映画から、ヒントを貰ったデスゲーム。

 、人が生き残る努力をする。

 あれを、今は夢の中で体感して貰っている。

 超リアルタイプのVR。きちんと痛みも感じる精神感応の最新型だ。


 おかげで、おれは、苦手なのにシリーズを見る事になった。

 辛かったよ。

 光莉ちゃんは、頑張って貰うが、信美は今晩からゲームに参加して貰う。


 さあゲームを始めようか……


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 第5話に、一応続く。

 ゲームの内容は、ちょっと痛いので、不得意な方は此処で終了。


 身の潔白は晴らされ、受験勉強を頑張る克和。

 呪いから解放され、信堯君には及びませんが、友人も出来たようです。

 ただ、彼には世直しという裏業務がつきまとうように……


 奴が夢枕に立ち、お腹がすいたと言うそうです。

 法でさばけない悪人を、信堯君と共に虐める。

 現在の仕事人ですかね。


 この元ネタは、有名な小山田信茂。

 裏切り、信長に一族を殺された逸話。

 城に入ろうとした武田勝頼を銃撃したとか。


 ただ、歴史的には真偽は不明だそうです。

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