欲望に忠実だった柚葉

第1話 欲望に忠実な幼馴染み

 河合 柚葉かわい ゆずは二十歳。


 肩に掛かるか、かからないくらいのミディアムの髪。

 軽く色を抜き、ブラウンベースのベージュ系に染めて、ナチュラルイメージ。


 アーモンド型の目で、顎はすっきり。

 身長は百五十八センチ。バスト七十八センチ。ウエスト六十一センチ。ヒップ八十センチ。

 

 以上のデータは公称ではなく、柚葉の口称だがそうらしい。

 体重は、聞いてはいけないらしい。なんだか知らないが、法律で決まっているようだ。


 彼女が大学の構内を歩けば、幾人かの男がチラ見するくらいにはかわいい。

 まあね。元の素材というものがあるから。

 横にいる俺は…… 普通かな?



 柚葉とは小学校以来の腐れ縁。

 幼馴染みで、家が近く勝手に部屋に入ってくる間柄。

 いや中学校に入ったくらいから、俺、次野 幸雄つぐの さちお名前が古くさいのは、じっちゃんの一生のお願いで決まったらしい。


 あれは何時だったか。

 一方的に叱られて、中学校くらいから、部屋へ入らせてくれなくなった。

「へー、ブラなんかするんだ」

 ベッドの上に落ちていたブラを見つけ、そんな事を言って、揶揄ったのが最後くらいか。全くもって理由が分からない。俺の部屋へは、勝手に入り。たまに家捜しをするのに。

 

 今の付き合いになったのは、高校二年だった。

 周りがね、盛り上がったのだよ。

 男と女なるもの突き合い、子をなせと。


 でまあ、好奇心もあり、試して今に至る。

 柚葉がロングの髪を、やめたのはその頃からだな。

 

 俺とするときに、色々とジャマだとか。

 なにかが、髪に付くと取れないとか。



 さて、そんな柚葉だが、最近スマホを手放さず、画面を見せなくなった。

 前までは、そこら辺りにぽいぽい置いていたのにだ。

 そして、事後。

 半分意識が飛んだ状態で、

「これなら飲めるのに、不思議」

 などという、不思議な台詞をはいた事がある。


 ああ。うん。

 こいつ。エッチ大好きなんだよ。

 新しい知識を仕入れれば、試そうとする。


 何時だったか、真面目な顔で、聞いてきたことがある。

「私が他の男の人としているのを見たら、燃える?」

 そんな事を聞いてきた。


 当然だが俺は、きっぱりと「なら別れるだけだ」そう言い切った。

 すると奴は、なぜかすごく驚いていたけど、なぜだ。


 その時は、NTRが流行っていた頃だから、そのせいかと思ったが、少し笑ってもいられない感じがする。


 大学に入り、今はお互いに一人暮らしだが、同棲しているわけではなくふいっときては数日泊まったり、何日も来なかったり。

 特に月の内、女の子の時は全く顔をださない。


 そう、野良猫のような奴。


 そうして、ある日。

 あいつがふらっと来たが、シャワーを浴びた石けんの匂い。それは良い。


 だがかすかに匂う、男の体液の匂い。

 意外と匂うんだよ。


 勝手に飲み物を出して、テーブル横に座り、ポチポチとスマホをいじっている。


 俺は気にしていない振りで、奴が背もたれにしているベッドへ寝転がる。

 スマホの画面を見ている振りをしながら、カメラを起動させて奴のスマホ画面を見る。


「オールお疲れ。満足したか?」

「あーまあ。でも、ふにゃちんばっかじゃん」

「じゃあ。今度はラグビー部でも誘うよぉ」

 そして送られてくる、画像ファイルの数々。動画かも知らないが。


 ああ、こいつは。腐っていた。

 ついに、そこまで行ったのか。


 男も女も入り乱れた現場写真。

 匂いの理由が分かったよ。



 一応動画は撮ったが、その日から、情報を集めて回る。


 だが、予想に反して、すぐ証言は取れたし、証拠と言うか、会員制のページがあった。

「えっ。お前。あの子はやめた方が良いぜ。もっと良い子を紹介してやるから」

 奇特な情報提供者、運動部のA君は語った。

 ちなみにコイツも、やったことがあるらしい。殴りたいのを我慢する。


「一年の、夏前かなヤリサーの連中が、リゾートになっている無人島ツアーとかを企画して、そこからじゃないかな?」

 この大学。以外と学部があり人数も多い。

 その中で、エッチの好きな奴や金のない奴を集めて、サポート組合のようなものがあるらしい。


 デリ学生。

 要望により、男でも女でも派遣します。

 会員は、誰かの紹介のみ。


 人数を集めて、お試しがてら、無人島貸し切りで乱交。


 そんな伝統があるようだ。

 そうこの組織の歴史は、古くからある。

「大学の案内に書いてあっただろ」

 そう言われて、探そうとしたら「冗談だと」暴露される。


「お前みたいな奴は、絶対向いてない。こんど女の子誘って、飲み会するから来いよ」

 意外と良い奴だった。


 会員ページは、適当な管理らしく、アカウントでログインをすると全部見られた。

 見たことのある、あいつの友人達。

 大人びた、フェミニン顔の連中。こいつらなら、五人から六人くらいは男が振り返りそうな奴ら。この中なら、柚葉は目だたない部類だ。


 そうかそういう繋がりで、『乃愛と一緒だから』、『朱莉と一緒だから大丈夫よ』。

「ふん。だいじょぶよ。がっつり咥え込んで、お金を稼ぐから。だったのか……」


 セキュリティの甘いホームページ、画像も動画もぶっこ抜く。

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