第2話 彼女の心と俺の気持ち
かなり驚いたが、それを見て、どこか心が覚めた。
とりあえず、データの日付が重要だろうと、コマンドプロンプトを開きRobocopyに/e /dcopy:tを付けて、空のディレクトリを含むサブディレクトリを全部と、タイミスタンプをそのままコピーする。
当然ユーザーフォルダーすべてと、隠しフォルダーを開くとAppDataの中から必要なものをコピーしていく。
これにより、ブラウザのブックマークなどすべてが戻る。
そして、AppDataのフォルダ名から、使っていたブラウザを判断して、ページを開く。
閲覧履歴と、写真投稿ページ。
そして、会員制の出会い系。
必要情報を、すべてメモして魚拓を取る。
そこまでして、一応セキュリティアプデータを全部かける。
部屋に差し込む、日の光。
徹夜をしても、全然眠気はない。
これからのことを考える。
瑠璃の事を思えば、放っておくのは良くない。
もっと早く。
中二だと。なんだよあいつ。
距離を置いたこの数年。
悔しくて、涙が止まらない。
だが、見なければ、瑠璃に付きあってと言われれば、受け入れただろう。
でも、でも今は、許せない。
勝手だが、俺の許容できる範囲を超えている。
昨日されたキスですら、気持ちが悪い。
「どうすればいい?」
答えが出せないまま、大学にも行かず。
ベッドに寝転がり寝込んでしまった。
「ねえ、おにい。直った?」
そんな声に起こされる。
差し込む光は、すでに赤くなっていた。
今日は律儀に、部屋の前で待っていたようだ。
無造作にPCを掴むと、ドアを開ける。
「ほら、完全に一緒じゃないだろうが、これ以上は無理だ。悪いが眠い。そんじゃあ」
そう言って、ドアを閉めた。
その時に見えた嬉しそうな顔。
それは何にたいしてなのか?
昨夜、PCの修理を依頼してきたあと、あるブログが更新されていた。
瑠璃のファンクラブのようだが、今日の瑠璃ちゃんとタイトルが付いていたが、その内容はとてもじゃないが、まともじゃない。
その顔と、さっきの顔。
「どっちが本物だ? 瑠璃」
瑠璃の両親は、部屋にいないことを知っていたようだ。
データをまるごと入れた、ポータブルハードディスクを置いてきた。
その数週間後、瑠璃の家は引っ越しをした。
その後で、スマホに一通の文書が送られてきた。
瑠璃からで、あの日のこと。
勇気を出したのに、嫌われたと思ったこと。
自分の居場所を探していたこと。
最後に俺のことが好きだったこと。
でも…… もう会えない。
その一言で、閉じられていた。
そして、既読に気がついたのか、ユーザーは消えた。
その後、会員サイトなどはログインができなくなり、例のブログもなくなっていた。
抜け出せたのなら良いがと思いつつ、俺は瑠璃の居場所を奪ったのかとも後悔をする。
その答えはきっと俺には出せ無いだろうが、きっと答えも聞くことはできないだろう。
----------------------------------------------------------------------
この話は、日本においてパパ活の年齢が上がってきていると聞いたことから、書いていたものですが、内容が内容だけにまとめきれず止まっていました。
原因が、貧困ではなく意識の変化だという事で、驚いた話です。
自分の居場所を求め、誰かを頼る。
でも結婚はしない。
そんな事になってきているようです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます