第39話 チャッキー死す
「兄貴、大変だ。チャッキーが死んじまった。」
おおチャッキーよ
しんでしまうとはなにごとだ!
「静かになったと思ったら死んでるとか何なんだコイツは」
チャッキーの生命自体はどうでもいいが
死の直前気になる事を言っていた。
勇者のパーティだとか何だとか
情報は欲しい。
蘇生出来ないものか
俺はデビルアイでチャッキーを走査した。
目だった外傷は無い。
骨も内蔵も損傷は見受けられない。
血液の状態も良好だ。
脳も損壊なし。性能は知らん。
呼吸と心臓が停止してる以外は健康優良児だ。
どうして死んだの
これ電気ショックでイイだろ
俺は体内に貯蔵している水晶を手の平の付近に
移動させ、圧力を掛ける。
こうすると電気エネルギーが取り出せるのだ。
100円ライターなどでもお馴染みの仕組みだ。
問題は加減だ。
電圧ボルト高めで電流アンペアは低めなら
人体に害は無いんだっけ、
確か42ボルトを超えるとシニボルト
みたいなシャレで覚えた記憶がある。
計測器が作れない。
今、手に溜まってる電気が何ボルトなのか分からん
・・・いいか適当で
どうせ死んでんだし
「離れろー」
俺は両手の平をシャアシャア擦りながら叫ぶ。
この動作はしなくても電気は溜まっているのだが
映画とかでやるじゃない
テンション上がるわ
俺はチャッキーの胸部に両掌を当て
一気に電気を通した。
どうだ
一回で帰ってくるなよ。
こういうのって「帰って来い帰って来い」とか
二~三回やるのがお約束なんだから
ドン
本当にそういう音を立て
コメツキバッタの様に宙に浮くチャッキー
ビックリした
やべ
強すぎか
50cm位、宙に浮き上がったチャッキーは
そのまま地面に叩きつけられる。
「げ・・・ゲネポスッ!!!」
真剣な表情でそう叫ぶチャッキー
帰還した。
上体を起こし項垂れ息を荒くしているチャッキー。
「ハァ・・・・ハァ・・・死ぬかと思ったぜコンチクショー!」
さっきまで死んでいたとは思えない
元気っぷりだ。
「人間、そう簡単に死ぬワケないだろ」
チャッキーの正面にしゃがみ込みながら
俺はそう声を掛けた。
「・・・兄貴、もちょっとペース
落としちゃくれねぇか、追いていけねぇ」
色々と理解を超えている様子のヨハン。
まぁ後で解説してあげよう。
今は情報収集が先だ。
「・・・あんた達が助けてくれたのか?」
はぁ?という表情のヨハンを気にせず
俺は即答する。
「ああ、いきなり里の前で倒れたんでな
何事かと二人で駆け付けたんだ。」
コイツ記憶が飛んでる。
翔んだ男だとは思ったが
自分から売ったケンカを覚えていない。
このまま利用しよう。
「ありがとう!!助かったぜぃ」
潔く頭を下げるチャッキー。
「よせよ。人として当然の事だ。
立場が逆ならお前だって同じ事をしてくれるんだろ」
これが
恩を着せない恩の着せ方の応用
3コンボ目に持ち上げを追加したVerだ。
「ま・・・まぁな、でも世話になったのは
本当だ。感謝してるぜぃ!」
さて騙されている事に気が付く前に
情報を聞き出そう
考える時間を与えない方がイイ
「間違っていたら済まないが、お前
勇者の知り合いじゃあないか」
そう言われた瞬間で顔を真っ赤にするチャッキー。
「あ、やっぱ顔バレしてる。ハズいなぁ」
「やっぱりな、有名人だもんな」
「やめロッテおりおんずー!」
適当にに持ち上げてここにいる事情を聞き出す。
「まぁハンスさんが戻って来てない時点で
おかしいじゃん絶対。俺はそう直感したのよ」
勇者パーティの一員というのは
どうやら本当のようだ。
チャッキーとハンスでチャーハンとか言って
お笑い芸人デビューして欲しい。
「したらやっぱ俺の直感通りでさ
でも、なんか逃げ隠れろって事になって」
俺はそこでチャッキーの話を中断させ
自分の事情を適当に編集して話した。
聖都の女神は偽物
俺とハンスで本物を保護している事
今、ハンスと女神はベレンに居る事
勇者が故郷に戻らず行方不明な事
ここにいるヨハンは対悪魔用の
スペシャリストのモンクでこれからバリエアに
潜入してもらう予定だという事。
モンク=格闘する僧侶
「いや・・・兄貴、俺はもう信仰は」
そう言い淀むヨハンに俺は言った。
「信仰を捨てるのが条件じゃない
あくまで鍛えるまでの条件だ
鍛え終わったんだから
信仰を取り戻してくれ。
その方が強いんだからそうしろ」
「・・・いいのか?」
「お前の為じゃあ無い。聖都でバンバン
悪魔共を葬ってもらう為だ。」
「そういう事なら・・・分かった。」
事情と今のやり取りを聞いたチャッキー
君なら言ってくれるんじゃないか
「その計画!俺も協力させてくれ!!」
はいキター
「あぁヨロシク頼むぞ。」
そう言った俺が手を差し出すと
即座に握手で答えてくれるチャッキー。
「そう言えばここにはどうして
来たんだ?勇者を探しているのか」
勇者の情報が欲しい。
俺はすっとぼけてチャッキーに話し掛けた。
「村でさ、妙な噂を聞いて
そいつを確かめに森に入ったんだ」
チャッキーの話によると
森の妖精が現れ多種族抗争を一蹴した
などという噂がはびこっているそうだ。
「ふーん。で妖精がコイツだと」
俺は親指で後ろに控えているヨハンを指さした。
「いや、妖精はさ確かにマッチョなんだけど
人間の外見じゃないらしいぜ。なんでも
背中から翼が生えてるとか」
じゃ、なんでさっき間違えた。
「もしかして・・・」
俺はちょっとイタズラ心が疼いた。
「コンナ姿カ!!!」
そう言ってデフォルトサイズにチェンジする俺。
人間が死なない程度(当社比)のオーラ放出もオマケだ。
しかし、チャッキーは微動だにしない。
落ち着いたモンだ。
ちぇっ
少しくらいビックリしてくれてもイイのに
なんだかんだ言っても
流石は勇者パーティの一員だ。
俺は半人化に戻った。
「なーんてな・・・ハハ」
ハズしてしまってバツが悪い。
なんて突っ込みが入るか予測しておかないと
しかし、チャッキーは微動だにしない。
「おい・・・チャッキー?」
話しかけるが反応が無い
そして糸が切れた操り人形の様に
受け身を取る素振りもなくチャッキーは崩れ落ちた。
「え?」
チャッキーは死んでいた。
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