第8話
・・・
あ、目が覚めた。
何時だ?23時14分。
大きく欠伸をする。すごくよく寝た。
まだ疲れが残ってるのに調子がいいという矛盾。
ボーっとする。
そのまま用を足して扉を開け手を洗う。
傀儡もいた、かなり損傷している。
ヒト型エイリアン傀儡…
俺の傀儡か…
ちゃんと水通ってるな。
外で音がした。
・・・
ん?車の音?
窓から外を見ると普通に車が走っている。
は? なんだそれ。
ジャンクションはほとんどの店は閉まっているが人が普通に通っているし
もちろん車も。
戦闘後の破壊されたショーウィンドウやら看板やら車やらも何もない。
もう一度ヒト型エイリアン傀儡を見る。
傀儡のボディに触れてみる。確かな感触。
へー、なんかエイリアン感がやっぱりあるな。
のっぺらぼうで口はあるけど目がない。歯は人間より明らかに鋭い。
灰色の肌で毛が無くて瘦せていて猫背。力は人間とは比べ物にならんが。
ちょっと待てこの店は?
入口の近くにあったポスターに書いてあった。
月曜と火曜は休業日か。そんで今日は月曜なのね。
なんか普通の世界に帰ってきた?
じゃああの世界は?異世界?
とりあえず瞑想しよう・・・。
よし・・・
まずはこんな傀儡連れて歩けないぞ。
大騒ぎになる。
傀儡を見ていると、イメージが見えた。
それに合わせて幻視が発動された。
傀儡に分解を命じるイメージ。
その通りに傀儡に分解を命じる。
傀儡がそのまま崩れて床に散らばる、散らばった部位はそのまま灰のようになった。
何かが残されている結晶、小指の爪ほどの大きさのクリスタルみたいな結晶。
あのヒト型のコアだとわかる。
とりあえず大事に持っておこう。
バーを見回していると監視カメラがあることに気づく。
はぁ、どうしよう。
何も盗らなければ確認しないと思うんだけど。
窓から出ていって家に帰るか、ここの鍵持ってないから閉めていけないからな。
てか俺の車どこだ?ショッピングモールにあるかな。
窓から出る前に手に持った結晶を観察する。
幻視が発動する
異世界獣 ヒト型 のコア
容量 450 というイメージが一瞬見えた
450って 霊気のか。
傀儡師の左手は対象を傀儡化できる。
傀儡化できるのは死んだ生き物か意識がほとんどない状態のもの。
もしくは自ら同意した場合と精神的に俺に降参したもの。
まだ生きてるエイリアンでも傀儡化した時点で「傀儡」という存在になる。
真夜中にジャンクションのバーから
ショッピングモールに向かって隠形を使いながら走っていく。
隠形の習熟度があがり、今は実際に気配だけじゃなく見た目も透明人間かというほど周囲に紛れられる。
音もなく時速80キロ以上出しながら走っている。
10分ほど走っているがあまり疲れない。
さすがに一時間とかはきついかもしれないけど。
ほどなくしてショッピングモールに到着して車を確認する。
もう駐車場が閉まっているから出せないけど。
明日取りにこよう。
家に走って帰り、2日ぶりにシャワーをあびて寝る。
とりあえず生き延びた・・・
よかった・・・
朝起きて瞑想、冷たいシャワーを浴びてPCでニュースを確認するが何もない。
ただしあの公園で死体が見つかったこと。
不審な行方不明者および死体が10件以上も今月だけで見つかったというニュースはあった。
一体どうなってるんだ・・・。
世界がおかしくなっていってるような感覚。
ふと鏡をみると
体つきが以前よりたくましくなってる。
もともとジムでトレーニングはしてはいたけど。
ここまでじゃなかった。
軽くシャドーボクシングをする…
……普通の人間の動きじゃない。
腕立て伏せをする…
指一本でも全く疲れない。
背筋力で足を浮かせて指だけで逆立ちではなく腕立て伏せが出来た。
鏡の前で隠形を使う。
体が透明になった。気配も恐ろしく希薄だ。
カメラを持ってきて撮ってみる…
写真でとってもかなり見るのが困難だ。
動画でも同じだった…
改めて自分が麻痺していたことに気づく。
ちょっと待て。
普通の世界に戻ってきてるけど、なんか色々凄い能力を体に宿してるんだが…
梅昆布茶を一杯飲んで自分を落ち着かせる。
はぁ、やっぱこれだわ…
湯呑を洗って外へ出る。
ショッピングモール駐車場に車を取りに行く。
車をまじまじと見るとやはりあのクモにやられた形跡は何もない。
あの世界でおきたダメージは反映されない?
でも人間の死体は?
どのくらいの死体があったっけ?300くらいか?
多いのか少ないのかわからない。
あの世界にいった人間の数は意外とそこまで多くなかったのかもしれない。
思考してる最中に何気なく、携帯をみると10時半だった。
あ!そうだ、ついでに携帯を新しくするか。
適当なものでいい、どうせたいして使わないし。
携帯を新しくした後。
すこしショッピングモールで買い物してから
例のジャンクションに車で足を運ぶ。
アクセサリーや雑貨を扱ってる店にはいり宝具作成に使えそうなものをいくつか買ってみる。
3万ほどかかった。
店をでたときに誰かがあのバーにカギを開けて入っていくところが見えた。
後を追ってバーの扉を何度かノックする。
「はい?」
20代後半くらいの男が出てきた。
傀儡子の左手から糸を出して男の頭部に刺してみる。
「すいません、このバーについて聞きたいことがあるんですが、中で話してもよろしいですか?」
「ハイ、イイデスヨ」
中に入りこの店儲かってますか?あなたの名前は?
などと色々一時的に操作してこの店のオーナーだという男を質問攻めにする。
ギリギリで傀儡化しないでもできると思ったがやはり操作できた。
霊力?の差があかなりあるとこういうこともできるようだった。
コバヤシというらしい。日本人で俺より少し年下だ。
監視カメラのデータはコバヤシにに消してもらった。
あの世界からの生き残りに会いたい。
傀儡糸をつかってコバヤシに色々ためしていく。
簡単な命令などは解除しても続くみたいだけど操作しているときの記憶がぼんやりとあるようで
不自然すぎることには首をかしげていた。
用は済んだので自分の家に帰って買ってきたものを整理する。
あとコバヤシにも感謝のチップを少しだけ渡しておいた。
コバヤシは何度も首をかしげていたけど。
クリスタルにチェーン、翡翠、タイガーズアイ、鳩時計。水。小さな観葉植物。
タロットカード。
などなど。
こんなもので何ができるかわからないが。
早速宝具作成を念じる
素材をみていると自然と手が動くクリスタルと翡翠を両手にもってすっと合わせると2つの素材が変形していく。
チェーンをさらに合わせる。
翡翠とルチルクオーツが合わさって親指大のどこか陰陽を彷彿とさせるデザインのものになった。
それにチェーンが合わさってペンデュラムとなった。
ペンデュラム・・・振り子か・・・
宝具完成しました
翡翠とルチルクォーツのペンデュラム
脳裏にイメージが浮かぶ
触 媒 占
結構かっこいいけど、どうなんだろうか。
まぁ、初めてだししばらくはそんなもんか。
それより触媒に占いか。
どうやって使えばいいんだ。
チェーンをもって揺らさずに話しかける。
精霊よ、どういう風にこれをつかえばいい?
あ、YESかNOで聞かないとだめか。
「教えてくれスピリット、これは俺に何をしてくれる?」
視界がジャックされたような感覚。
白と深く暗い赤が混じったようなイメージが視界いっぱいに広がる。
幻視 発動
AN K H
???
アン ケ・・
アンク?ああ、そうだ。
あのアンクおれどこへやった?
たしかポケットにしまったはず。
家に帰った時にシャワーを浴びて・・・
そうだパンツをそのまま脱ぎ捨ててそのままにしてた。
とりあえず、アンクを取りに行き机の引き出しの中にしまって服を洗濯する。
意外でも無いけどとペンデュラムと幻視が自然と連動したことに少し困惑する。
R
週末。
住んでいる都市から車で2時間半ほどのところにある田舎にいた。
おとぎ話に出てくるような森の中だ。
知り合いがここに使わない別荘があるからもし掃除してくれるなら使っていいって言ってくれたから来てみた。
ちょうど休みたかったし。
あの異常な世界からこの元の世界に戻れて1週間が過ぎた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます