double psycho collide # ﾀﾞﾌﾞﾙｻｲｺｺﾗｲﾄﾞ

１章 異界衝突

第1話

プロローグ

重苦しい会議の雰囲気の中

とある宇宙が終わりを迎えようとしていた。

宇宙同士の衝突。

手は尽くされた。

この宇宙で最も発達した種が総力を結集してもこの終焉は避けられなかった。

種の代表たるものが呟いた。

種は蒔いた。

我々の宇宙が崩壊し、もう一つの宇宙が残る。

新しき混沌の世界となって。

体も意識も、我々の叡智も何も持って行けずとも

種は蒔いたのだ。

我々は種となり生き残る。

種は可能性となり

新しき混沌の世界にていつの日か

芽吹くだろう。

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夕方。

車で通りがかった公園の近くに停車する。

こんな公園近所にあったんだな…

今までずっと近所にあったのに気付かなかった公園の存在を知って

何となく入って散歩したくなった。

ずっと見過ごしていた割にだいぶ大きな公園だ。

運動公園とでもいうのかな。

運動場があってベンチや休憩施設もある。

誰もいない公園を歩いていると突然妙なイメージが脳裏に浮かんだ。

新世界　UPDATE　異界衝突　新しい混沌　宇宙反応

世界？　UPDATE？　衝突？

……なにそれ。

ふーん、そうなんだ。

よくわからないけど。

UPDATEねぇ…

もし世界がUPDATEされたらどうなるんだろう。

ふと疑問が湧いたが、

何の答えも湧いてこない。

何となくあたりを見回す。

なにも変わったようには見えないけどね。

さっき見たイメージについてなぜか

もし本当にUPDATEされたなら良いことが起こるといいな。

そんなことを思った。

それにしても最近世界が鮮明に見える、子供の頃よりも世界が綺麗だ。

オレンジの陽の光が公園の景色をどこか非日常的なものに感じさせた。

夕方って好きだな。何か記憶に焼き付くような魔法が夕方にはある。

記憶か…

　もう季節も秋に入る。

少し肌寒くなってきたな。

遠くのほうに見えた老人の格好を見て

自分ももう少し厚着のほうがよかったかな。

　衣替えも始めないと。

そうだった忘れてたな。衣替え。

記憶ね。

そう思った時さっき街頭テレビで流れてたニュースを思い出す。

たしか街頭テレビでNEWSが流れていた…

　たった今XX公園で人間の死体が発見されました。

死体の惨状からは通り魔などではなく大型の肉食獣。クマなどが街に出現した可能性があると警察が注意をよびかけています。以上ニュースでした。

　逆光の中

公園のベンチ近くにいた老人を何かが襲った…

老人の影がもう一つの影に攻撃されたところまで見て

反射的に逃げ出す。

逆光でほとんど姿も見えなかった…

なにかの動物、熊とかか？

あんな簡単に人間の頭部をぐしゃりと…

引き裂いたのか撲殺したのかもわからないけど。

走って逃げきれるとは思えない。

すぐそばの休憩施設となっている建物に逃げ込む。

ドアを閉めて鍵をかける。何も音はしない…

追いかけてこなかった？

いや、俺に気づいていなかった？　わからない。

震える、焦っている自分がいる。

えーとどうする、どうする？

とにかくドアにカギはかけた。あー、ちょっと待て。

熊なんてカギなんぞかけても簡単にドアごとぶち破って来るんじゃ…

部屋の中を確認する。何か動かしてドアのところにバリケードとか作ったほうがいいのか？

それとも、音を出すほうがまずいか？

ドアに立てかけるものなんて部屋の中にはほとんどない。

クソっ…

追いかけてきてたよな？俺がここに入ったのもばれてるよな？

静かだ…

何処かへ行った？

もういないのかもしれないけど…

そう簡単にここを出るはない。

この部屋の窓がすこし気になる。

あそこを破ってこられたら、と想像してしまう。

一応武器になるものとか探したほうがいいか…

なんかないかな…

給湯室があった。

ポットがあるからお湯を沸かしておこう。音は多分大丈夫だと思いたい。

お茶を飲んで落ち着こうか、それともクマにぶっかけるか。

落ち着いてる場合か？頭が混乱している。

近くの棚の中を探す。清掃用具があるくらいだ。

武器になりそうなものはモップとポットのお湯とイス。

熊相手には、もう相当に頼りないメンツだ。

モップのブラシの部分が取れそうだ。

邪魔だし、取っとくか。

とりあえず

窓から外の様子を窺がう。

あ！

学生が走ってる。ジョギングしているようだがクマがいるかもしれないぞ。

どうしよう。注意を呼び掛けたほうがいいか？

男子学生らしき青年はジャージ姿で。

顔は逆光でよく見えない。

光が目にちらつく。

一瞬

青年が数メーター吹っ飛ぶ、そのまま起き上がってこない。

青年はもう動かない。

かろうじて何かが青年に襲い掛かったのだけはわかった。

熊の姿が見えない、また姿を見逃した！

あの老人を襲った何か…

違和感を覚える。

よく見えなかったが…

一瞬で人を襲って殺した直後には何処かに姿を隠してしまう。

偶然なのか？　

息を殺す…

……できるだけ気づかれないように注意しながら外を見る。

！！！！

部屋の

窓が割れる音！

熊…じゃない。

灰色の毛のない猿のような人間のような

どことなく地獄の餓鬼を彷彿とさせる、腹の出たサル顔の人間？　亡者？

真っ赤な目の化け物…

それが部屋の窓を割ってこちらを凝視しながら部屋に入ろうとしていた。

なんだこいつは…

窓のほうへ近くにあったポットを投げつける。化け物に当たったかどうかも確認せずに

即施設から飛び出す。

飛び出した休憩施設裏手のほうのフェンスに人がギリギリ通れそうなに穴があいていた。

そこから公園の外に飛び出す。

公園の前にある川沿いの道に躍り出る。

車まで２００メーターくらい、遠すぎる…

フェンスのほうからガサガサと音が聞こえた！

すぐ目の前にある川の堤防のほうへ隠れるしかない！

ガードレールを飛び越えて堤防を転がり降りていく。

！！！！

またフェンスが強く揺らされた音！

まだ公園の中にアレがいる。

すぐに止まり、静かに気配をころす。

背の高い草が密集している川辺に隠れた。

下半身は川につかっている。上半身は川辺にある草で隠す。

どのくらいそうしていただろう、時計を見ると６時１４分。

何時にアレと遭遇したんだろうか。

１時間もないかもしれない。

ここに隠れてからは５分くらいか、寒い。

もう９月だしパンツも思いっきり水を吸ってる。熱を奪われる感じが嫌だ…

そろそろ動き出していいだろうけど…

幸いアレは追いかけてきていない…

とりあえず車に戻るか？

それとも…

いや、もどろう。

　無事車にまでたどり着き鍵を閉めエンジンをかける。

とりあえずここを離れたいし、

あの化け物がまだどこかに潜んでるかもしれない。

近くのショッピングモールを目指すか。

ていうか警察に通報しないと、携帯をみると見事に壊れていた。

まじか、防水のはずだけど。

携帯を後部座席にほおりなげる。

　車を走らせショッピングモールに向かう。

少し疲れたな、服もびしょびしょだ。

神経を高ぶらせすぎたのか、頭が真っ白なまま目的地に向かう。

思ったより早く着いた、

立体駐車場の屋上に駐車。

服がずぶ濡れなんだが…

はぁ……誰かに事情を説明して警察に連絡してもらうか、というか

どう説明するんだよ。こんなこと。熊じゃなくて見たこともないような化け物が公園で人を殺したところを目撃したんですがーっていうのか？まぁ言わないわけにもいかないか…

少し眠いし、疲れた…

　それより

ついた時から思ってたがなんかこのショッピングモール人の気配が全然ない。

駐車場の車の数もいつもよりずっと少ないし。そういえば、

ここに来るときの道中も車を見かけなかった。

どういうことだ？　なにが起こってる？

あれ？なんか強い眠気が襲ってきた。

ダメだ…あらがえない…

無理だ…

眠い…