舞台は亜人や獣人が暮らすファンタジー世界の街。
父親から受け継いだチキンの焼き物が名物のお店を経営する女性ミオは、かつての従業員に秘伝のタレを奪われて、危機に陥ってしまう。
そんな時にたまたま彼女に拾われたみすぼらしい中年、パシャは妙に的確なアドバイスと知恵で店の経営を救っていくのですが……。
元同僚に裏切られて危機に陥っている居酒屋を、謎めいた過去を持つ主人公があれこれと問題を解決し、町の名物とまでいえるお店にしていきます。
その過程でタイトルにある通り「こんなこともあろうかと」と都合がよすぎるくらいに段取りを整えて、やがては町全体を活気づけていくのです。
しかし決して何でもありの魔法で解決するわけではなく、読んでいてなるほどと納得するような経緯と方策で店を発展させていく様子が描かれていて、政治的・経済的な背景も描写されているので展開に説得力があります。
地に足の着いた展開で主人公が活躍する話が読みたい方にお薦めです。