横須賀ラプソディ
荒川 麻衣
第1話 口上
銀河系第三惑星の地球における、アメリカ合衆国は東海岸にあるニューヨーク。この土地は人工都市で、摩天楼が並び立ち、サイエンスフィクション、科学的な作り話には、ぴったりの土地だが、黒いウワサがそこには横たわっている。
たとえば、セントラルパーク、中央公園では、今でもアヘンの違法売買がおこなわれていて、第二次世界大戦から売り続けているチャイニーズ、中国人がもうけているとか、ニューヨークの路上にかれこれ50年以上居座り続け、すべてのロングランミュージカルを見届けた、謎の老人とか。
もっとも華やかで、もっともきらびやかで、世界一格差が大きいこの芸能の街で、大英帝国出身の作曲家、アンドリュー・ロイド・ウェバー、今じゃサーと呼ばれる人間が大半を手がけたミュージカル、オペラ座の怪人が、終わった。
すでにこの国は、自分でオリヂナル、最初から最後まで自分たちの手、移民たちの力を借りながら作られたこの街、そこにはかつてイタリア系の抗争、いわゆる、マフィア、ジャパニーズ、ハポン、ハポネーズ、ジャポネーゼの言葉ではヤクザ、暴力団と呼ばれる人間が華やかに酒を売りさばいた時代もあった。
酒が禁止され、まるでイスラム教徒のように振る舞わざるを得ない時代があったのだ。
そんな暗い時代を得て、今度は株券が紙切れになり、売り抜けた男の子供が大統領になり、死んだ。
黒人が権利拡大を叫び、アジア系が耐えに耐えた、この場所で、黒人が舞台に上がれても、アジア系、アジア人は舞台に上がれない。
お前ら黄色い人間は、白人、黒人の健常者が立つ舞台にお金を払えばいい、ただし、舞台には上がらさせない。
いまだに、ブロードウェイにおいて、オリヂナル、つまり、最初の配役は白人、人種差別に配慮して黒人を少々、アジア系は、スポンサー、パトロンとして標的にされることはあっても、ニューヨークの弾丸、選考委員は白人で埋まっており、ごみたる白人、ホワイトトラッシュが選ばれることも、最下層の黒人が選ばれることも、アジア系で食いつないでいる俳優が、選ばれることも、ない。
つまり、十字架は、神を二つにでなく、十字に切り裂いたのだった。
だから、職にあぶれたアジア系は、こうするしかない。
こう言う風に。
舞台は、ちょうど、オペラ座の怪人がはねた後の劇場。
舞台の後片付けを誰がやるか、知ってるかい?You know?
そいつこそが社会の最下層、仕事だけはきっちりやる、たとえ最低賃金以下でも。
白人のゴミどもがやりたがらない仕事がふってくる。
この、アジア系と言う、人種には。
さて、おしゃべりがすぎたところで、ご登場願おう。
ところで、現代において、ミス、ミスター、ミセズ、と言うのは禁止らしい。
どうでもいいが、結婚してもしなくてもヘイ!ミスター!な男性と違って、なぜ女性は、女性として生まれたばっかりに、結婚前はミス、結婚後はミセズ、なのだろうか、日本語のようにさん、さま、をつければどうにでもなるのに、英語という言葉にはなぜか、男女差別的な敬称しか見当たらない。
なぜ?英国人。
準備が整ったようなので、お呼びしましょう。
ハルオさん、アキヒトさん、準備、できましたか?
わかりました。
お呼びしましょう。
ハルオさん、アキヒトさん、出番ですよ。
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