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洪太はステージ袖で待機している間、指先の痺れで緊張を自覚する。

ステージ衣装は全国ツアー用に一新され、

この日のために新曲も準備してきた。


新曲だけじゃない、歌に合わせたダンスもイラストもグッズも全て、この瞬間の為に積み重ねてきたのだ。


 そして、ネットアイドルとして

始まりの地である福岡へ帰ってきた。 


1人でひっそりと続けてきた音楽が、

大和との出会いで、こんなにもたくさんの人に応援してもらえるようになったのだ。



 人の可能性を拡げていきたいという大和の口癖と共に、音楽で誰かの居場所を作りたいと願って走り続けてきた。

その成果をステージで証明したい。


 先に目標へ近付くことを、夢に進んでいる姿を

客席にいる大和の目には、どう映るだろうか。


 叶えた夢の先で、また一緒に笑いながら過ごせるまで、前に進むから最後まで見ていてほしい。




音響スタッフが流す登場SEが段々と大きくなる、手拍子も比例するように大きく聞こえ始める。




洪太は、リーダーの合図と共に

ステージへ踏み出した。

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