02

『人の可能性を拡げたい』




年を越して1月の第2土曜日。

ついに、この日がやって来てしまった。

あらかじめ洪太からのゲストパスは断っていたので一般販売でのチケット入手になる。


「あー、チケット入手の方法ってコンビニだっけ。よく分かんないな。」


 今日は大切な日だからと、会社の新年会は断った。

前日からチケットの確認をネットでしていたはずなのに、大和には未だ理解が出来ていない。


週末まで溜め込んでいた疲れが、身体をベッドに沈めている。



「これはコンビニまで行かなきゃ分かんないな。」



 大きく伸びをして、身体の上で寝ている猫と、

重たい上半身を起こし、ベットから出ると準備にとりかかる。


 洗面台に立ち寝癖を整えながら、鏡に映る自分の姿に、ふと不安な気持ちを覚える。


 あれから、ちょうど2年。

ちゃんと叶えたい未来へ歩き出せてるのだろうか。

ライブを見なくても、洪太はきっとキラキラと輝いてるんだろう。

自分の姿はステージからどう映るのだろうか。


 

 洪太が言っていた、音楽で誰かの居場所を作ること。きっとその目標に向かっている姿を痛いくらいに見せつけてくるのだろう。



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