第82話 勇者一家の楽しい食卓
｢なんだぁ‼️知ってたのかぁ⁉️｣
ブツブツ文句を言う雨月。
ドラゴン素材を届けて数日。
いきなり王宮に押し掛けて来た。
見事に夕食時で、一緒に食卓を囲んでいる。
『全く昔からこいつは……』と、わたしは頭が痛くなる。
本日はドラゴン肉を使ったメニュー。
鼻いいな、雨月。
｢皆さんは、ドラゴン肉のポテンシャルに頼り過ぎだと思うんです‼️｣
急に世奈が言い出したのだ。
例えば豚も、ロースならトンカツやソテー、モモや肩なら切り落としにして炒め物とか、部位に合った料理となる。
ドラゴン肉は旨い‼️
旨い‼️から、どの部位だろうとステーキにしてきたが、
｢やっぱりこれじゃあ駄目だと思う‼️｣と、熱く語る世奈。
うーん、凝り症。
で、肉の大部分は王宮の食堂に提供したが、一部はこっちに貰ってある。
世奈いわく、『モモ』の部分で作ったのが、『赤ワインたっぷりデミグラスソースのドラゴン肉の煮込み』。
……
わたしだと、あまりお洒落料理の説明がうまくないな。
ビーフ(本当はドラゴン)シチューではなく、ステーキみたいな固まり肉を、野菜とワインたっぷりのソースで煮込んだ。
ドラゴン肉って、基本A5和牛と比較されるって言うか、和牛を上回る旨さなんだけど……
なんだ、これ。
……
口で溶ける。
……
絶品。
こう言う料理なんで、皆パンに合わせているが、1人米至上主義者がいる。
｢いちご、あんた、1番パンな見た目なくせに。｣
金髪だしね。
｢うるさい、千夏‼️そっちも、本当は米がいいんだろうが⁉️｣
きっちり言い返されて、図星だ。
絡み損だった。
お代わりは米にしよう。
ほむらも無言でかっ込んでいる。
蟹でも食べているかのような、無言。
まあ、美味しいんだよね。
ただ、ファミレスで食事する感じのほむらに対し、世奈は食べ方がキレイ。
やっぱ、いい家の子だと分かる。
ちなみにハイは、いちごが召喚した『赤ちゃん煎餅』を齧っている。
ハイ君や。2ヶ月にもならない赤ん坊は、普通は離乳食は食べられません。
｢んで、なんで分かったの？｣
きっかりドラゴン煮込みをお代わりして平らげてから(おいっ‼️)、雨月が話を戻した。
彼女は15号勇者、16号勇者の目撃情報を知らせに来てくれたのだ。
｢ん。｣
最終的には、ソースに米を突っ込むと言う、ある意味とっても日本人な食べ方をしていた、いちごが片手を上げてみせる。
｢何？｣
｢それ、私。｣
｢は？｣
｢ああ、いちごは感知系スキルを持っているんだ。魔力感知で、昨日勇者しかあり得ない大きめの魔力が2つ、王都に入ったって。｣
｢うぇ⁉️マジなんだぁ⁉️｣
いちごの余りな多芸っぷりに、マッドサイエンティストの食指が動く。
｢やっぱ、真面目に研究してみたいわ、30号のこと。｣
｢私には、部分的にしか毛は無いから止めてくれ。｣
断るにしても……
言い方ぁ‼️
ともあれ、15号と16号の情報を共有する。
｢で？奴ら、やっぱり教会狙いなの？｣
｢そうだね。7号になら勝てるからって、敷地内に飛び込もうとして、見えない壁に当たって跳ね返されて、慌てて逃げていった。｣
｢｢｢……｣｣｣
呆れてコメントしようが無いわたし達の代わりに、
｢馬鹿な鳩、ですね｣と、ほむらがまとめた。
鳩君達の、目的が判明した。
残念なことに、真面目に結界発生装置を狙っている。
そして、相変わらず馬鹿で、自分を過大評価する。
7号になら勝てるって、馬鹿か⁉️
雨月が真面目に戦ったら、スキル『完全記憶』で弱点をピックアップ、あとはただの私刑だぞ。
｢まあ、ヒットアンドウェイくらいは出来るらしくて、今はまた王都から出ていったから。しばらくは安心していいぞ。｣
いちごが閉めた。
わたしはアホウ2人について、
『ゴブリン村じゃ甘かったか。次はオークかオーガの村だ』と、秘密の決意をするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます