第69話 雑炊パーティー
事務所に着いて、ソランは、
「ほぇ?」と、間抜けな声をあげる。
魔物被害に遭うまでは、親と、普通に『家』に住んでいた筈だ。
でも、それでため息が漏れるくらい、路上暮らしが板についてしまっていた。
「な、なぁ、兄ちゃん‼️ここ、兄ちゃんチなのか⁉️」
「うん。」
「え?ここで何してんだ?」
『ああ、そこか』と納得し、
「配達屋だ」と答えた。
「配達?」
「ああ、さっきあの姉ちゃんも言ってたけど、俺達は勇者だ。
だから、」
側にあった机を一瞬で収納、直後、出して見せる。
「アイテムボックス、あるからな。荷運びには最高だろ?」
「うわ……」
驚き過ぎて声も出ない、少年に次に渡されたのは、いちごさんのアイテムボックスから出た毛布だ。
なんか、孤児達に渡そうと王宮のゲストルームから剥ぎ取ろうとし、役人達から泣きが入った。
兵士用の予備を大量ゲットしたらしく、中々に子供には大きくて、良い毛布だった。
「ソラン。それは君の。
明日他の子にも配るから、終に道具借りて名前書いてな。」
その後いちごさんは、カナンを毛布にくるんでから応接セットのソファーに寝かせる。
「……
まあ、いいか。この子ら2人は、オーパーツで。」
直後召喚されたのは、フリーズドライの雑炊セット。
「……作らないの?」
「作れると思うか?」
「俺が悪かった。」
「終、皿。」
「あいよ。」
「小僧は……まあ、鶏雑炊でいいか。」
いちごさん、それ、確かに1食だとしたら少ないけどね。
そうやって食うもんでもないよ。
フリーズドライ3つを一気に皿に入れると、
「ソラン、生活魔法は?」
「出来るよ、一応。」
「お湯は?」
「は?」
ソラン、呆気。
「いちごさん。お湯とか出せるの特殊だから。普通は水だけ。」
「そうなの?じゃ、今回は。」
いちごさんは皿に熱湯を注ぐ。
「それ、ふやけさせてから食べな。」
いい匂いが立ち上って、待ちきれない、熱さに顔を歪めながら口に入れる。
「旨っ‼️何これ⁉️」
大騒ぎを尻目に、タマゴ雑炊を作った?いちごさんは、カナンに食べさせ、薬品合成で作った水薬を飲ませた。
その後、もう1度毛布にくるんで寝かせる。
「まあ、若いからね。明日には治るさ。」
雑なのに優しいいちごさんが、ポンポンとカナンを寝かしつける間。
「これ?……かな?」
必要量を多きく上回る食料を召喚する、そう言う性質ないちごさん。
首を捻り、腕を捻り、魔力まで捻った?ソランが、
「やったぁ‼️」
意思の力と言うか、食欲ってスゴい。
生活魔法上級の、お湯を出すことに成功した。
「兄ちゃん、これは?」
「梅、だな。酸っぱいぞ。」
「これは?」
「鮭だな。魚だよ。」
「魚‼️食ったこと無い‼️」
「旨っ‼️」
鮭雑炊、3つ入れて湯を注ぐ。
ソラン君、それ、最低単位じゃないぞ。
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