第18話 米うめえ(^∇^)

 「お待たせしました。出来たよぉ」と、世奈が戻って来た。


 ???

 何故か手ぶらだ。


 これが、『コミュ強』と言うものなのだろうか?


 いつの間に仲良くなったのか?

 世奈の後ろには、料理を運ぶカートを押して、召喚勇者ではない、この世界の壮年の男性がいる。

 

 白衣姿だ。


 「料理長⁉️」と、千夏が言った。


 「ちびをありがと、いちごさん。」

 「ああ。」


 世奈の腕に息子が戻り、米実食と相成った。

 

 料理長が給仕してくれた。


 茶碗は無かったのだろう、平皿を使ったファミレスのライス盛を3皿と、余った分をまとめてよそった大皿に米がドーン‼と。


 「あと豚……オーク肉って言ったっけ?和の調味料が無かったから生姜焼きは無理だけど、ピカタと、ゴマがあったから炒ってゴマ塩作ってみたよ。」


 うおぉぉぉっ‼

 マジ優秀、世奈‼


 ご飯の友もがっつり用意されていた。


 食べてる間は、料理長がちびの面倒を見てくれた。

 「マリウスさんは、4人の子の父親だから安心だよ」と、千夏が言った。


 米は……

 

 やっぱ旨い。

 日本人なら米だよね。


 ゴマ塩をかけるのもさっぱりして旨いし、ピカタ、旨し‼


 ガツガツ食べて、気が付いた。


 世奈はまず何もかけずにそのまま1口、残りはおかずと合わせて、ゆっくりゆっくり味わっている。


 ああ、そうか。

 私は召喚数日だが、世奈はこの世界にきて1か月。


 米禁も1か月なんだ。


 ちょっと長く海外に行くと、日本人は米が欲しくなるという。

 米のある国で、それが基本炒められていたりすると、むしろフラストレーションがつのる。


 なら、10年間米を食べなかった千夏はさぞかし?


 視線を向けると、千夏はいつも通りの顔で食べていた。


 ああ、大笑いをしたりもするが、千夏は基本気持ちを顔には出さない。


 ただ食べているが……


 「千夏?」


 気付いてしまった。


 千夏はおかずを食べていない。

 米だけで延々1皿。


 つまりそれは?


 旨かったと言う事か。


 「いちご、お代わりいい?」

 「ああ、うん。」


 うわっ。

 2皿目もそのまま食べてるよ。

 あ、半分くらい減ってから、やっとおかずに手を出した。


 いやいや、姉さん。

 今10時。

 昼には遠い中途半端な時間に、ガッツキ過ぎだよ。


 ……


 なんとなく10年の重みを見ている気がした。


 食べ終わって、ちび息子を世奈に戻した料理長が、何か言いたそうにしていた。

 

 「あの、勇者様方。」

 「ああ、食べてみたい?どうぞ。」

 「あ、ありがとうございます。あの、これは?」

 「私達が元々いた世界の食べ物。主食。」

 「主食?」

 「こっちの、パンみたいな食べ物ね。」


 料理長は米だけ食べて、その後おかずと合わせたり、ため息をついたり。


 「あの、これはどこから?」

 「いちごが……昨日召喚された子がスキルで出した。」

 「あの、これを私達に提供することは?」


 至極当然の展開に、有無を言わさず千夏が言った。


 「駄目だよ。」

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