第16話 ご飯を炊こうと、魔力量おかしくない?

 「たのもぉ‼️(←何を💦)」と、厨房に押し掛けた。

 コンロを1つ貸してもらい、米を炊こうとすると……


 うん?

 魔力を使うタイプかな?

 

 日本のと見た目変わらない。

 さすが10年前から召喚勇者のいる国‼️(4回目)


 初めチョロチョロ、中パッパッ、だっけか?

 言葉だけしか覚えてないや。


 悩み悩みな私に、

 「やろうか、うちが?」と言ってくれたのは、いい感じに敬語がとれてきた世奈だ。


 16歳が1番頼りになる不思議。


 「ちび、頼みます。」

 「あ、うん。」


 先程液体ミルクをたっぷり飲んで、ふにゃふにゃしている赤子を受け取る。

 やっぱり量が足りなかったようだ。


 「悪いね、世奈。私もササミを茹でたり、ムネ肉を茹でたりなら、慣れてるけどさ。」

 「……茹でるだけじやんか。」

 「髙タンパク、低カロリーだぞ。」

 「いや、でも、なんで?」

 「ああ、いちごは元・総合格闘家だってさ。ウエイトコントロールでしょ?

 で、今はペーパーナース。」

 「うるせぇよ。ペーパードクター。」

 「はは。うちは、」


 話によると、世奈は地方の旧家の娘で、家事全般は仕込まれているらしい。


 「そう言う訳で、料理はまあまあ出来るから。2人は向こうで休んでて。」


 役立たずが2人いても仕方がない。

 私と千夏は、食堂のテーブルにつく。


 千夏は、私と同じ役立たずだ。

 反論は認めない。


 「千夏って、料理、出来るの?」

 「出来ると思うか?」

 「いや、思わん。」

 「カロリーメイト齧ったり、バナナを食べたりしてた。」

 「どっちも皮を向くだけじゃんか。」


 腕の中のちびが、ふちゃふちゃと動いた。


 千夏と話し合っていたことがある。

 

 このタイミングだと、万物鑑定をした。


 ……名前未定(0)……


 職業  勇者(プラス)


 「勇者……」

 「やっぱり?」

 「しかもプラス付いてる。」

 「ああ、そっかぁ。」


 大きくため息をついた千夏だった。


 世界の壁を越える時、勇者は神の加護を得るが、持っていた物も同じらしい。

 決して割れないガラス瓶や、無限トイレットペーパーなどだ。


 腹の中にいた、子供にも有効だったらしい。


 「いつ言う?」

 「まあ、この世界に悪感情はないみたいだし、落ち着いたら?」

 「そうだな。」


 よく動く子だ。

 腕の中で手を伸ばしてみたり、足を動かしたり、している。

 

 そう言えば、ちびにはまだ名前がない。

 『ちび』呼びがデフォになる前に、世奈に1度聞いてみよう。


 ふと視線を感じると、千夏がじっとこちらを見ていた。


 「……何?」

 「いちご、あんた、魔力量おかしくない?」

 「はい?」

 いきなりなんだ?



 

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