第5話 二人と真意
ギードに命令されたジョージは憂鬱な気持ちのまま、ユリウスを探すことにした。
ユリウスは授業が終わって早々に、何処かに行ってしまった。
いったい何処に行ってしまったのかは不明だが、少なくとも寮に居ないのは確かだ。 最初に彼の部屋に行ってみたが、誰も居なかった。
(よく知らない人の居場所を探すなんて無理だよ……)
そう思いながらとぼとぼとジョージは歩く。
この学院ではどんな生まれでも寮生活は絶対で、朝昼夜の食事は全員同時だ。
よって、最低でも夕食の時間になればユリウスに会うことが出来るだろう。
しかしただでさえ『理由は言えないけど、夜に寮を抜け出して指定する場所に来てほしい』とかいう、意味の分からない理由で呼びだそうとしているのだ。
だったら、少しでも説得する時間は多い方が良いに決まっている。
(まあ、まずユリウス君が今何処に居るのかもさっぱり分からないんだけど)
ははは、とジョージは自嘲して笑う。
学院は非常に広い。
ヴィオーザ侯爵という『五大名門』に数えられる、国内のとても有名な貴族が、広大な敷地と莫大な富に物を言わせて作った学院だ。
そこには生徒どころか教師や職員の生活空間、外部からの客人を迎える建物まであり、更には何に使うのかよく分からない教室がいくつもある。
廊下や教室の装飾も立派で、たとえ普通科のトイレだろうと手抜きは無く、しかも複雑。
ジョージだって地図を覚えるのに苦労した。
外観はどう見ても城。 やや特徴的な尖った屋根と尖塔が幾つも並び、そこら辺の貴族の屋敷なんて比較にもならない大きさをしている。
こんな学院に通えるだけで、王子様か王女様だ。
小さい頃は遠目に此処を見てジョージも『いつかは行きたい』と憧れていたが、今こうやって生活出来るようになると、この何処を見てもきらびやかな空間には慣れそうにない。
しかも学院で生活する生徒は、その全員が、まるで貴族の子供に生まれたのではないかと錯覚するような待遇を受けることが出来る。
学院の生徒の半分以上居る職員の仕事の大半は、貴族でいうところの使用人の仕事だ。
ヴィオーザ侯爵によって雇われた彼らは生徒に給仕したり、代わりに部屋を掃除したり、他にも生徒の雑事を引き受ける。
ジョージも毎日彼らによって丁寧な応対を受けている、綺麗な服を着た男女に恭しく接されると、ただの平民にはもはや怖くてたまらなかった。
職員は、此処で仕事する前にヴィオーザ家によってしっかり教育されてから来るため、貴族の相手をしても問題がないほどに礼儀正しい。
それでも貴族科の生徒からしてみれば『まだ物足りない』らしい。
きった貴族というのは、靴を履くことですら使用人にやってもらっているのだろう。
そんな中で、ジョージはユリウスの姿を探す。
通り過ぎるのは生徒か教師、あるいは職員。
教師はともかく、職員はどんなに忙しそうにしていてもジョージ達を追い越すことは絶対に無く、すれ違えば丁寧に頭まで下げてくれる。
この調子だと卒業して実家に帰る頃には、自分では何も出来ない奴になっていそうだ。
全く情報が無い中、広大な敷地をジョージはうろうろする。
早く見つけて少しでも説得しないと、今日中でないとギード達に怒られるのはジョージだ。
だが何処に行っても無駄足で、その数が積み重なれば重なるほど、ジョージの心も体も焦って早くなっていく。
「――――ああっ!」
めぼしい場所は軒並み回り、ようやくジョージはユリウスを見つけることが出来た。
『もしかしたら貴族科の校舎に間違って迷い込んだのかも』と思ったが、そんなことはなかった。
ユリウスが居たのは、歴代の生徒の中でも特に優秀な生徒を称えるための賞状やトロフィーなどを飾る廊下だ。
この学院の生徒は優秀な生徒が多いためその量もまた多く、毎日丁寧に掃除されているのか埃や曇り一つ無く輝いていた。
「い、居たっ。 良かった……!」
息をきらせながら、ジョージはユリウスに駆け寄る。
彼は世代ごとに並べられたトロフィーなどを眺めていたらしい。
ジョージが近寄れば、ユリウスはやはりギロリと睨んできた。
とても冷たい視線で、親愛の欠片も無い。
邪魔をしてしまったか、と咄嗟にジョージは足を止める。
ジョージはどうあれ、ユリウスにとってジョージというのは『ただ隣の席だっただけの奴』だ。
友達どころか存在をまともに認識されているかも怪しい。 授業でジョージが目立っていたわけではないし、『お前は誰だ』と言われてもおかしくない。
そんな奴にやっていることを邪魔されたら誰だって不快になるだろう。
「ご、ごめん! あの、実は――」
ユリウスから少し離れた距離から言う。
言おうとして、やめる。
(何て言ったらいいんだろう……)
『理由は言えないけど、夜に寮を抜け出して指定する場所に来てほしい』なんてとても言えない。
だが、どんな理由だったら来てくれるというのか。
「邪魔、しちゃったよね……?」
ジョージはまず、相手の機嫌を伺うことにした。
機嫌が良かったら、もしかするとひょっとすると来てくれるかもしれない。
が、ユリウスの表情は特に変わらなかった。
淡々としたどころか冷酷そうな表情に変化は無く、『近寄るな』『関わるな』と無声で言っているようだ。
これ以上近寄れば、もしかしたら殺されてしまうかもしれないほどに危険だった。
「邪魔はしていない」
そう、声に大きな抑揚は無くユリウスは答えた。
これには機嫌が良いとか悪いとか、よく分からない。
ユリウスの視線はトロフィーに向けられる。
「……知人の名を見ていただけだ」
他人に興味も感心も無いユリウスのことだから、何をしていたのか聞いても答えてくれないと思っていた。
まさか、教えてくれるとは思わなかった。
ユリウスの知り合いというのはどんな人物だろう、とジョージは興味をもってそのトロフィーを見る。
「ニーケ・アマルディ? ……卒業生、だよね?」
「ああ」
此処に名前があるのだから、当然生徒だ。
名前の雰囲気から言って、おそらくは女と思われる。
しかもよく見れば、この辺りのトロフィーにはその人の名前がずらりと並んでいた。
『第五回 三種耐久杯 優勝』とか『アソール・フィーリリア杯 最優秀賞』とか『第十四回 箒障害レース 優勝』『フェンシング大会 一位』『全生徒対抗・魔法競技 最優秀賞』など。
どうも、芸術ではなく魔法や実技方面でとても優秀な人らしい。 羨ましい話だ。
ジョージは勉強だけなら出来るが、運動と肝心の魔法は、この学院ではきっと最底辺。
この人とは正反対、いいやきっと『正反対』と認識することすら無礼になるほどの開きがあるに違いない。
卒業するまでに一つでも賞を取れたら良い方だろう。
(確か三種耐久って、箒と木渡りと水板の三つを乗り継いでいく、すごく過酷な長距離レースだったような……)
そこはジョージも知っているが、聞いているだけで眩暈がするような、死人が出ない方がおかしい内容だった気がする。
毎年、途中リタイアする人が居て、大怪我する人すら居るともいう。
それに学生時代に優勝してしまえるのだから、とんでもない超人だ。
だがジョージはアマルディという苗字を知らなかった。
おそらく平民だと思われるが今は、何をしているのだろう。
ただこんなに優秀そうなら、きっと今頃は大活躍しているに違いない。
「きっと凄い人なんだね」
ジョージは素直な感想を言う。
それに比べて自分は何なのだろう、という暗い気持ちを抱えながら。
「……僕も、そんな風になれたらいいな」
本当の天才なら、ジョージみたいにギードに頭下げてばかりの人間ではないはずだ。
きっと、ジョージが今抱えている悩み全てが、彼女には無いはずだ。
常に自分への信頼があって、何でも出来てしまうのだろう。
だって、天才なのだから。
たぶん『悩んだことが無いのが悩み』というぐらいだろう。
今存在を知ったばかりの人にとても憧れながら、ジョージはぽつりと呟いた。
「何を言っている」
そう冷ややかな声が聞こえて、ジョージはハッとする。
何を知ったような口を叩いてしまったのだろう。
「ご、ごめんっ。 そうだよね、僕みたいな奴には、絶対無理だよね!」
咄嗟に謝る。
どんな知り合いかは不明だが、この反応だと、どう考えたってジョージが勝手に色々言っていい相手ではなかった。
今はユリウスの機嫌を取らないといけないのに、これでは良くない。
「…………」
ユリウスは怖いほど沈黙している。
(しまった……!)
いつも通りの顔をしているが、きっと怒っているはずだ。
何とかして宥めないといけない。
だが、何と言えば喜んでくれるのだろう。
そもそもそこを調べるために、興味のありそうな話をしたのに。
しかし。
「俺が先だ」
ジョージが弁解をするよりも先に、とても冷ややかな低音が聞こえた。
「………………え?」
何を言っている、となるのはジョージの方だった。
恐る恐るユリウスを見れば、特に怒っているように見えるわけではなく、やはりただの真顔だった。
「師匠に先に憧れたのは俺だ。 一番は譲らない」
「師しょ…………………………あっ、うん! 一番は!! もちろん、ユリウス君に譲るよ!」
よく分からないが『自分を差し置いてなるな』と言っているらしい。
その解釈で正しいのか極めて不安になるが。
きっとユリウスはその『師匠』なる人物をとても尊敬しているのだ。
だったら、少なくともそこに反対意見を挟んで、機嫌を悪くさせるべきではないだろう。
(……どんな人かは、知らないけど)
ユリウスの師匠だなんて、いったいどんな人だろう。
似たような、常に怖い顔をしている厳しい人か。
あるいは反対に、優しくて穏やかな人かもしれない。
何にしても『平民にしては』が頭につく、とても凄い人に違いない。
その証拠に、これだけのトロフィーや賞状が並んでいるような人なのだから。
ユリウスはジョージを見ながら、腕を組む。
「だが師匠に目を付けるのは良い判断だ、お目が高い。 その通り、師匠は
「…………」
まさか、誉められているのだろうか。
そんな疑いよりも先に、ジョージは驚いた。
(……笑っ……てる?)
その時、それまでは氷の仮面でも着けたように表情がほとんど変わらなかったユリウスが、少し微笑んでいるような気がした。
本当にただ口の端を、僅かに持ち上げた程度の、よく見ないと分からないほどの変化で。
それでも確実に微笑んでいると分かる、優しい笑みだった。
「そして俺も、そんな師匠に己を誇れるようになりたいと、思っている」
「…………」
ジョージは思わぬユリウスの笑顔に、つい呆気にとられる。
そんな顔が出来る人だったのか。
てっきり、常に怒ってるのだとばかり。
(……もしかして、ユリウス君って、思ってたより、こう……)
ただ口も目つきも態度も悪くて、表情が仮面のように全く動かないから異様に冷淡な人間に見えるだけで。
もしかすると。
(………………口も目つきも態度も悪くて、表情が全く動かない人って、それってどうなの…………?)
冷静に現実に帰ってきた。
ジョージはちょっと『もしかしたら良い人なのかも』と思った自分を否定する。
本当に良い人だったら、口も目つきも態度も悪いなんて有り得ない。
心優しい人間は、ユリウスのように他人を煽ったり、バカにしたりはしない。
ジョージが考えたことは、ただの勘違いだ。
(うん、これは、アレだ。 悪い人が捨てられた犬を拾ってるの見て、何か勘違いしちゃうような感じだ)
ユリウスはきっと師匠以外の、劣った人間なんてどうでもいい。
今こうやってジョージとちゃんと会話しているのも、ジョージが師匠のことを褒めたからだ。
それでもとりあえずは、ユリウスの機嫌は取れたと思われる。
「ジョージ・ベパルツキン」
「えぁっ、はい!?」
突然名前を呼ばれて、少し安心していたジョージは慌てて背筋を伸ばす。
名前を名乗った覚えはないのに、向こうはもう名前を把握している。
そういえば朝に『地図は覚えている』ようなことを言っていたから、ひょっとすると名前すら把握しているのかもしれない。
「用事は何だ」
ユリウスの表情は元に戻っていた。
もしかすると、さっきのユリウスはジョージの願望が見せた幻だったのかもしれない。
我に返ってジョージは本題に入る。
「そ、そう、その話、なんだけど!」
『理由は言えないけど、夜に寮を抜け出して指定する場所に来てほしい』。
これで来るならユリウスは相当なバカだ。
「……実は、…………」
ジョージは悩む。
どうしたら良いのだろう。
どんなまともな理屈をこじつければ、ユリウスは来てくれるのだろう。
「…………ユリウス君は、遅れて来たからッ、皆で『ユリウスの歓迎会をしようぜ』ってなって……」
「歓迎会?」
何だそれは、と言わんばかりにユリウスは反応した。
多少は興味があるのだろうか。
「そ、そう! 歓迎会……歓迎会なんだよ……! 時間は今日の夜、本当はダメだけど寮を就寝時間に抜け出して! 開催場所は、第一運動用具倉庫の横だって……此処の敷地の、一番端の……」
実際は歓迎会という名の不意打ちだ。
歓迎会なんて大嘘だ。
「ほ、本当は、寮を抜け出してそんなことしちゃダメなんだけど、だからバレないように目立たないところでしようってなって」
言ってから、ジョージは自分の発言に後悔した。
いったい自分は何をしているのだろう。
とても最低なことをしている。 なんて酷い奴だ。
それにユリウスは、クラスの人々のことなんてどうでもいいと思っているはず。
歓迎会、だから何だ。 それがどうした。
ユリウスがそんなものに興味を示すはずがない。
「ほら今日はずっと皆は緊張しててさ、照れてたからユリウス君に話しかけられなかったんだ! だから、皆と仲良くなるために、是非とも来てほしいな!」
だというのに、ジョージの口はペラペラと嘘を並び立てる。
皆がユリウスを遠巻きにしていたのは、どう見ても『仲良くしよう』などいう顔していない人間だからだ。
あんなものを『照れている』などと解釈出来るなんて、頭の中には綺麗なお花畑がしかない、おめでたい人間に違いない。
ユリウスだって自分がどういう風に見られているのか理解しているだろう。
「第一運動用具倉庫とは、今朝使った第一グラウンドから見える比較的小さな建物か」
「う、うん」
きっとバカにされるし、断られる。
ジョージはユリウスの目を見ることも出来なくて、視線を下へと下げた。
「……理解した」
「えっ?」
今なんと、と半信半疑でジョージはユリウスを見る。
「歓迎会に参加する」
ユリウスは嘘や冗談で言っている顔ではなかった。
信じられなくてジョージは目を何度か、わざとらしいほどぱちぱちとさせる。
「い……良いのっ!?」
聞いておいて、思わず尋ねてしまった。
まさか『参加する』なんて言うとは思わなかった。
むしろ断るとばかり思っていたのに。
「俺が参加しないと準備が無駄になるだろう」
「……それは、そうだけど」
つまり、無駄にさせない為に気を使ったということか。
そんな気遣いをする人だとは思わなかった。
(どうしよう、このままだとユリウス君が……)
内心でジョージは焦る。
行くと言ってくれたのは良いが、いや全く良くない。
このままではギードの考えた通りのことになってしまう。
「本当に、良いの!?」
「何か問題があるか」
「…………」
無い。
というかジョージは自分で誘っておいてこんな事を言うなんて、確実に変な人に思われているだろう。
「だって……ユリウス君は、こんな事に興味無いんだろうなって思ってたから」
「何故だ」
「『何故』って」
聞かれても困る。
「ユリウス君は別に、皆と友達になりたいとは思ってないんだろうなーって……」
こんなことを本人に面と向かって言うことではないだろう。
だがユリウスの直視に耐えられず、視線を逸らしながらジョージは言った。
(そんなのユリウス君の態度見てたら、一目瞭然なんだけどね……)
きっとユリウスはこんな事に興味が無い。
本人が言ってる通り『準備が無駄になるから』だろう。
そうでなかったらこんな事に参加したくないはずだ。
「何故そのような解釈になる」
「え?」
思わず、ユリウスの顔を見る。
やっぱりいつも通りの無表情で、むしろジョージを冷たく突き放しているようだった。
「友達とはより多い方が良いだろう」
「……えっ、いや、そうかも……しれないけど」
確かに、友達とは少ないより多い方が良いのかもしれない。 人によるかもしれないが。
(まあ少なくとも居ないよりは居た方が良いけど、そうだけど)
まさかユリウスに、こんなごく当たり前のことのように言われるとは思わなかった。
まるで興味が無いと思っていたからだ。
(……も、もしかして、僕たちってとんでもない勘違いをしてたんじゃ)
ジョージはふと気付く。
ユリウスは。
他人になど全く興味が無い、絶対零度の表情をしているが。
口調もあまりよろしくないし、他人に嫌味か煽りを言っているようにしか見えないが。
まさか。
「ユリウス君って、実は、友達いっぱい欲しかったりするの……?」
あんな態度で。
こんな目つきで。
まさか。 まさか。
ドキドキしながらジョージはユリウスに尋ねる。
もしそうだとすると、とんでもない勘違いをしていたことになる。
ユリウスの返事を、大人しく待つ。
「そうだ。 俺は学院に、友達を沢山作りに来た。 まずはこのクラスの人間から友達にする」
さっきと同じ表情で、ユリウスは堂々と、何も恥じることは無いと言わんばかりに胸を張って言った。
(……嘘だ!)
そんな友好的な態度じゃなかった。
本当にそんなことを思ってる人間は、こんな態度とか言動とかしない。
しかしユリウスがこんなくだらない冗談を言っているようにも思えない。
「本気で、友達を作りに来たの?」
「お前とは既に友達だろう」
「…………」
ジョージは愕然とした。
有り得ない。 でもユリウスの顔は、いたって真剣なものだった。
「僕と、ユリウス君が……?」
「俺はそう認識している」
いったい、いつ友達になったというのだろう。
分からない。
でもやはり、ユリウスの顔は冗談か何かを言っている顔ではない。
(まさか本気で皆と『友達になりに来た』って言うんじゃ……ギード君とすら……)
半信半疑でジョージは、ユリウスに尋ねることにする。
「じゃ、じゃあさ! ……なんで体育の時、ギード君にわざとボール渡したの?」
どう見ても嫌がらせだろう。
しかしユリウスは『何かおかしなことでも』と言いたげにしていた。
「本気で投げるように促しただけだ」
「でも『あの程度で本気なのか』とか言ってたじゃないか!」
「奴の肉体ならもっと速度も強度も出せるだろう」
「…………!?」
まさか彼は、本気で言っているのだろうか。
「まさか、それはギード君のため……とか、じゃないよね?」
「より強い人間を相手に出来るのは、俺の成長のためにも望ましい」
「…………」
ジョージはぽかんと口を開ける。
彼は、本気なのか。
本気で、皆と友達になりたいと思っているのか。
だとしたら、ジョージを含めた全員からあまりにも誤解されすぎている。
きっと他のクラスの生徒だってユリウスがどれほど『他人と仲良くする気が無いのか』を知っているはずだ。
ユリウスのあんな言動でそんな解釈が出来る人間が居るとすれば、それはもう相手の思考が読めるとかいうレベルだ。
どれだけ相手の事を好意的に解釈出来ればそうなるというのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます