昇雷
高校生
昇雷
私が少年を初めてみた日は雷が降っていた。
私は外で鳴る雷の音や光によって目が覚めた。時計を見ると夜中の3時だった。
早く寝ようと思ってすぐに布団に潜り目を閉じる。だが雷の光が眩しくなかなか寝付くことができずにいた。
次に目を開けた時時計は3時20分を指していた。その間全く寝れずに脳が活性化されてしまってもう眠気が完全になくなっていた。
私は特に理由もなく外で降り注ぐ雷を窓越しに見た。
空が紫色に染まる。すぐに雷の騒音が窓にぶつかり窓がガタガタと揺れた。今まで何回も雷なんて見たことがあるのに今日見る雷はなんだかいつもより綺麗に見えた。
私が対面に立っている別棟を意味もなく見ていると一本の雷が私のマンションの前に落ちた。とてつもない光とけたたましい騒音を立てる。私はその時確かに少年を見た。雷の光の弓によって映し出された7階の窓から光る空を見上げる少年の顔は少年とは到底思えないほど美しくなにか全てを諦めたかのように儚げだった。
雷の光が収まると少年は見えなくなった。またすぐに雷が近くに落ちた。少年の部屋を見るとそこにはもう少年はおらず残っていたのは真っ暗になった部屋だけだった。
それからほどなくして、私はその部屋に心理的瑕疵があると知った。
学校の関係で中学1年生の少年が一人暮らしをしており、その少年が自ら身を乗り出したらしい。
雷は地上に落ちるんじゃなく、地上から上がっているという。まるで救われるべき場所に召されていくかのように。
あの日私が見た少年は一体何だったのか、私には分からない。
だがこんな想像をしてみてもいいだろう。
少年は雷になったんだ、と。
昇雷 高校生 @rio_retasu
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