第6話

 ―――【絶対制約六条】


Ⅰ、


 ゲームを挑んだ者は決闘内容ゲーム、

もしくはレート(何をどれだけ賭けるのか)を決めることがで出来る。


Ⅱ、


 挑まれた者には拒否権があり、いかなるゲームも避けることが出来る。


Ⅲ、


 挑まれた者は、ゲームを開示された場合、レートを好きなように決める事が出来る、またレートを開示された場合、ゲームを選ぶことが出来る。


Ⅳ、


 挑まれた側がレート、または決闘内容ゲームを決定した瞬間。

勝負の取り消しは互いに認められない。


Ⅴ、


 ゲーム中における不正がが発覚した場合はその瞬間に敗北とし、

賭けていたレートを無条件で獲得することとする。


Ⅵ、


 ゲーム中なんらかの形で賭けたモノを消失させた場合譲渡出来くなった場合、

消失させた者の命、または【王政制約権】の中から


 【キングクラウン】


 【クイーンティアラ】


 【ジャックエンブレム】


 のいずれかをを無条件で差し出さなくてはならない。




――――『以上がこの世界の盟約だとを監獄の中であれほど説明したのに、

どうしてこの人は話を聞かないの。』


  アリスは怒りを心中に抑えようとする。


 『大体、リーファの連れてきた英雄とやらはまるでで知性を感じない。

確かにどうしようもないピンチを前に現れてくれた時は驚いたけれど、

ほんの一瞬でも期待した自分が馬鹿みたい。

何故か戦う前から傷だらけだったし、簡単に監獄に捕まるし、

リーファの体ばっかり見て状況把握できてないし。

 まあ、確かにリーファの体つきはいい方かもしれない。

だからってあんなに見惚れなくてもいいじゃない

・・・私だってまだこれからだと思うし。

 男の人って皆そういうものなのだろうか・・・』


 違う、今はそんなことを考えている場合じゃない。


アリスは無知な彼の横に立ち、

周囲からの心配そうな目を向けられるのがたまらなく恥ずかしくなってきた。




 「つまりゲーム中の不正は許されると・・・。」




 その通りだけれど、今更納得されても手遅れだ。


 それよりクラウンを奪われた後のことを考えることを最優先にしなければ。


 アリスは再び今後の作戦を練るが、全く善策が浮かばず、

訊ねてくるユウマの声に耳を傾け、気持ちを整理することにした。




 「不正が発覚していることが分かっているなら、

それを伝えたら勝じゃないのか?」


 


 「それは私も考えたわ。

でもこのカードの裏の答えがわかったのはリーファに教えてもらったからなの。

 あの子の一族は透視が出来るのから。

でもそれを言ったら≪ゲーム開始時に透視を使った≫って

不正を自ら公言することになるわ」




 「なるほどな、カードを引きさえすればその瞬間結果が出てゲーム終了。

不正がバレてもゲーム終了後だから関係ない。

まとめて二枚引けばその瞬間に不正行為ルール違反によって敗北ってことだな。」


 


 そう、いかさまはどのゲームにおいても禁止されていない、

見つからなければ関係ないのだ。


 それにリーファが透視を使えることはミレディもおそらく知っているだろう。

それを理解の上でこのいかさまを使ってきてる。


 だからこそ念のために彼女を先に逃がしたのだ、

これ以上の危険が及ばないように。


 




 このゲームは詰んでいる。


 完全に敗北している、ならばどうするか、

次に起こることを想定し考えなければならない。


 自分の命こそ賭けてはいるが、すぐに私を殺せるわけではない。

それまでに何らかの手立てはあるはずだ。




「姫様ー!このカードの選択、俺が決めてもいいですか?

実は今朝から何も食べてなく空腹で・・・

早くこのゲーム終わらせたいんですよね」




 急な彼の意味不明な言動に思わず顔を上げてしまった。




「何処までも死に鈍感な男ね・・・

どうせ結果なんて変わらなし構わないわ!ねぇ?アリス?」




 慌てて上を見たが壇上の紅い魔女はこちら側を見ることもなく、


 飽きたかのように兵士に持ってくるように言った武器の選定を始めていた。


 悔しいがその通りだ。誰が選んでも結果は変わらない。




「だってよ。なあアリス、参考までに聞きたいんだがお前ならどっちを選んでた?」




「は?どっちだって変わらないもの、なんでもいいわよ!」




 『この期に及んでなんなの、自分で選びたいといったくせに』



 私の時間稼ぎのつもりなのか、

それとも自分の命惜しさの必死の抵抗なのだろうか。


 

まさかさっきみたいに誰かが助けに来るとでも思っているのか。


 不適な笑みこちらに向けてきた事に気づき


 彼に軽視した眼差しで返したが、

それに気づいて何故か一層嬉しそうな顔をされる。




 「・・・左」




 無視しようかと思ったが、

彼が私に対してどちらを選ぶか、意見を聞く事を諦める事を諦めると、


 ふて腐れるように呟く。


 それを聞いた彼は、前を向き直し、

覚悟を決めたようにわざとらしく深呼吸をする。


そして躊躇なく左のカードを手に取り、思いっきり。









 自らの口に放り込んだ


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