5
――そして中2の秋
今日も元気に女子御一行様からのお呼び出しをくらう私。
男子の前では絶対にしないであろう、仁王立ちでがっちり腕を組んで般若のような形相で睨みつけてくる女達。
あー、はいはい、怖い怖い。
般若やなまはげにすっかり慣れっこの私は呑気に欠伸をひとつ。それが奴らの勘に触ったらしい。
「可愛いからって調子のってんじゃねえよ!!ぶりっこが!」
ばっちーんと気持ちいいくらい乾いた音がじめじめとした校舎裏に響く。と同時にびりびりと痺れるように痛むほっぺた。
中学に入って初めて、手をあげられた瞬間だった。
「ふ…ふふ、ふ…」
痛い、ものすっごく痛いはずなのに口から勝手に笑いが漏れる。ぶたれて熱を放つ頬を押さえながら、不気味に笑う私を前に気味悪げに女共は後ずさった。
そうか、私は可愛いから、だから男子にモテて女子にはやっかまれ続けたわけだ。
まさに青天の霹靂(へきれき)、気付かせてくれてありがとうといってやらんこともない。
でも私、ぶりっこしてはいないよ?
してもいないのに、ぶりっこだっつって思いっきりぶっ叩かれたわけだ?
「ふふふふふ…」
何も可笑しくないのに笑いが止まらない。
盗ってもいないのに盗ったなんだと中傷され続けてきたわけだ?
ついでに思考も止まらない。
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