少女探偵団と音楽室の暗号

巫夏希

第1話 プロローグ

  1


 私立鹿鳴館学園は、全校生徒二千人を誇るマンモス学園だ。初等部、中等部、高等部――全てひっくるめてその人数が在籍しているというのだから、統率がしっかりと取れた場所なのだと思う人は多いかもしれない。

 というより、鹿鳴館学園は山間にある地方都市の中心に設置されており、その都市そのものが鹿鳴館学園のために作られたような都市であると言っても過言ではない――それぐらいに、鹿鳴館学園が持つ影響力というのは多大だ。

 鹿鳴館学園の持つ数少ないポリシーに、『才能は伸ばすべし』という物がある。

 それは、たとえ常人とは違った感性を持ち合わせていようとも、それを伸ばすのが学校としての指導である――そういった考えである。

 故に、鹿鳴館学園には天才と奇才が入り交じっている。

 その存在確率は、紙一重。



  2


 結論から言ってしまえば、鹿鳴館学園には五割の天才と四割の奇才が存在する。

 え? 一割足りないんじゃないか、って? それについては、洞察力が素晴らしいと追加しておくとしよう。

 いずれにせよ、それについてはあまり語りたくないところではあるのだけれど、二千人居ると言われている鹿鳴館学園の全校生徒、そのうち四百人程度は――天才でも奇才でもない存在なのだ。

 何故そう言えるか、って?

 そりゃあ、勿論――わたしがそうだからだ。


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