一歳差なし崩し姉妹百合

川木

なし崩し百合

 お姉ちゃん大好き。と言うのが妹の口癖だった。学年では1つ、四月生まれと三月生まれなので実質二年近く年下の妹は私よりも小さくて可愛くて、私にとっても大好きで守ってあげたくて、どんなわがままもきいちゃうくらい可愛い妹だ。

 私もいい姉として振る舞ってきたつもりだ。妹のお願いには極力応えてきたし、勉強だって運動だって姉として恥ずかしいと思われない程度には頑張っていたし、我ながらいいお姉ちゃんだったと思う。


「え? お姉ちゃん何言ってるの? お姉ちゃんは私と結婚するんだよ?」


 でもまさか、こんな意味の分からないことを真顔で言われるとは思っていなかった。何言ってるのって、それは私のセリフなんだけど、もーやだなぁ、あはは。なんて笑えないくらいの真顔で、私は言葉が出てこなかった。


「……」

「お姉ちゃん? 何黙ってるの? え? どういう沈黙?」


 どういう沈黙? って言う質問がもう恐い。


 私はただ、休日だらだらしていたらお昼になっちゃって、妹の真美子ちゃんが作ってくれて洗い物までしてくれるって言うから、至れり尽くせりすぎて悪いなぁ。こんなに甘やかされてたら将来結婚したとき困っちゃうかも。なんて冗談で言っただけなのに。


「いやほら、日本じゃまだ、実の姉妹って結婚できないしさー?」

「うん、そうだね。私は別に、形式にはこだわらないから、別に事実婚でいいと思ってるけど。お姉ちゃんそう言うの気にするタイプ? うーん、でも海外でも兄妹で結婚って結構難しいんだよね。国によってはむしろ、しちゃうだけで犯罪になるから日本の方が全然マシというか。真剣に探したわけじゃないから、もっと探せばわからないけど」

「いやいや、全然、そう言う訳じゃないけど。いや、うん」


 やばい。何がやばいって、なんかもう私と真美子が将来を誓い合った恋人である前提で話がすすんでいる。

 全然そんな会話をした覚えはない。確かによその姉妹に比べて距離は近い自覚はある。恋人をつくるのに無許可でつくるのはまずいよねって言うくらいには距離なしの姉妹だし、私だって逆の立場だと複雑だ。

 でも段階を踏んでくれたら祝福するし、私と妹の関係はあくまで姉妹。恋人とか結婚とかそう言う関係では一切ない、と言うのが私の認識なんだけど。


 でもここでそれを言うとまずい、と言うのはいくら普段考えなしと言われるくらい失言の多い私でもわかる。とりあえず話を合わせてこの場をしのぐしかない。


「別にさー、形式とか、相手が真美子だからじゃなくて、結婚したら家事って助け合いだと思うし言っただけだよ? でも突っ込んでくるから、言うてそもそも結婚はできないよねーって思っただけ」

「あ、そう? ごめん、変に受け取っちゃった。いつか私と別れる想定してるみたいに勘ぐっちゃったごめんね。えへへ。でもそうだよね。お姉ちゃんがそんな風に将来のこと考えてくれてると思ってなかったから嬉しい。偉いね」


 そう言ってはにかむ真美子は可愛い。可愛いけど、いつまでも別れない想定していてどうすればいいのかわからない。

 あと将来のこと考えてなさそうってディスられてるよね? なにが偉いだ。いやまあ、なんにも考えてないですけど。その場しのぎで生きてますけど。


「うん、まあ、そう言う時もあるよ。私もほら、もうすぐ高校二年となれば受験を意識するしね」

「そっかー。私はね、将来の夢とかないし、お姉ちゃんがやりたいことがあるならそれに専念してくれていいよ。家事も結構好きだし、お姉ちゃん養えるくらいには稼ぐ予定だから」

「わー、頼もしー」


 とりあえずよいしょして疑いをなくしたところで、私は自室に戻ることにした。

 まだ妹は居間にいる。今は春休みで両親とも仕事なので、真美子はいつも晩御飯の支度をしたりしているので、すぐにこっちにはこないだろう。その間に、私も真面目に考えてみよう。


 まず、真美子は私のことが家族愛ではなく恋愛として好きだった。そして好きなだけではなく、付き合っているし将来を誓い合った仲だと思っていた。

 うーん。全く心当たりがないわけじゃない。


 はっきり言えば、私と妹はただの姉妹とは一線を超えている。

 私が小6、妹が小5の時、はじめてキスをした。真美子はそう言うのに興味を持っていて、いつか恋人ができた時に失敗したくないから練習させてほしいとお願いしてきたのだ。ほっぺたにはしたことあったけど、口はちょっとなとは思ったものの、お姉ちゃんにしか頼めないと言われて断れなかった。

 それから毎日ちゅっちゅしていて、舌をからめあったりするのに時間はかからなかった。元々一緒に寝ていたし、毎日寝る前に抱き合ってキスをしていた。そのまま成長して中学生になって、なんとなく一線を超えたのは自然の流れだった。特別な言葉を重ねなくてもなんとなくそう言う雰囲気だったし、そう言う盛りだったので一時はエスカレートして毎日していた。


 そんな感じだし、その関係は今も続いている。高校生になり個室をもらってからもちょくちょくしている。

 でも誓って、恋人になるとかそう言った言葉はなかった。恋人ができた時の延長線上での行為であり、ただの性欲の発散だと思っていた。心から言える。私は真美子を性的には見ているけど恋愛感情では見ていない。まして将来を共にする覚悟なんて微塵もない。


 まさか、真美子が私を恋人と思っていて、将来養おうとまで考えていたなんて。どうしてこうなった。将来のことなんて何にも考えてないよ?

 結婚するかどうかすら何にも考えてないし、大学に進学するかすら考えてないよ?


「はぁ。どうしよ」


 別に真美子が嫌とか、そう言う訳じゃないけど。恋人ってあんまりぴんと来ないし、結婚とかちょっと重いって言うか。

 それにやっぱり、実の妹と一生を共にするのってどうなの? 真美子がどうこうじゃなくて、そう言う倫理観的に引っかかるのって抵抗あるなぁ。まあそれ言ったらそもそも、言い訳できないことしちゃってるわけだけど。

 とにかく、今のところその気はない。いつかこの関係はやめてその内お互い好きな人を見つけるだろうと思ってたし、その方が絶対幸せでしょ。


 でもどうするか。直球で真美子に言う? ……いや、無理。あんな真顔だった真美子に自分はそんな気ありませんなんて言えるわけない。怒るかもしれないし、悲しむだろうし、恥ずかしくて泣いちゃうかもしれない。だったらどうするか。


 まず今のところは私も同じ気持ちと言うことにしておこう。私のせいでもあるのに、恋人と勘違いしてるなんて思わせて恥をかかせるのは可哀想だし。と言うか、問題は今恋人になってることじゃなくて、将来結婚すると思ってることだよね。


「……うん?」


 それは別に、そんな焦ることなくない? うん。どうせ、学生時代の恋愛感情がずっと続くなんて少数派なのだ。現代では結婚までして永遠の愛を誓っても別れるのが三割なのだから、放っておけばいい。そうすれば真美子もいずれ私に飽きるだろう。

 そうなったら何事もなく、若かりし頃はちょっとやんちゃして禁断の恋してたよね、みたいなノリで思い出になるだろう。


「はー、よかった」


 つまり現状維持で問題ないわけだ。一瞬あせったけど、今のところお互い以外に目がいってないのはお互いさまだし、今までの関係で満足していたなら恋人だからって何か特別なことをすることもないのだ。

 結婚なんて今だけの世迷言、学生時代の恋人が本当に結婚するなんてないない。私が本気にとりすぎなのだ。


「何一人で喋ってんのー?」

「ちょっと真美子、勝手に入ってこないでよ」

「今更何言ってるの。普段ドア開けっぱのくせに、今日珍しくドア閉めてるじゃん」

「えー?」


 堂々と私の部屋に入ってきた真美子はベッドに寝転がってる私の腰あたりに腰かけて、ごろんと上に寝転がった。


 私と真美子の部屋は元々一つだった。だけど中三の時、さすがに受験生なんだし個室が必要だろうと言うことで、無理やり二つに分けられた。元が広めの部屋とは言え、半分に分けると5畳もなく、クローゼットも共有だし、しきりになっているドアとは名ばかりの薄いボードは面倒なのでいつも開きっぱなしだ。

 元々の部屋のドアは真美子側にあるから真美子の部屋を経由しないと私の部屋に入れないし、よく考えなくて、私と真美子だからいいものの普通なら全然プライバシーが守れていない部屋だ。エアコンも一つだから夏は強制的にあけっぱだし。それに夜に一人でもぞもぞしてたら真美子がやってくるくらい音も丸聞こえだし。


「普段って言っても冬はしめるじゃん。今日はちょっと肌寒いって」

「うーん、そう? ……じゃあさ、あったかいことしようよ」


 真美子はそう言って甘い声をだすとごろりと遠慮なく私の体の上で転がり、顔を合わせてキスをしてきた。私はその肩に手をまわして舌で応えてから、ぽんと真美子のお尻をたたく。


「昨日もしたでしょ。今日はちょっとそう言う気分じゃないから」


 恋人と思われてると思うと、ちょっとどういう顔してすればいいのかわからないし、さりげなく疎遠になるにはちょっとは頻度を減らした方がいいだろう。


「えー、いいじゃん。学校始まったら、私だって高校生で新生活だよ? お姉ちゃんみたいに時間ないんだから、しばらくお預けかもだよ?」

「うーん……」


 そう言われると、確かに?


 それにそう言う気分じゃなかったのは事実だけど、真美子が胸をおしつけて耳元でささやいてくると、条件反射でちょっとそう言う気分になってくるよね。

 お尻をなでると軽くふってくるのも、いつものなれた真美子の体で、急速にそんな気になってきてしまう。


「じゃあ、ちょっとだけ」

「ん。素直で偉い偉い」

「ちょっと、私が姉なんだからね」

「わかってるって」


 わかってる、と言いながら私の頭や顔をなでてくる真美子を、私はぎゅっと抱きしめながら起き上がり、ベッドに押し倒した。









 そんな風に私と真美子が実は恋人だったことがわかった高校生活も終わり、私は大学生になった。

 ちょっとは距離をとったほうがいいのでは、と思ってみたこともあったけど、なんとなく流されるまま生きていると、さすがの私も真美子も受験になると真剣だったし、自然に頻度を減らすことはできた。

 大学も遠いところを選んで一人暮らしとかした方がいいのかな、とも考えていたけど、親からは今のご時世大卒の方がいいから大学費用はだすけどどうせ特別学びたいわけでもないんだから近場にしろ、と言われて素直に従うくらいにはその通りにやる気もなかったので普通に通える範囲の大学に行った。

 だけど妹の真美子はちゃんとやる気も学力もあったので、ごく当たり前に頭のいい遠くの大学に行き一人暮らしをすることになっていた。


 それからさらに時がたち、私はもうすぐ大学を卒業する。真美子は家を出てから長期休みには帰ってきていたけど、以前ほど熱のある関係ではなくなっていた。

 正直こうなるように願っていたけど、あまりにあっさり真美子が離れていったので最初はちょっと寂しい気持ちもあった。でもまあこれでいいのだ。まだお互い別の相手はいないけど、真美子も今は学業に忙しくても社会に出て余裕がでれば他に目を向けるだろう。

 私は、まあ、そのうち? 大学でも仲のいい友達はいるっちゃいるけど、あんまりこう、そう言う感じにはならないんだよねぇ。


「お姉ちゃん、就職先決まったんだって?」

「んー? うん。ここ」


 帰ってきた真美子は着替えを終えてずかずかと私の部屋にはいってきたので、持っていた会社のパンフレットを渡してやる。


「へー。春に決まらなかった時は心配してたけど、ちゃんといいとこじゃん」

「知ってるの?」

「私だって半年後には就活だし、チェックしてるよ。規模としては中堅だけど業界内では安定していていいとこだよね」


 就職も決まり、卒論の目途もついている年末。夏ぶりに顔をあわせた真美子は生意気そうに上からそう評した。

 たしかに真美子の大学は私よりランクも上だし、国家資格も持っているし、就職なんてどこだって引っ張りだこだろうけど。成長期はとっくに終わって私より5センチも低いくせに。

 ……やば、真面目に考えたけど身長しか勝ってるとこないな。いや、ベッドの上では、うん、まあ、姉妹になるんだしそこ勝っててもしゃーないな。


「真面目に勤め先の勉強してるんだ? えらーい」

「頭を撫でるな。前から思ってるんだけど、ほんと、真美子は姉に対して敬意あなさすぎ」

「えー、敬意あるって。お姉ちゃんのことそんけーしてるもん」


 そう言いながら、机に向いている私に後ろから抱き着いて腕をまわしてきた。


「嘘ばっかり」

「そんなことない。だって、お姉ちゃんはさ。こっち見て」

「ん?」

「ん」


 顔を向けるとキスされたので、頬に手を添えて応える。途中から体重をかけてきたので椅子をまわして半身になって真美子を膝に乗せてあげる。


「ん、んふふ」

「ちょっと、キスしたいだけじゃん」

「ちーがーう、あのね、お姉ちゃんは、世界一キスが上手だよ。尊敬しちゃう」

「真美子……それって比較するほど他の人としてるってこと?」

「え? やだ、嫉妬させちゃった? してないよー。ふふ。しなくたって、そんなのわかるじゃん。相性最高だし」


 いやちょっとは複雑な気持ちだけど、でももしや私のことキープしつつちゃんと恋人つくってんじゃん、とも期待したのに。うーん、まあ、いいか。働きだしたらかわるでしょ。


 とりあえず帰ってきたばっかの真美子とシャワーを浴びてから晩御飯を作った。真美子が出ていってからは私だって成人だしと言うことで晩御飯の手伝いとかするようになったし、こうして長期休暇は一緒に作っている。

 お風呂も入ってあとはゆっくり、と言うところで真美子が入ってきて私のベッドに寝転がった。さすがに夜は普通に両親いるし、昼の作業の続きをする。


「ねぇお姉ちゃん」

「何?」


 しばらくして暇だったのか、ベッドから降りて隣に来て、偉そうに私の肩に手を置いて真美子が声をかけてきた。振り返らずに促す。


「来年は家出るの?」

「えー、一応すぐには出ないつもりだけど。なに、早く出ろって?」


 社会人になってもいつまでも実家で親のすねをかじるのもどうなのって言う世間の風潮もあるし、私としても一人暮らしに憧れないでもないからいつかは出るけど、いきなり一人暮らしと社会人開始のダブルで新生活はしんどいでしょ。

 まあ隣県だし片道一時間くらいだから早めに引っ越したいとは思ってるけど。でもその言い方、もしかして自分は実家に戻るから私は家をでて部屋を開けろってこと?


「違います。そうじゃなくて、一年くらいだし、待っててくれた方が楽なんだけど? その辺考えてるのかなって」

「……んん?」

「だから、どうせ私が大学出たら一緒に住むんだから、一年ですぐ引っ越しするとか費用も手間も大変なんだし、待っててよってこと。前に大学入学の時でたがってたから、一応釘を刺しておこうかと思って」

「……」


 真美子の中で当然のように来年から一緒に暮らすことになっていた。えぇ? な、何故? 大学に入ってからは前ほどべったりじゃないし油断してたけど、まさかまだ恋人気分なの?

 いや落ち着け、単に就職希望先が近いから一緒に住んだ方が安上がりだよねって姉妹あるあるかもしれない。


「何なの、黙って。返事は?」

「え、いや、気が早いなって言うか、もう就職希望先決まってるの? 近いとか? だとしても自信満々すぎでしょ」


 ちらっと不満そうに見られて戸惑いつつ質問すると、真美子はちょっと呆れたように息をついた。


「あのねぇ。まあ、お姉ちゃんの就職先考慮して通える範囲にはするけど、たとえ多少遠くても一緒に暮らしたいに決まってるじゃん……言わせんな、馬鹿おねえ」

「やだ、私、愛され過ぎ?」


 ととっさにふざけたものの。その通り過ぎて何とも言えない。真美子はセリフの途中から照れて顔をあかくしてるし、いやほんと、まじか。


「うっさい。そう言うことだから、短期間でも一人暮らし味わうとか無駄やめてよね」


 そう言って念をおして軽くどんとぶつかってきた真美子。はいはい、わかったわかったと返して机に向きなおして誤魔化したけど、うーん。これはちょっと、予想外だ。

 私の了解に満足した真美子は満足して私の頭をぽんぽん撫でてからベッドに戻って寝転がったのを音で察して、私はそっと息をついた。


 順調に真美子との距離はあいていたと思った。寂しいけど、これが成長、姉離れ、妹離れするのが自然なこと。仲が悪くなるわけじゃなく、正しい姉妹の形に戻るだけ。と思っていたのに。

 全然そんなことなくて、真美子の反応を見るに依然として真美子の中で私たちは恋人同士で将来一緒にいるつもりらしい。


 まじかー。本当、真美子は私の事好きすぎるなー。ほんと、困った子だなー……なんてね。

 思ってるのは本当。でも、正直、ちょっと嬉しくも思ってしまってる。いやだって、もうすぐ本格的に別れるんだって思ってたし、妹としては付き合いは続くけど、まあ、妹とは言え、好かれて悪い気はしないわけだし、恋人扱いされてるんだと思って年単位で過ごしたりして、そう言う意味での情も多少はそりゃああるし。まあ、うん。

 とりあえず社会人になって、広い世界を知ればまた意見も変わるでしょ。だからもうちょっとだけ、恋人気分を味わっていてもいいでしょ。いくらなんでもこんな関係、人生ずっと続くわけじゃないんだから。


「……ねぇ、お姉ちゃん、なんかにやにやしてない?」

「ちょっと、人の顔のぞきこまないでよ」

「えー、だって全然手が動いてないし。んふふ、お姉ちゃん、私のこと愛しすぎじゃない?」


 いつの間にか隣に来ていた真美子はにやにやしながら私の顔をのぞき込んでいた。くっそ。ちょ、調子に乗るなよ! むかついたので、キスして強引ににやつくのをやめさせてやった。









「あ、おはよう、お姉ちゃん」

「はよー……真美子はいつも元気だねぇ」


 休日。なんとか布団から抜け出してトイレに行くと、掃除機をかけていた真美子が笑顔で挨拶をしてきた。掃除機のせいで起きたのだ。本当はもっと寝ていたかった。だけどさすがに10時を過ぎているので文句をいえない。私だって逆の立場なら午前中に掃除は済ませておきたいし。


「そうでもないけど。ていうかお姉ちゃん、年々朝に弱くなってない?」

「休日なんだからいいでしょ」


 呆れたようにいいながら掃除機を充電器にセットした真美子は、昨日買っておいた総菜パンを食べる私の隣に座って肘をついて私を見る。開き直る私に、真美子はじとーっと攻めるような顔を向けてくる。

 確かに。学生時代は遅くても八時には起きていた。家を出て少しだらける様になり、九時になり、今では十時だ。だって、寝ても寝ても眠いんだもん! 特にこの季節!


「いいけど……たまには、デートとかしたいし」

「デートぉ?」

「ば、馬鹿にした顔しないで。お姉は三十路だけど、私はまだ20代なんだから」


 こ、こいつ。一学年しか差がないくせに年齢煽りしてくるぞ! ていうか、来週誕生日で三十路だろうが。どういう感情で言ってるんだ。とは思うけど、その意図もわかるけど。

 と言うか別に馬鹿にはしてない。たまにはデートも何も、デートくらいしてるでしょうが。


「クリスマスだってお正月だってデートしたでしょうが」

「クリスマスはいいとして、お正月一緒にお参りはただの家族イベントだからデートカウントしませんー。だから今年まだしてないんだから」

「はいはい。誕生日でしょ? わかってるから」


 学生じゃあるまいし、毎月毎月ちゃんとしたデートなんてしていられない。この間だっていつもの買い物ついでにちらっと公園によって軽く花見もしたのに、案の定それも入ってないみたいだし。

 でも私だってわかってる。真美子だってこの年になって前と同じ情熱でデートがしたいわけじゃない。ただ、誕生日に特別なことがしたくて、忘れてないから釘を刺してるだけだ。相変わらず遠回しな子だ。さっきの発言もわざと年齢を意識させて、誕生日を思い出してほしかったんだろう。姑息かつ嫌なことをしてくれる。


「! べ、別に、お祝いを催促してるわけじゃないけど」

「はいはい」


 私はパンを食べ終わり、カップの牛乳を飲み干す。そして嬉しそうな顔をしている真美子に向き合う。真美子の誕生日記念にと、ずっと考えていたことがある。


「……あのさ、昔、真美子は結婚の形式とか気にしないって言ってたの、覚えてる?」

「え? あー……私が高校入学する時?」

「そ。形式とか気にしないってことだけど、あー、なんていうか。真美子ってほら、ウエディングドレスとか似合いそうだし、写真とか、とるのどうかなって」


 私も式にこだわりがあるわけじゃない。実際に結婚できるわけでもない。でも、何ていうか。真美子も三十になるわけだ。別にだからどうってわけじゃない。

 まだまだ人生これからで、恋なんてこれから何度だってしようと思ったらできるだろう。


 でも、もういい加減、覚悟を決めるべきだろう。と言うか、もう私が無理だ。今更、真美子と別れるとか、真美子が他の人と付き合うとか、ただの姉妹に戻るとか、無理だ。

 初めてキスをしてから、二十年が過ぎたのだ。人生の三分の二だ。これだけ付き合って、あれだけ肌を合わせて、今更、若い頃の過ちだなんて言葉で流せない。


 だからこれはけじめであり、私の決意表明だ。真美子と一生を共にするって言う、私の覚悟だ。


「……写真? それって二人でウエディングフォトとるってこと?」

「うん、まあそう」


 真剣な顔で言った私に対し、真美子はぽかんとした顔で繰り返していて、その表情は幼い頃の真美子と重なって、おかしい。

 本当に、可愛い妹だ。真美子は私の可愛い可愛い妹で、大事な人だ。間違いなく妹だけど、もうかけがえのない人だ。これ以上誤魔化したり先延ばしにすることはできないし、したくない。


「っ、うっ」

「ちょ、ちょっと真美子。何も泣かなくてもいいでしょ」

「う、うるさいなぁ。嬉しいんだから、仕方ないでしょ。馬鹿」


 泣き出した真美子の頭や肩を撫でて慰める私に、真美子は涙をぬぐってやや怒ったようにそう言って私の肩に頭をよせてきたので、そっと肩をだきしめる。


「……今更だけど、好きだよ。愛してる。結婚しよ。写真だけだけど」

「ん、いいよ。結婚する。ずっと、したかった。そう言う風に、言ってほしかった」

「あー……待たせてごめん」


 何度もチャンスはあった。昨日今日、こんな気持ちになったわけじゃない。だけどその度、まだ、真美子には他の道もあるんじゃないか。真美子の方から別れを切り出すんじゃないか。そんな風に臆病風にふかれてしまって、私は先延ばしにしてきた。

 でも真美子も三十歳になる。なら、責任をとると言う意味でももうリミットだろう。これ以上はだらだらと中途半端なことはできない。そう言う想いも私の背中を押してくれた。


「ほんと、ほんとだよ、馬鹿おねえ……。でも、そう言うとこも、好きだよ。私も愛してる。ずっと一緒に居てね」

「うん。一緒にいよう」


 血のつながった姉妹の私たちが、こんな風に恋人として、言葉だけでも結婚とか、そう言う関係でいるのは全く正しいことではないだろう。人に話せば眉をひそめられ、海外では犯罪にすらなるだろう。正しく禁断の関係だ。

 でも、もう私は逃げない。真美子とずっと、一緒にいたい。真美子と人生を共にしたい。その気持ちに嘘はつけない。


「愛してるよ、真美子」

「うん。うん……!」


 唇をあわせて、真美子の涙をとめながら私は腕の中の真美子をずっと守っていこうと、もう二度と泣かせないようにと心に決めるのだった。









 私はお姉ちゃんのことがずっと好きだった。物心ついた時には好きだった。それが恋愛感情だと気づいたのは少女漫画を読んでいた時だった。お姉ちゃんの少女漫画を読んでドキドキして、そして私にとってキスをしたり恋をする特別な相手を考えた時、思い浮かんだのはお姉ちゃんだった。

 お姉ちゃんとは同室で布団を並べて寝ていた。すぐそこにお姉ちゃんが無防備にしている。そう思うとドキドキしてたまらなかった。


 だから私は我慢できなくてお願いした。お姉ちゃんにキスがしたいって。だけど当たり前だけどお姉ちゃんは私に恋をしてる感じはなくて、困ったみたいな感じ断りたそうにしていた。

 私の本気を断られたくなくて、拒否されたくなくて、私は恋人の練習でただのごっこだと嘘をついて無理やりお姉ちゃんを説得した。


 いつも優しくて、ちょっと押しに弱いお姉ちゃん。仕方なさそうにしながら受け入れてくれた。だから毎日キスをした。改めて告白する勇気なんて微塵もなかったから、お姉ちゃんが受け入れてくれる範囲をちょっとずつちょっとずつ広げていった。

 私がお姉ちゃんにキスをしていると自然にもっと恋人として先の行為に興味を持っていったのと同じように、お姉ちゃんも私とキスをしていると、そう言う行為には興味を持っているのは感じていた。

 だから決定的なことは何も言わず、練習の延長のようにも、本気の行為にも思える様に私は少しずつお姉ちゃんとの関係を深めていった。


 なし崩し的に少しずつ、お姉ちゃんと姉妹じゃしないことをしていった。好きだからするようにも、ただ好奇心で気持ちいいことをしたいようにも思わせた。

 そうして初めてお姉ちゃんが私の体の中にはいった瞬間、これで決定的にただの姉妹から脱することができた。と確信した。姉妹の戯れを完全に越えたと私は思っていた。

 私もお姉ちゃんの中を感じたり、お互いの気持ちをぶつけ合うように肌をあわせた。どこまでも応えてくれるのが嬉しくてたまらなくて、夏休みなんて毎日のように求めた。


 だけど、そんな激しいほどの日々を過ごしても、お姉ちゃんは私を恋人とは思っていなかったのだ。

 それに気がついたのは、高校に入学する直前。


 お姉ちゃんは何気なく家事を私に任せきりだと結婚して困ると言った。その言い方はまるで私以外と結婚するみたいにも聞こえて、なに言ってるの、冗談でも笑えない。

 だから私はお姉ちゃんに家事ができないと困るような生活にさせたりしない、と言う意味で軽く、私と結婚するんだよ? と言った。


 そうしたら本当にびっくりした顔をして、首を傾げて、ついに黙り込んで俯いてしまった。

 それを見て分からないほど、私は馬鹿じゃない。浮かれていた。安心しきっていた。言葉にしなくたって、なあなあでなし崩しでもここまで許してくれているのだから、私と同じ思いに違いないって。


 このままフラれてしまうのが恐くて話を無理やり続けると、お姉ちゃんも話をあわせるようにしてくれて、さっきのわかりやす過ぎるびっくり顔がなかったみたいに、何事もないみたいに話をしてくれた。


 お姉ちゃんは優しい。優しすぎるくらいに。特に、特別私には優しい。だからきっと、私が勘違いしてるんだって。恥をかかさないようにしてくれたんだ。

 ああ、優しすぎる。そう言うとこ、本当に好き。面倒でなかったことにしたいとか、お姉ちゃんはそう言うところもある。でもそう言うのも結局は全部、優しさからできているって知ってる。だから本当に、大好き。


 だから私は決意した。このままどんどんなし崩しを続けて、お姉ちゃんが勘違いだと言い出せないくらい続けてしまおう、と。根競べだ。お姉ちゃんだって他に好きな人ができたり、本当にこれ以上は無理ってなったら言うだろう。

 でもそう言わずに、なあなあだらだらと私に付き合ってくれているなら、じゃあもう一生を共にするの私でいいよね!? そういうことだ!


 と言うことで私はこの恋心に気合をいれなおし、元々お姉ちゃんを養って他所に目が向かないようにしなきゃと思っていたけど、それ以上にお姉ちゃんが文句を言ったり言い訳にならないよう、今まで以上に勉強も全部頑張らなきゃって思った。

 だから寂しいけど、大学も別の所に行った。勘違いで浮かれたままだったら、大学は同じところか近所にしていたかもしれない。でもそれじゃあ駄目だ。お姉ちゃんと恋人だから甘えていて、この関係が駄目なものだと思われたら、恋愛以前に姉としてこの関係を終わらせてしまう。

 それでもお姉ちゃんが他の人を見ないよう、休日の前には必ず夜に電話をするようにした。私以外とそうやすやすとお泊りできないようにだ。


 でもその心配はあんまりなかった。元々実家暮らしだからか、お姉ちゃんは私がびっくりするほどほとんど毎日晩御飯の時間には帰っていた。もちろん友達と遊ぶ時もあるけど予定をたてていたし、どんな友達? 飲み会の雰囲気とか知りたいなーと言うと写真を送ってくれたので安心できた。

 私が家を出てからもその生活はほぼ変わらなくて、電話をしてもだいたい暇だからいいよーって優しく通話相手になってくれた。

 お姉ちゃんがそうして励ましてくれたから、私は我慢できたし、勉強も頑張れた。


 やっぱり私の人生にはお姉ちゃんが必要だ。そう強く確信した。


 だから大学を卒業するお姉ちゃんに、一緒に住むことを宣言した。社会人になって家を出てしまえば、お姉ちゃんのことだ。一人分の料理が面倒だと外に出かけるようになるだろう。そうなれば出会いは今までの比ではない。

 それは賭けでもあった。一緒に住んでいた高校時代ほど前ほどお姉ちゃんの時間を独占できてもいないし、成長したお姉ちゃんは今度こそ私に勘違いをつきつけるかもしれないと恐れてもいた。

 だけどお姉ちゃんへの対処は決めていた。押して押して押しまくる。お姉ちゃんが呆れてしまって、面倒だからと流されてくれるくらい強く。そして諦めてくれるまで、強引にでも一緒にいるんだ。


 そして私はその賭けにも勝った。そうして無事、私はお姉ちゃんと再び一緒に住むことができた。


 それからもお姉ちゃんからやんわりと距離を置くようなことを言われることはたまにあった。それでも気づかないふりをした。


 そうした生活は何年も続いた。最近はお姉ちゃんも諦めかけているのか、あんまり否定するようなことは言わなかったし、私からだけじゃなくて自分からデートと言う単語を使うようにもなっていた。

 もしかしてもう、お姉ちゃんも私の勘違いに乗っかってくれる気になったのかな? 私の事、少しは恋愛感情も込みで見てくれているのかな?

 そう期待している。でも、確かめるのは恐かった。私は結局、小学五年生の時からずっと、何も変わらず臆病なままなのだ。だからなし崩しで、なあなあで、なんとなくこのまま時が過ぎていって既成事実として、後から振り返って恋人だったし唯一無二のパートナーだったと思えたらそれでいい。そう、自分自身にすら諦めていた。


 そんなある日。お姉ちゃんは言った。


「……あのさ、昔、真美子は結婚の形式とか気にしないって言ってたの、覚えてる?」

「え? あー……私が高校入学する時?」


 お姉ちゃんとの会話は全部覚えている、と言いたいけど、さすがにそんなわけない。一対何時間一緒に過ごして何文字言葉をかわしたのか数えきれないくらいなのだから。

 だけど確かに、そんな会話をしたことは覚えている。高校入学前、お姉ちゃんが私に恋愛感情を持っていなかったとはっきりしてしまった時の会話だから。


 嫌な気分まで思い出しそうになって誤魔化しながらあいまいなふりをする私に、お姉ちゃんは相槌をうった。


「そ。形式とか気にしないってことだけど、あー、なんていうか。真美子ってほら、ウエディングドレスとか似合いそうだし、写真とか、とるのどうかなって」


 そうして続けられた言葉に、私はすぐに反応できなかった。


 だって、その言葉、まるで、私にウエディングドレスを着せようとしか聞こえない。いくらお姉ちゃんだって、いくら式じゃないって言ったって、そんなの、特別な関係でしかありえない。


「……写真? それって二人でウエディングフォトとるってこと?」

「うん、まあそう」


 勘違いだとしても動揺しすぎないよう、できるだけ感情をフラットにしてその意図を尋ねた私に、お姉ちゃんははにかみながら頷いた。

 その態度に他の意味はみられなくて、私は一生続くことを覚悟した根競べについに勝ったんだと理解して、我慢できなくて涙が流れるのをとめられなかった。


 でも大丈夫。だって、突然プロポーズみたいなこと言われたら、恋人前提でも嬉しくて泣いちゃうに決まってる。だからこの涙は疑われないはずだ。

 お姉ちゃんは私の肩を抱きながら慰めてくれる。そう言う優しい対応を疑ったことはない。プロポーズが無くたってそう信じれた。でも今は、それよりもっともっと強い気持ちがある。

 もう誤魔化さなくていい。もう、私とお姉ちゃんは嘘の恋人じゃない。私が思い込んでいるだけの恋人じゃない。ちゃんと両思いの、正真正銘の恋人なんだ。


「今更だけど、好きだよ。愛してる。結婚しよ。写真だけだけど」


 ただでさえ嬉しいのに、お姉ちゃんはさらにそんな直球で嬉しいことを言ってくれるから、涙は全然とまらない。でもちゃんと応えなきゃ。ベッドの上でふざけ半分じゃないちゃんとした愛の告白なんだ。私からどんなに思いを伝えてもお姉ちゃんを絶対困らせないとわかってる今、私も改めて気持ちを伝えたい。


「ん、いいよ。結婚する。ずっと、したかった。そう言う風に、言ってほしかった」

「あー……待たせてごめん」


 お姉ちゃんは私の言葉に申し訳なさそうに謝罪した。その言葉の響きもいつもと違って聞こえて、ますます涙はあふれてきた。お姉ちゃんは困ったようにしながら私にキスをして涙をとめてくれた。


 それから私の誕生日に向けてやりたいことはたくさんあった。写真をとるならその前にエステも行っておきたいし、折角だから指輪も買いたい。あと一週間しかないんだから休んでる暇はない。


「えぇ。いや、さすがに指輪は時間かかるし。と言うかほら、プロポーズしたとこだし、今日は一日いちゃいちゃだらだらするのがいいんじゃないかな」


 早速今日明日の予定をたてる私に、お姉ちゃんはちょっとめんどくさそうにしながらそんなことを言ってきた。


「ちょっとお姉ちゃん! フォトウエディングは一大イベントなんだよ。ていうかそもそもプロポーズ自体、人生でも重要なことなんだから、もうちょっとくらい形にこだわってくれても。いやもちろん、早く言ってくれる分には嬉しいんだけどさ」


 形にこだわってもっと後に言われるより少しでも早い方がもちろん嬉しいし、デートを催促したのは私だけど、朝食食べ終わったそのままでってよく考えたらムードも何もないよね。プロポーズ最初のキスは甘い菓子パンの味だし。

 両思いになれた心の余裕から、もうちょっとくらい、と贅沢を求める気持ちにになっちゃった私がついお姉ちゃんにそう文句を言うと、お姉ちゃんは視線をそらした。


「いやぁ……まあ、はい。ちょっと勢いで。でもほら、指輪とかは安い買い物じゃないし、じっくり時間をかけた方が。と言うか写真も別に予約してるとかじゃないから、指輪を買ってからでもいいしね」

「えぇ、そういうのって飛び込みでやってもらえるものじゃないでしょ。絶対予約必要でしょ」

「……あー、まあ、一緒にお店を決めるのも楽しいもんね」


 勝手に全部決めてましたって言うのも、それはそれで嬉しいけど、ドレスの好みとかあるかもだし、一緒に決めようって言う気遣いはそれはそれで嬉しい。でも、だったらもうちょっと早めに言ってくれてもいいのでは? せめてこの間のホワイトデーにお返しくれた時とかさ。

 うーん、誕生日にってまるで計画的みたいに言いながら、全然計画的じゃない。まあ、お姉ちゃんだし仕方ないけど。


 そうやって先送りにしてしまって時間に任せてしまうおおらかなお姉ちゃんだから好きだし、そんなお姉ちゃんだから私の強引で時間任せのやり方で好きになってもらえたんだ。私はちょっと呆れつつ、相変わらずのお姉ちゃんに笑ってしまう。


「それはそうだけども。お姉ちゃんは相変わらずなんだから。まあ、そう言うとこも、好きだけどね」

「ん。真美子みたいに頼りになるパートナーがいて助かるよ」


 私の軽口にお姉ちゃんはふっと軽く笑ってそう言ってくれた。その言葉の軽さに、軽く言ってくれることの喜びに、私は我慢できなくてもう一度キスをした。


 焦らなくていい。だってもう、お姉ちゃんと私はちゃんと恋人になったのだから。これからは待つためでも根競べのためでもなく、ただお姉ちゃんとの人生を楽しむためだけにじっくりと時間を使えばいいのだから。


「んふふ。お姉ちゃん、大好きっ」


 私の言葉にお姉ちゃんは困ったりためらうことなく全力で笑ってくれた。昔みたいに、ううん。もっと幸せそうに笑ってくれた。


 こんな幸せが一生続く幸福を、私は噛みしめた。






 おしまい。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

一歳差なし崩し姉妹百合 川木 @kspan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ