第2話 新しい世界

渦巻く渦の中に足を踏み入れた瞬間、エヴリンはまるでジェットコースターに乗っているかのように、急にお腹が痛くなるのを感じた。


鮮やかな色彩が混ざり合い、彼女の周囲に魅惑的な万華鏡のような光を生み出している。恐怖と爽快感と奇妙な高揚感が入り混じり、心臓がバクバクしている。


やがて、その渦から解放されたように、彼女は地上に降り立った。


まばたきをしながら周囲を見渡すと、そこは祖母の家の屋根裏部屋とはまったく違う場所だった。


緑が生い茂り、色とりどりの花が咲き乱れ、見慣れた動物に紛れて神話に出てくるような奇妙な生き物がいるのを見つけて目を丸くした。すごい!


周囲を見渡すと、石畳の小道が遠くに見える魅力的な村へと続いていることに気づいた。好奇心を刺激されたエヴリンは、その道を進んでいくと、やがて村にたどり着いた。


村の人々はファンタジーの世界でしか見ないような服?と見慣れた服装を着た人々が混在し、建物も様々なものが混在している。エヴリンは、まるで子供の頃に読んだ絵本の中に入り込んだような気分で、思わず見入ってしまった。


衛兵のような人も村の入り口にいたが特に引き留められることもなく入ることができ、村の中を歩いていると、見覚えのあるような、ないような、そんな1件のアンティークショップに出くわした。


ドアの上の看板には、「ナカムラアンティーク」と見慣れた文字で書かれていて、ちょっとだけほっとする。


深呼吸をしてドアを開け、店内に足を踏み入れた。


店内には、いろいろな品々が並び、古書や磨かれた木の香りが漂っている。


視線を店の奥にやると、優しい笑顔の年配の男性が、高そうなティーカップを丁寧に調べているところだった。


エヴリンが近づくと、その男性は顔を上げ、温かみのある目で迎えてくれた。


「いらっしゃいませ。この店のオーナー、アラタ・ナカムラと申します。何かお探しですかな?」


エヴリンは何から話していいのかわからず、ためらった。


「エヴリン・カーターといいます。エヴィと呼んでください」


そして手の中に握りしめたままだった鍵があることに気づき、


「私は、ええと…どうやってここに来たのかよくわからないんですが、祖母の屋根裏部屋でこの奇妙な鍵とドアを見つけたんです。そして気づいたらここにいて…」


話を聞いたアラタは目を見開いて輝かせた。


「ああ、その鍵と扉ですか。なるほど、あなたは"パラレルワールド"から来たのですな」


エヴリンは目を見開いた。


「"パラレルワールド"?これはただの奇妙な夢ではないのですか?」


すべてを理解した顔で、アラタは首を横に振った。


「いや、これは現実ですよ。しかし、心配しないでください。私は、この世界とそのルールを案内するためにここにいるのですから」


エヴリンは安堵すると共に、一瞬不安な気持ちになったが、アラタの優しい目を見て、この人を信じてみようと思った。


アラタの優しい眼差しに、エブリンは信頼感を覚えた。


そしてこの不思議な世界の事を聞かせてもらおう。

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