七章 珍しく昼遊び
146 忘れ物
フィリップがボエルを落として1週間……
「ハァハァ……なるほど。そうしたら気持ち良くさせられるのか。ハァハァ……師匠、他にも女を喜ばせるテクニックを教えてくれ!」
フィリップは毎日夜の先生になっていた。
「なんか僕ばっかり攻めてない? 独りよがりじゃすぐにフラれるよ??」
「つっても師匠は男だからな~……」
「もうやらないよ?」
「わ~った。これでいいか?」
「ガサツ!? でも、新しい感覚!!」
ただし、ボエルはフィリップ好みのマッサージをしてくれないので、新しい発見をしているらしい。
それでも今日も夜の勉強に精を出す2人であった……
「ハァハァ……これはこれで気持ちいいけど、な~んか忘れてる気がするんだよな~……ハァハァ」
「そう? 僕は毎日楽しいから忘れ物はない気がするな~」
「そりゃ殿下は女好きだから、毎日ヤレて……」
「どうしたの??」
「毎日だ! 毎日勉強するって言ってたのに、これしかしてない!?」
「あ~あ。バレちゃった~」
ボエルが猿のようになっていたので、フィリップは自分から勉強しようと言わなかったけど、ついにバレてしまったのであったとさ。
その日からボエルはお受験ママのようになっていたけど、フィリップの賢さは微妙にアップする程度。急に良くなると、ボエルがマッサージしてくれなくなりそうだから調整しているみたい。
それにボエルの教え方も悪いみたいだから、様子見している最中。期末試験までは黙っていて、そのあとに教えて罪を
この1週間はボエルのマッサージに精を出していたフィリップは、久し振りに奴隷館に足を運んだのでキャロリーナに
そのことも聞かされたので、翌日はもう1人の夜遊び相手のところに顔を出したフィリップ。こちらもこちらで寂しかったのか膨れている。
「ゴメンって~……って、僕たちって付き合ってないよね?」
「うわ~~~ん」
「いまのは僕が悪かった! ほら? 今日はお姫様プレイしよっか? イーダ様、なんなりとご命令してください」
フィリップの言い方が酷すぎたので、イーダは大泣き。なのでフィリップもタジタジになって、イーダをお姫様扱いして機嫌を取るのであった。
結局イーダをお姫様扱いしたのは短時間であったが、深夜までフィリップが献身的にマッサージしたことで、イーダもメロメロ。というか、トロトロ。
フィリップの胸に頭を乗せて、グロッキー状態だ。
「フゥ~。満足してくれた?」
「はい~。でも、今まで何してたのですか?」
「いや~。テストで最下位取っちゃったから、夜は監禁されて勉強漬けだったんだよ」
「あぁ~……それは仕方ないですね。怒って申し訳ありませんでした」
「ううん。一声かけるべきだったね。次からは気を付けるよ」
フィリップの最下位は、帝都学院に激震が走ったので、誰もが知る事実。ただし、第二皇子の不手際と言うこともあり、面と向かっては誰も口にはしない。
フレドリクは心配してフィリップを訪ねて来たらしいけど、「父上からめっちゃ怒られたからそっとしておいてくれ」と噓ついて追い出したんだって。
この情報はいちおう箝口令は敷かれているから外には出ないと思うが、生徒たちは毎日コソコソやっているので時間の問題かもしれない。
「あ、そうだ。最近イジメのほうはどう? 調子いい??」
「イジメと言われると語弊があるし、イジメだとしたら調子を問われるのはどうかと……」
「その顔じゃ、調子悪いのか~」
「まぁ……というか、殿下。隠れてニヤニヤ見ないでくれません? その顔見ると、笑っちゃいそうなんですよ」
「あ、バレてたんだ。次からはバレないようにするね」
「う~ん……それでいいのかな~?」
イーダもイジメをしている自覚はあるらしく、フィリップが止めないことが不思議で仕方がないらしい。
「いいのいいの。それより、これから何するか教えてよ~」
「別にいつも通り…ですよ」
「いま、間があったよね? エステル嬢は、何をしようとしてるのかな~??」
「ですから…あっ……」
イーダが噓をつきそうだったので、フィリップは覆い被さって悪い顔をしてる。
「この関係が終わってもいいのかな~? エステル嬢が知ってもいいのかな~?」
「うっ……どちらもイヤですぅぅ」
「じゃあ、隠し事はなしだよ。何するのかな~??」
こうしてフィリップに脅されたイーダは、全てを語ってしまうのであった……
それから乙女ゲームでとある事件が起こる日にフィリップはルイーゼを付け回して、悪役令嬢たちのやり取りをニヤニヤしながら眺める。
その夜にはイーダの部屋に窓から入り、マッサージを終えてからお喋りしていた。
「ねえ? 今日って毒を盛るとか言ってたけど、何も起こらなかったね」
そう。今日はルイーゼが一服盛られて大変な目にあうイベントだったから、フィリップは前もって情報をイーダから聞いていたのだ。
「え? 殿下が止めたんじゃなかったのですか??」
「なんで僕がそんなことしなきゃいけないの?」
「だって、皇族ですし……」
イーダの言う通り皇族ならばそんな事件は止めるべきだが、フィリップはまったく止める素振りもないので、イーダも犯人ではないと信じてしまった。
「これで終わり?」
「いえ……明日にもう一度実行します……」
「やった~! どうなるのかな~??」
「そんなに喜ばなくても……毒といっても、せいぜいお腹が痛くなる程度ですよ?」
「楽しみだな~」
「この人、本当に皇族なのかしら……」
あまりにもフィリップがウキウキしているので、イーダも呆れてフィリップのことを皇族かどうか疑い出したのであったとさ。
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