113 カラフル王子復活?
クリスティーネにボッチがバレたフィリップであったが、夜の街にはいっぱい居るとか言って墓穴を掘っていた。
「女だろ……」
「1人! 1人だけ!!」
「娼館に一緒に行く角刈りのオッサンのことか??」
「調べすぎ~~~!!」
だって、夜の街に行く理由はマッサージだもん。なのでまたクリスティーネがスネてしまったので、毎日機嫌を取りに現れるフィリップであったとさ。
そんなことにフィリップが気を遣っていたら1学期の期末試験が始まり、終わってみたらフィリップの点数は平均35点。周りの子供はややそれより上ぐらいなので、ラーシュは「あんなに教えたのに」とヘコンでいた。
フィリップはというと、上手く点数を操作できたとは思っているけど「ダグマーになんて言い訳しよう?」と考えながら教室を出て歩いていた。
「「「「あっ……」」」」
「ん??」
階段を下りて2階に来たところで、あれ以来、フィリップは初めてカラフル王子と遭遇。
「「「「申し訳ありませ~~~ん!!」」」」
それどころか、カラフル王子は後ろに飛び
「違うだろ? 決めポーズ……」
「「「「はっ! 我ら、色彩戦隊ブンテレンジャー!!」」」」
「ラーシュは??」
「私も!?」
土下座されるほうが困るフィリップは不機嫌に決めポーズを求めたが、1人足りなかったからラーシュも道連れに。かわいそうに……
「んで……テストできた?」
「はい! いえ……」
「そういえば、勉強は苦手だったっけ。わからないことがあるなら、先輩のラーシュ君に聞いたらいいよ」
「え……いいのですか?」
「うん。僕たち友達でしょ~?」
「「「「有り難き幸せ!!」」」」
「そういうのいらないから。普通にしてくれたまえ」
「「「「はいっ!!」」」」
またしても巻き込まれたラーシュは、驚愕の表情。フィリップはあのことがバレそうだと思ったのと、クリスティーネにボッチじゃないと証拠作りに使おうとしているみたいだけど……
カラフル王子とちょっと喋って別れたら、隣で歩くラーシュの質問が来た。
「あの4人に何かしたのですか?」
「なんのこと?」
「あれだけしつこく絡んでいたのにいきなり土下座ですよ? 殿下が何かしたとしか考えられません」
「部屋から出ない僕が何をできるんだよ。彼らが改心しただけじゃない?」
「それもそうですね……いや、ダグマー辺りが殺す勢いで何かしたとか……」
「ダグマーだって、他国の王子様相手にそんなことしな…い……と思うけど、どうだろう??」
ラーシュがダグマーを怪しんでいたので、フィリップは擁護してみたけど、やりかねないとも思ってる。前科あるし……
1階で護衛たちと合流したら、ラーシュが先程の出来事を語って質問していたけど、ダグマーも与り知らないとのこと。ただ、カラフル王子はダグマーを見るとコソコソ逃げることが多いそうだ。
「なんか思い当たることないの? あ、ビンタの件かな??」
「その件は翌日謝罪して許してもらいましたので違うかと……幽霊騒ぎの時のお漏らしの件かも知れません。私は喋るつもりはありませんのに」
「いま喋ったよ?」
「我々の中に喋る者はいないと確信しております」
「ラーシュ君。噂を広めといて。プププ」
「殿下!?」
護衛の中にはいないけど、守るべき主君を計算し忘れていたダグマー。ダグマーは必死に止め、ラーシュもかわいそうだからやらないと拒否。
そうなったらフィリップも諦めて、冗談だったと嘘を言うのであった……
「また最低ランク……」
「怒らないで~。怒られると腹いせに口を滑らせちゃうかもしれないから~」
「クッ……」
お漏らし事件は、ダグマーの説教をやり過ごすための手札にしたフィリップであったとさ。
夏休みに入ると、近隣の国から来ている子供は里帰りし、フィリップも帰りたいとブーブー言い、仮病を使って夜遊び再開。でも、皇子の仕事があったので、たまにはクリスティーネと面談。
いつも同じメンバーでは面白くないかと思い、嫌がるラーシュとカラフル王子も誘って訪ねてみたら、5人は顔が真っ赤。クリスティーネの美貌にやられたらしい。
「オッパイ触らせてもらえるように頼んであげよっか?」
「「「「「ムリムリムリムリ!」」」」」
せっかくサービスしてあげたのに、ブンテレンジャーは全員チキン。そりゃそうか。美人とか以前に、クリスティーネは女王様だもん。この件はクリスティーネの耳に入っていたので、フィリップはその場で怒られていた。
皇子の仕事がない時は、3日をダンジョンでのレベル上げに使い、2日を娼館やナンパした女性とマッサージ。残り2日はクリスティーネやダグマーに充て、完全に休んだり外に出たり。
夏休みだというのにフィリップは忙しくて過ごしていたら、あっという間に新学期が始まる。
2学期も相も変わらず学校へ行くのは少なめ。ダンジョンではゆっくりとだがレベルが上がり、夜の街では夜の帝王として君臨するフィリップ。
そんなある日、クリスティーネの部屋でマッサージが終わったら、フィリップはニヤニヤしていた。
「なんですかその顔は?」
「ん~? 明日また、新しい店ができると聞いてね~」
「また娼館の話ですか……」
「まぁそうなんだけど、クリちゃんが即位してから1年経ったじゃん? 昔と比べて凄く活気が出て来たから、僕も嬉しくなっちゃって」
「……ですね。アレから1年ですか……フィリップは知らないかもしれないけど、お昼はもっと活気があるんですよ?」
「それぐらい知ってるよ~。酒場も人が溢れてるもん」
現在の首都は税金が免除になっているので、過去最高の好景気。これは免税だけではなく、フィリップのバラ撒いたお金と国が宝を売り捌いたお金が大量に流れているおかげでもある。
元々カールスタード王国では、国王や貴族が溜め込んだせいでお金の流通が少なかったから、フィリップの資金と公的資金の流入で需要と供給のバランスが正常になったことが、好景気の一番の理由だ。
このことはフィリップが詳しく説明したけど、クリスティーネはなかなか理解できなかったんだとか。インフレ政策って難しいもんね。
そんな難しい話は抜きにしても、2人はこの1年の思い出話に花が咲き、話題が尽きない。
「そろそろ戴冠式とかやってもよさそうじゃない?」
「そうですね……フィリップも出席してくれるのですよね?」
「僕は堅苦しいのはちょっと……」
「えぇ~。エスコートしてくださいよ~」
「それだと僕がパートナーだと宣伝してるものじゃない??」
残り時間は式典の話。どうしてもフィリップを出席させたいクリスティーネと、政治利用されたくないフィリップの戦いは続くのであった……
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