102 いい迷惑


 ブンテレンジャーのブルーじゃなくて小国連合のバルタサールを倒したら、フィリップたちは逃げるように帰宅。自室に逃げようとしていたフィリップはダグマーに捕まって、ラーシュの部屋に監禁されている。


「何故、あのような騒ぎを起こしたのですか? ただの噂話を鵜呑みにしていたのですから、それを知らせて裁けばよかっただけでは?」


 ラーシュはフィリップの行動が不思議だったから、質問しようと監禁したらしい。


「ちょっとした確認。ダグマーは戦ってみて、どう思った?」

「10歳にしては、お強いかと。おそらくですが、魔法適性はふたつ持っていると思われます」


 ダグマーの答えにラーシュが反応する。


「そうなのか?」

「途中から速くなりましたので、肉体強化の魔法は確実です。たまに手をかざして引っ込めていたので、何かしらの魔法は自重したのかと」

「あの短時間でそこまでわかるのか……さすがだな」

「もったいないお言葉で」


 ラーシュはフィリップに目を移す。


「つまり……あの小国連合の力量を見たかったということですか?」

「そそ。この分だと、残りの3人も複数持ちかもね~」

「まさかそこまで考えていたとは……頭、大丈夫ですか?」

「ラーシュ君。そろそろ怒っていい?」

「す、すいません」


 さすがのフィリップも限界が来たと睨んだら、ラーシュも調子に乗りすぎたと平謝り。心は込もってないけど……


「ちなみにラーシュは、魔法使えるの?」

「殿下……初めて会った時に説明したのですが……」

「そだっけ? 忘れてるな~」

「はぁ~。肉体強化と回復魔法・小が使えます」

「小?? じゃあ違うか……」

「何が違うのですか?」

「なんでもない。てことは、将来はパラディンか~。いいな~」

「接近戦なら任せてください! 多少の怪我も治せますからね!!」

「気が向いたらね~」

「たまには私も殿下を守らせてくださいよ~」


 ラーシュは自分の出番だと鼻息荒くしていたが、フィリップは雑に扱って部屋から出て行くのであった。



 自室に戻ったフィリップはダグマーに勘繰られたので、カラフル王子の残りを探るように仕事を頼み、足を舐める仕事をしてから就寝。

 翌日はバルタサールが大丈夫かを確認しに学校に行ったが、同じクラスのラーシュから「大丈夫」と聞いたから「来るんじゃ」なかったと教室で寝てる。


 それから休憩時間も寝ていたら、ラーシュの騒いでいる声で目が覚めた。


「もう~。うるさいな~。授業中でしょ~」

「休憩中です」


 けど、変なことを言いながら起きたので、ラーシュに冷たくツッコまれた。


「なに騒いでんの?」

「彼らが殿下に話があると言うので、追い返そうとしていたのです」

「あっ! 色彩戦隊ブンテレンジャー!! 決めポーズやって~~~」

「「「「ええぇぇ~」」」」


 ラーシュが頑張っていたというのに、フィリップは軽い。嫌がるラーシュも加えさせて、またあの戦隊モノみたいな決めポーズをやらせる。

 カラフル王子のうち3人も嫌がっていたけど、フィリップが「やってくれたら話を聞くけど、本気でやらないと聞かない」と言うから、気合いを入れてやっていた。厨二でパープルのポントゥスは普通に嬉しそうだな。


「おお~。いいねいいね。次から、僕の前に来たらすぐにやるんだよ?」

「殿下……なんで私まで……」

「人数合わせだって。次、気の抜けた決めポーズやったら、リンゴちゃん口説くからね?」

「それは困ります!!」


 ラーシュのやる気がいまいちだったので、フィリップは釘を刺してからカラフル王子のバルタサールと喋る。


「んで……なんか用?」

「ですから、謝罪をしてください」

「何に?」

「昨日、言いましたよね?」

「忘れた」

「チッ……学校を牛耳って……」

「あっ! もうすぐチャイム鳴るけどいいの??」

「クソッ! また来ますからね!!」


 しかし、次の授業が始まると聞いたカラフル王子は、ダッシュで離れて行くのであった。


「ケンカ売りに来ておいて、授業はちゃんと出るのですね……」

「真面目ないい子だね~」


 その行動にラーシュは納得いかず、フィリップはほのぼのとするのであったとさ。



「……決めポーズは??」

「「「「「我ら、色彩戦隊ブンテレンジャー!!」」」」」


 次の休み時間は、カラフル王子たちが矢継ぎ早に非難したけど、フィリップはまた決めポーズからやらせてた。カラフル王子もヤケクソだ。


「てか、休憩の度に来るの?」

「謝罪するまで、何度だって来ますからね!」

「いや、お昼休憩とか放課後のほうか時間あるでしょ? そっちにしたら??」

「そ、それは……」

「ダグマーが怖いんだ……」

「ち、違う! それよりも!!」

「チャイム鳴りそうだね」

「クソ~~~!!」


 カラフル王子は本題ができないままダッシュで撤退。そして3時間目が終わったら、息を切らせてフィリップの前に集合した。


「「「「色彩戦隊ブンテレンジャー!!」」」」

「1人足りないよ~?」

「「「「ラーシュさ~~~ん」」」」

「いや、私は本来そちら側の人間じゃないんだからな?」


 でも、ラーシュと揉めてタイムアップ。この休憩時間も話ができないカラフル王子であった。



 4時間目が終わると生徒のお楽しみ、給食の時間。フィリップとラーシュはダグマーたちが待つ専用席で食事を始めた。


「あいつらどこ行った?」

「さあ? やはりダグマーが怖いんじゃないですか??」

「何も話できてないんだから、根性見せろよな~」

「いい加減、聞いてあげてくれません? 私も恥ずかしいんですよ??」

「カッコイイからいいじゃん。ラーシュはね~。色彩戦隊ブンテレンジャーの真ん中で、リーダーやってるんだよ~?」

「殿下! メイドや護衛に広めないでくださ~~~い!!」


 皆がなんの話をしているのだろうといった顔をしていたので、フィリップが親切に教えてあげていたら、ラーシュは慌てて止めたけど全て語られたのであった。

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