086 スパイのその後
フィリップとダグマーの関係がよくわからないクリスティーネは、とりあえずダグマーの趣味をマネしてみたけど、良さがわからず。
「こ、このブタ野郎!」
「ブヒー!!」
「これってどう気持ちいいのですか?」
「1人だけ
素人に踏んだり蹴ったり罵ったりは難しいので、結局は普通にマッサージをする2人であった。
「ところで、娼館の紹介状はいつ頃になりそう?」
「いま、各所に通達している最中なので、もう少し待ってください」
「早くしてよね? そろそろ2学期が始まるから、1週間ぐらいは夜遊びできなくなっちゃうの」
「2学期……ちゃんと学校に行ったほうがいいのでは? てか、ちゃんと学校行ってます?」
「行ってないに決まってるでしょ~」
「それはふたつの意味でいいのかな~??」
クリスティーネはここへ来て、子供に娼館の紹介状を書いていいのかだとか、学校に行かないようになるのではないかと悩むのであったとさ。
翌日は昼頃まで寝ていたフィリップは、ダグマーと昼食をしながら手紙の件を確認。朝方にクリスティーネの使いが来て、フィリップが書いた手紙を受け取って行ったそうだ。
それからウトウトしていたら夜になったので、フィリップは外町に繰り出し、行き付けの酒場に入った。
「「「「ハタチ君!?」」」」
いつも通りカウンターに向かっていたら、4人の女性がフィリップの元へ駆け寄った。
「お姉さんたち、久し振り~。元気だった?」
「元気だったじゃないわよ! 今までどこにいたの!?」
「うわ~~~ん。ハタチ君が生きてた~~~」
この4人は、フィリップが雇ったスパイ。カロラもロリもフィリップのことを心配していたようだけど、フィリップは宥めながらテーブル席に移動した。
「生きてたって、どゆこと?」
同じように心配する店主のマッツを適当に注文して追い払ったフィリップは、ロリに抱き締められながらカロラに話を振った。
「クーデターがあってから、姿を消してたじゃない? みんな何かあったと心配してたのよ」
「やだな~。ちょっと忙しかっただけだよ~」
「忙しいって……」
カロラは身を乗り出して小声で喋る。
「やっぱりクーデターに関わってたの?」
「なんの話??」
「ほら? 私たちに情報集めさせてたじゃない?」
「あ、そゆこと。クーデターのおかげで、今まで集めた情報がパー。だから言い訳しに、父親に会いに行ってただけだよ」
「「「「よかった~~~」」」」
どうやらカロラたちは、間接的にクーデターに関わっていたのではないかと怖くなっていた模様。フィリップのことは心配していたけど、自分たちのことも心配だったらしい。
「そうだ。お姉さんたちに会ったら返そうと思って持って来たんだった。はい」
「「「「よかった~~~」」」」
あと、せっかく稼いだお金も……フィリップが名前付きの袋をテーブルに乗せたら、嬉しそうに受け取ってすぐに隠していた。
「まだアルバイトする?」
「う~ん……私はもういいかな? なんか今回のことで怖くなっちゃった」
「私はハタチ君に体売る! いや、ハタチ君を買う!! あいた!?」
「ロリは黙ってなさい」
フィリップがスパイ継続の話をしているのに、ロリがまったく関係ないことを言うので、カロラにチョップされてた。でも、フィリップの太ももに倒れ込んでイジり倒してるな……
「そっか。それじゃあ仕方ないね。でも、お姉さんたちの愚痴、面白かったのに残念だな~」
「愚痴でいいなら、たまに聞かせてあげるよ。なんだかんだでハタチ君と話すの、私たちも楽しいし。ね?」
「うん。でも、女王様になってから待遇よくなったから、愚痴は出て来ないかもね~」
「そうそう。いきなり給料倍になったし、嫌いな人も全員いなくなったもんね~」
「えぇ~。あのハゲいなくなったの~?」
どうやらクリスティーネが女王になってから、城で働く人がガラッと変わったとのこと。平民から聞き取りをして、使えないと思った貴族はほとんどクビにしたらしい。
フィリップとしては、4人の上司のハゲが悪口言われるのは面白かったらしいけど……
「ふ~ん……てことは、みんなは女王様を認めたってこと?」
「認めたというか、救世主? 神?? 職場のみんなはそんな感じ。その話を聞いて、町の人も良くなるかもって期待してるわね」
「アハハ。前の国王、どんだけ嫌われてたんだよ。たった数日でしょ」
「好きな人なんて1人もいないわよ。貴族も愚痴ってたもん」
なんだかんだで、盛り上がる話は愚痴。もう周りの目を気にせず言えるようになったと、国の批判を大声で喋りまくる3人であった……
「アハハハハ…うっ……」
「ハタチ君、どうしたの?」
「いや、ロリさんが……」
「「「ロリ……」」」
楽しく笑っていたフィリップだが、急に恥ずかしそうな顔になったので「こんな所で何してんだこの女……」と、満面の笑みで口を拭うロリを冷たい目で見る3人であった……
「私たちも行く?」
「「そうしよっか」」
でも、フィリップが誘ったら、全員宿屋に入って行ったのであったとさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます