064 クリスティーネの覚悟
ショタコン4人衆を……もとい。スパイに雇った4人の女性を超絶技巧のマッサージで倒したフィリップは、宿代には多すぎるお金を置いて宿屋を出た。
その足でオロフたちの元へ顔を出し、性欲はなかったからクリスティーネには会わずに帰宅した。
翌日はダグマーに踏まれ、夜にはクリスティーネ宅にお邪魔したフィリップだが、クリスティーネが何故か頬を膨らませて待っていた。
「そんな顔してどうしたの? かわいい顔が台無し……いや、その顔もかわいいね。ホッペつついちゃおっと」
「プハッ!」
でも、フィリップは空気を読まず。クリスティーネの空気は抜いたけど……
「怒ってるのに、何するんですか~」
「あ、怒ってたんだ。あまりにもかわいいからわからなかったよ~」
「かわいいかわいい言わないでください。ここは理由を聞くところでしょ~?」
クリスティーネが理由を聞けと言うので、フィリップもさもありなんと、ポンッと手を打った。
「なんで怒ってるの?」
「毎日来てたのに、急に2日も音沙汰なしじゃなかったじゃないですか? ようやく気持ち良くなって来たのに……」
フィリップとしては浮気を疑われているのかと思ったのに、毎日優しくしていたことが花開いていたのでは、笑いが込み上げて来た。
「アハハ。出会った頃は何も知らなかったのに、エッチな子になったね~。アハハ」
「もう! そうしたのはハタチさんでしょ!!」
「うん。ゴメン。責任取らないとね~」
「あ……」
というわけで、フィリップはクリスティーネをお姫様抱っこでベッドに連れて行くと、いつもより激しく愛し合ったのであった……
それから2時間ほどが立ち、クリスティーネは幸せな気分でフィリップの腕枕に収まっていた。
「それにしてもこの2日、いったい何をしていたのですか?」
「おっそ……」
「確かに遅くなりましたけど、いつも話をするのはこのぐらいですよ?」
「本当だ!?」
この質問もすぐに来ると思っていたフィリップだが、基本的にクリスティーネとはベッドの上でしか難しい話をしていないので、否を認めるしかない。
「ほら? お城の情報収集するって言ってたでしょ? そこで働く人に会ってたの」
「あ~……ナンパしたって言う……」
「そそ。隠さず言うけど、全員抱いちゃった」
「たった2日で4人!?」
「正確には一昨日1人、昨日3人だね。あ、もう1人、別口でいたや」
「いま驚いてるんですから足さないでくださいよ~」
また怒りが湧いて来たクリスティーネであったが、フィリップの女癖の悪さには呆れて何も言えなくなってしまった。
とりあえず許されたと思うことにしたフィリップは、机に置いていたショルダーバッグを取りに行き、手を突っ込んでアイテムボックスから出した書類をベッドの上に広げた。
「こ、これは……お城の見取り図ですよね?」
「うん。まだ1、2階だけどね」
「凄いです! 私たちなんて、長年かけて何も進んでいませんでした、のに……」
「喜ぶかヘコムかどっちかにしよっか?」
自分の発言で悲しくなったクリスティーネは、フィリップに頭を撫でられて気を取り直す。
「ホントにハタチさんは凄いです。私たちの何倍もの速度で事を進めてくれるなんて」
「まぁ、僕は自由で背負う物は何もないからね。クリちゃんたちは民を助けながらだから歩みが遅いだけだよ。見捨てないほうがどれだけ大変か……絶対にいい君主になる素質あるよ」
「そう言ってくれるだけで、これまでの苦労が報われます。ありがとうございます……」
クリスティーネが涙目で礼を言うなか、フィリップは珍しく真面目な顔になった。
「ついでだから言っておくけど、血が流れないクーデターなんてないよ? それは覚悟してる??」
「は、はい……わかっています……」
「いまの王族は全員犯罪者になるんだよ? それに関わっていた人もだ。その人たちを全員死刑にまでしないと、クーデターは終わらない。これは僕が手を出してはいけないことだ。クリちゃんの手で、意志でやらなくちゃいけない。そんな多くの人を殺して、その
少し迷いのあったクリスティーネに、フィリップは脅すようにこれからのことを語った。その数分後、何度も自問自答を繰り返したクリスティーネは覚悟を決めて顔を上げた。
「いまの国は腐っています。民のため、ひいお婆様のため、王族の血を受け継ぐ私が。私しかできないのなら、この手をいくら血で汚そうと構いません。私が必ず、カールスタード王国を、民が笑顔で暮らせる国にしてみせます!!」
クリスティーネの決意表明に、フィリップは感動の拍手。そして……
「よく言えたね~。お~しゃしゃしゃしゃしゃ」
「いいこと言ったんですから、わしゃわしゃしないでくださ~い」
クリスティーネの頭をわしゃわしゃして褒めてる。
「まぁ素っ裸じゃなかったら、もっと感動したかな? オッパイ、ポヨンポヨンしてたよ??」
「どこ見てるんですか~~~」
そりゃしゃあない。そんな姿で決意表明やられても、フィリップは大きな胸に目が行ってあまり集中できなかったとさ。
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