第218話 復活の経緯……

 感動の再会…… からの手痛い歓迎もキッチリと受けた黒崎。


 とりあえずは京子とリーズレットも一旦は鎮まって(?)二人は一息つき、黒崎はKOされつつもとりあえずは何とか生きていた――


 そんな彼等のもとにアルセルシアとイステリアが到着する。



「やれやれ…… 悪運の強い奴だとは思ってはいたが……」


「まさか本当に『こんな現象』が起こるとはな――」


「よう! 久し振りだな! シリウス!」


「アルセルシア!」


「来たね♪ 師匠先生達♪」

「! お二人はんまでっ!」


「ふふ。 こっぴどくやられたみたいですね…… その…… 想像以上にですが……」


 軽く引いてしまっているイステリア。


「まあ無事でなによりだ」


「これが無事に見えるのは世界中でお前だけだ!!!」


「はは! まあいいじゃないか! 二人共、そこら辺で勘弁してやれ! イステリア! 手当てを頼む」


「はい! 姉様!」


 挨拶を軽く済ましてから黒崎を治療するイステリア。



 そして――



「そしたら悪いが私もこいつと二人きりで話したい事がある。 お前等先にもどっとけ」


「はあ!? なんや! それ!」

「やだやだ! 納得いかない!」


「ちょっとだけだよ! すぐ返すから! ほら! しっし! イステリア!」


 折角久し振りに会えたというのに納得いかないといった彼女達だったが、アルセルシアの合図と共にイステリアが二人の肩に両手を置き、転移術の準備に入る!


「はい! 姉様! ごめんねえ~。 二人共! そんな時間かからないと思うから! ね! あ! シリウス! また後でね!」


「ちょっ!」

「待っ!」


 次の瞬間!


 転移術により三人の姿がその場から消えるのであった。


 そして黒崎の方へと向き直すアルセルシア。



「やれやれ…… 聖域だというのにギャーギャー騒いで…… やっと静かになったか」


「これで落ち着いて話せるな。 シリウス」


「ああ、聞かせてくれるんだろ? 『何故俺がこうして復活できた』のかを――」


「ああ、少し長くなるから腰でも降ろして聞いておけ」


「ああ、頼む――」


 そうして胡坐をかいて隣り合わせに座る黒崎とアルセルシア―。



「あの後…… お前が消えた後、父上も覚悟を決めてな――」


「まあ正確に言うと、あの大戦が始まる前から既に覚悟を決めてたみたいだが――」


「戦士達だけではない…… 瘴気による被害は通常の傷より遥かに癒しづらい…… 大地や空、空気といったものたちもな……」


「元々寿命が近かった父上は、開戦前に我等姉妹には言っていたんだ。 必要と判断したら、自身の命をかけて可能な限り『後始末』をすると――」


「『創造』と『再生』の力を司る最高神である父上は残る全ての力を使い、完全とまではいかなかったものの、それでも残った者達だけで後に天界を立て直すのが可能なまでに天界を浄化していった――」


「そしてここからは我々姉妹の推測にしかすぎんが……」


「直前に消えたお前の霊的残粒子ともいえるものは、まだかろうじて空気中に漂い、残っていたのだろう……」


「それらと一緒にバラバラになった魂魄と想い…… 記憶の残滓を父上はかき集め、自身の力を発動――」


「それでも父上はかつて程の力はない……」


「そこで父上はかき集め、自身の力でお前の欠片を修復しつつ、それでも足りない部分は更なる超常的な力に頼ったのだろう…… 恐らくそれが――」


「そこにある天聖樹…… そしてそれこそが俺が『ここで』目を覚ました理由か」


「ああ、多分な…… 恐らく父上は最期にお前の欠片達をこっちへ流してきてたのだろう」


「だがそれでも…… 復活までには多大な時間が必要だった――」


「一から生命を創造するだけでも骨が折れるのに、恐らくお前の仲間達との記憶や思い出とかまで完璧に修復したいという想いが父上にはあったんだろうな」


「それが天聖樹の力を頼った上で、それでも復活までに百五十年もの時間を擁した理由というわけだ」


「これは賭け…… と言うか一か八か位の願望に近い望みだったから、成功するかどうかはわからなかっただろうがな」


「ちなみに姉者達の方はもう前大戦の段階で死亡してから己の魂魄と瘴気が混ざり合って千年以上もの月日が流れていたから、もうどうやっても復活はできなかったのだろうな」


「ま、全部想像だけどな」


「だが父上が…… お前の最期を見て何とかしたいと思っていたのは我等にも分かっていた」


「そしてやるなら『こういう方法しかない』という事も……」


「だが我等のその想像が正しいかどうかなんてわからん…… そうでなくてもこんな方法、成功するとも限らんし――」


「寧ろこんな奇跡みたいなもの…… 失敗する確率の方が圧倒的に確率は高いだろう」


「なにより確証もない…… あくまでも我等にとって都合のいい勝手な想像の話……」


「だからこそ! 変に希望を持たせておいてやっぱりダメでした! なんて事になったらお前の関係者達にもう一度絶望を味合わせる事になるだろ?」


「復活できたとしても…… それがいつになるかまでは流石にわからんしな――」


「だから実際にお前が姿を現すまで! この事は我等姉妹、それと後から王たるユリウスにだけは伝えておいたんだよ」


「それからリーズにもか――」


「リーズの奴もやっぱりショックだったのか、最初こそ気丈に振舞ってはいたけど段々と荒れてきてな…… セシリアやマクエルも心配して、それでユリウス経由からその話が私の方にまで耳に入ってきてな」


「しょうがないから一発シメた後に、迷ったが私の方から奴にも教えておいたってわけだ」


「もしかしたらってな……」


「ただ上手くいくかはわからん…… もう一度深い悲しみに襲われるかもしれん……」 


「それでも…… その可能性が少しでもあるのなら……」


「この話を聞く覚悟はあるか?」


「例え上手くいかなくても…… しっかりと前を向いて進む覚悟を持てるか?」


「それができるなら話してやるって言って話したんだよ」


「そんなこんなで結構時間が経ってから祐真の奴も下界で生涯を全うしてギリ天国行きだったんだが、それでも奴は死神として転生する道を選んでそのまま下界にいた頃同様に解決業務もやり始めて――」


「どっかの誰かさんが散々京子に辛い思いをさせてたってのもあるから、私達も目を光らせておくがお前さんの方でも気にしといてくれ! できる事なら彼女を最初に会わせてやってくれって私が祐真に長期的なスパンで依頼を出しておいたんだよ」


「で、一応リーズの奴は拗らせてたペナルティで京子彼女の後にイステリアから迎えに行かせてやって、それで今に至るって訳だ」


「―― なるほどね……」


「父上には感謝しとけよ」


「ああ、わかってる――」



 おやっさん…… まさか最後の最後までそんな世話かけちまってたなんてな――



 ありがとな…… おやっさん……



「―― とまあ、ここまでがお前が復活したまでの経緯だ…… あの大戦から百五十年もの月日が流れたわけだが――」


「その間の細かい詳細については他の連中からでも追々聞いとけ。 そして――」






「ここからは『現在のお前』の状態についてだ――」



「!!!!っ」

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