第177話 届く! 渾身の一撃!

 ゆっくりと左右に分かれて歩を進めながら仕掛けるタイミングをうかがう閻魔兄妹……


 黒崎達も同様であった。


 そして『災厄』もまた、最大限に警戒レベルを上げる!!


 先程のやり取りで生じた自信の傷の再生に強い力を使ってしまった為、コアの場所が勘付かれた事は『災厄』自身も理解していたからだ。



 仕掛けてくるか……


 想像を遥かに上回る戦闘力とスピードだが、それも理解した。


 仮に先程のが本気でなかったとしても、それでも我には及ばん。


 アルセルシアが後に控えている故、なるべく力は温存しておきたかったが、そうも言ってられんか。


 核の場所も割れてしまったようだし、こちらも余裕はない……



 確実に…… 次で殺す!




 両陣営、極限の集中力の中……








 今!!!








 動き出す!!!











 閻魔兄妹、『災厄』の姿が消え、凄まじい衝突音ともいえる轟音と斬撃音だけが辺りを騒がし! その周辺の景色を破壊していく!



「! 速い!」

「なんてスピードですか!」

「落ち着け! お前らだってさっき仕掛けるまでは多少なりとも目を慣らしてたんだろ! 確かに度を超えたイカれた速さだが、全神経集中させればお前らならなんとか動けるはずだ!」


「タイミングを逃すな!」

「! はい!」

「! ええ!」


 まばたき一つせず三者の動きを追う解決屋チーム!


 そんな中! 激しさを増していく戦いだったが、徐々にその均衡が崩れて始めていく!




「!!っ 流石に手強い!」

「ふふ♪ そうこなくちゃね!!」

「無駄だ! 閻魔一族二人がかりといえど、我とは格がちがう!」


「そのまま我に歯向かった事を後悔しながら死んでいけ!!!!」



 次の瞬間!



「はあああああああああああああ!!!!」


 ドガアアアアアアアアアアアアアン!!!


「がはっ!!!!!!!」


 目にも映らない速さで動いていた三者だったが、まず最初に大王の姿が地に叩き伏せられる形で、その姿を顕現した!!!


「兄上!!!」

「隙あり!」

「! ちっ!」


 バゴオオオオオオオオオオオオオン!!!


「ぐはああああああっ!!!!」


 リーズレットも続けて吹き飛ばされる!!


「~~~!!! 殺人級に、いいのをぶち込んでくれちゃって!!!!」


「まずは貴様からだ!」

「!!!!」

「死ねえええええ!!!!!」

 ! やばっ!

「くっ!」

 リーズレットにとどめの追い打ちをかけようとする『災厄』!

 咄嗟に刀で防御態勢に入るリーズレット!


「いかん! リーズレット!」


 すぐさま身体を起こし、彼女の援護に向かおうとする閻魔大王だが間に合わない!!


 一方、刀ごとへし折りにかかるかの様な勢いで天高くその頭上から、渾身の一撃を振り下ろす『災厄』!!!!


 その時!!


「させるかよ!!!!」

「! なに!?」


 突如リーズレットの刀が光り輝く!!!


 ガキィィィィィィィィィィィィィン!!!


 光輝く『彼』の闘気が、リーズレットの刀に纏わり、強度とパワーが上がった事で完璧な形で『災厄』の一撃を、崩れた体勢でありながらも正面から受けきる事に成功するリーズレット!!!


「! レオン!?」

「! ちい! 雷帝! 貴様がいたか!!」

「へっ! 俺だけ見物してるわけにはいかねえからな! それに――」



「死ぬのはテメーだ! クソ野郎!!!!」


 その声と共に『災厄』の背後に迫る影が一つ!


 ズガアアアアアアアアアアアアアン!!!


 これでもかというタイミングで『災厄』の背後をとり! その頭上から思いっきり宝剣で叩っ斬るは黒崎であった!!!


「ぐああああああああああっ!!!!!!」



 ちいい!!! これでも斬れねえのかよ!!!



「~~っ また貴様かああああ!!!!!」


「ちがうな――」


「『俺達――』だ!」


「はあああああああああああ!!!」

「はあああああああああああ!!!」


 霧島とカエラも黒崎に続く!!

 高速の連撃を『災厄』に放ち続け、狙った方向へと押し続ける霧島とカエラ!!


「!!! おのれ! 雑魚共がぞろぞろと!!!」


「身の程を知れええええええ!!!!!」


「ぐっ!!!」

「がはっ!!!」


 くっ!!!

 やっぱり速すぎる!!!


 あっけなく押しもどされ、倒される霧島とカエラ!


「所詮は雑魚! まずは数を減らす!!」


 二人を襲う『災厄』の無情な一撃!


 だが!!



「させるか!」


 バアアアアアアアアアアアアアアン!!!


「蒼い炎!?」

「! 大王様!」


 間一髪! 大王が炎を放ち! 二人を援護する!


 霧島とカエラ、二人の前に蒼白い巨大な炎が壁となって彼等を守る!


 攻撃を防がれ、腕を引く『災厄』!!


「! 蒼き炎! 防護炎の類か! 小癪な真似を!」


「メチャクチャ痛かったよ……」

「!」

「お返しだよ!!!!!!」


 ガキィィィィィィィィィィィィィン!!!


 リーズレットが怒りの反撃!!!!


 背後から強烈な袈裟斬りを浴びせる!!


「ぐっ!!!!」

「まだまだまだまだああああ!!!!!」


 間髪入れずに連撃を叩き込み続けるリーズレット!!!


「俺等も忘れんな!」

「手を休めるな! 全員でかかれ! いくぞテメーら!!!!!」

「おう!!!」

「おう!!!」

「おう!!!」


 リーズレットの援護に黒崎が! 続けて彼の号令で大王! 霧島! カエラが怒涛の波状攻撃を叩き続ける!!!!


 四対一! いや、レオンも入れると五対一!


 流石の『災厄』も攻めあぐねている!!



 だがそれでも――



「調子に! ――」


「のるなああああああああああ!!!!!」


 自身とその周囲に瘴気による衝撃…… いや! 爆発波の様な物で黒崎達を吹き飛ばしにかかる『災厄』!!!


「ちいいっ!!」

「ぐっ!」

「こんな事までっ!」

「くっ! 全員! 障壁を展開したまえ!」

「遅い!」

「ぐあっ!!!」

「がっ!!!」


 大王の指示を実行する前に『災厄』の追い打ちを受けてしまう霧島とカエラ!!


 致命傷こそ避けたものの、またも倒れてしまう二人!!


「霧島君! カエラ君!」

「オラアアアアアアアアアアアア!!!!」

「! 甘いわあ!!!!!」


 ガアアアアアアアアアアアアアン!!!!


 すかざずフォローの一撃を放つ黒崎!!


 それを難なく受け止める『災厄』!!


 だが黒崎はそれも折り込み済みであった!



「大王様! 二人をっ!! リーズの後に『来ます』!!」


「なに!?」

「! 任せたまえ!!」


 爆発波の直後、隙を見て天高く跳躍していたリーズレット!!


 既に彼女は高速で忍術発動の印を結び終えた後であった!


「雷遁 雷網陣の術!」

「!!!!!」


 網上の電撃で『災厄』を僅かながらでも感電させ、一瞬動きを封じる事に成功するリーズレット!


 まだ続く!!


 着地待たずで更に印を結び終えていたリーズレットが続けて次の術を発動する!!!


「水遁 豪水嵐の術!」


 極太の嵐の様な水の流れが『災厄』を襲う!



 …… かに見えたが、その水は『災厄』を直接襲うというよりも奴の周囲を取り囲み、そして何より注意を引きながら視界を封じるかの様に降り注ぐだけであった!!!


 この間に大王、彼に抱えられた霧島とカエラ、そして黒崎は既に離脱済みであった!!


「!!!っ なにを!?」

「後はよろしく♪」

 最後にリーズレットも、すぐ様退避する!



「ああ、ご苦労だった。 お前達――」

「!!!!っ アルセっ――」

 次の瞬間!!!



 アルセルシアは既に『災厄』の更に遥か後方へと駆け抜けた後であった――



「神撃滅刀――」



 そして時間差を生じて、核のある位置ごと縦に真っ二つにされる『災厄』!!!


「!!!!!!!!!!!?っ」


「ギャアアアアアアアア!!!!!!!!」


 そのあまりの剣の速さに斬られた事、そしてその痛みを後から認識して襲われてしまう『災厄』!!!!




「終わりだ――」



 遂に届きし究極の一刀!!!




 決着なるか!?




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