第175話 閻魔兄妹 VS 『災厄』!!
アルセルシアの眼前にまで迫ってくる『災厄』の魔の手!!!
彼女の傷はまだ癒えてはいない!!
黒崎も動けない!!
どう見てもアルセルシア最大の危機に見えるこの状況!!!
だが!!!
「やれやれ――」
「遅いぞ―― 『二人共』!!」
ガキィィィィィィィィィン!!!
「!!!っ なに!?」
『災厄』の攻撃を、その剣で見事に受け止める二つの影!!!
さらに続く!!!
「極神流一刀術――」
「極神流一刀術――」
「炎獄一刀!!!」
「炎獄一刀!!!」
ガイイイイイイイイイイイイイン!!!!
「がはあああああああああああっ!!!!」
突如アルセルシアの前に現れるは閻魔兄妹!!
そこから繰り出されるは渾身の二振り!!
リーズレットの袈裟斬りと、大王の左袈裟斬りによってクロス状に結ばれたその炎の闘気を纏った重い斬撃によって、大きく吹き飛ばされる『災厄』!!!
だがまだ終わらない!!!
ガッ!!!!
『災厄』がとんでくる方向に霧島が回り込み! その鎌による一撃をその首にお見舞いし! さらに右方向へと吹き飛ばす!!!
「ぐううううううっ!!!!!」
「!!!っ なんて硬さっ!!!」
あわよくば首から先を撥ねるつもりだったけど、やっぱりそう上手くはいかないか!
やはりここは!!!
ズガアアアアアアアアアアアン!!!
吹き飛ばされた壁の瓦礫に埋もれるもすぐに立ち上がろうとする『災厄』!!
「ちっ!! おのれ!!」
「カエラさん! お願いします!」
「なに!」
「やあああああああああ!!!!」
「!!!」
そこへさらにカエラが自身の
そしてそのまま右の刃を『災厄』の口の中へと突き刺す!!!
ガスゥゥゥゥゥ!!!!
「!!!!!!っ」
「まだまだあああああああ!!!!!」
さらにそこから左手で右手をぶれない様に固定して、霊子弾を口の中へと連射し続けるカエラ!!!
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!
「!!!!!!!!!!っ」
「下がって! カエラさん!!」
「! はい! 霧島君!」
霧島の合図で後方へと猛スピードで退くカエラ!!
と同時に霧島! そして閻魔兄妹がオマケで数発斬撃を飛ばし、追い打ちをかける!!
大きな爆煙に包まれ、それに飲み込まれる『災厄』……
まさに常軌を逸した超!! 波状攻撃であった!!
「いや~お待たせして申し訳ない!
「よく持ちこたえてくれたね」
「やれやれ♪ や~~っと辿り着けたよ♪」
アルセルシアの前に立ち『災厄』を吹き飛ばした方向からも視線を外さない閻魔兄妹!
霧島とカエラは黒崎のいる所へと急いで回り込む!
「大丈夫ですか!? 黒崎さん!」
「及ばずながら私達も! 加勢させていただきます!」
「お前ら!」
『災厄』を警戒しつつ、基礎的なレベルだが黒崎に治癒術をかけるカエラ!
僅かに時間ができた黒崎はPSリングから一つ回復薬を取り出し、急いでそれを飲み干す!!
霧島はその間、二人の盾になる様に前に立ち警戒する!!
そして多少なりともといった感じだが、回復し、素早く立ち上がる黒崎!!
「つかお前らメチャクチャやるな!! 特にカエラ! 口の中にあそこまで銃弾乱射するとかって、正直ビビった…… ていうかちょっと引いたぞ!!!」
「引かないでくださいよ!! あんなのに超接近して、こっちはメッチャ怖かったんですからね!!!」
「それに今回は相手が相手なんだから、しょうがないでしょ!!!」
「はは! 冗談だよ! よくやってくれたぜ! おかげで助かった!」
「どうやらガランとイリアは退けたみたいだな!」
「ええ! まあ、色々思う所がある決着のつき方でしたが、なんとか僕もカエラさんも乗り越え! ここに辿り着く事ができましたよ!」
「ええ! そして丁度私達が回復してた時に大王様達とも合流できまして!」
「なるほどね」
何とか合流を果たした解決屋チーム!
だがそんな彼等を見て、アルセルシアが閻魔兄妹に確認をする。
「なんだか予想外の面子も連れてきている様だが…… 大丈夫なのか?」
「彼等も成長しています…… 覚悟も示してくれました。 ここでその想いを蔑ろにするのもちがうでしょう……」
「自己責任でよろしくって伝えてあるから大丈夫だよ~♪ それにちゃんと戦力になってくれると思うしね♪」
そのやり取りを聞こえていた霧島とカエラも、アルセルシアに答える!
「多少の注意を引く事位だったら僕等にもできます!」
「ええ! ですのでどうか! 最後まで付き合わせて下さい!」
「ふっ そうか…… そういう事なら大いに頼らせてもらうぞ!」
「はい!」
「はい!」
「それにもう一人いるよ~♪」
「そういう事だ! 姉御! それに――」
「久しぶりだな! シリウス! 随分でかくなったじゃねえか!」
「!!! なっ!?」
「! ほう! これはまたなんとも!!」
「なんだかよくわからん形で気配を感じるから無事だとは思っていたが…… 陰陽術の類か何かか?」
「そういう事~♪ といっても元の術を大分アレンジかましたけどね♪」
「アルテミス殿も関わっている以上、可能な限り彼にも付き合って見届けてもらわないとと思ってね♪」
「おかげで回復に手間取っちゃって、遅刻しちゃったけど、それは許してね♪ 師匠♪」
「なるほど…… そういう事だったか……」
「なら許す!! いや!! 寧ろよくやった!! でかしたぞ! リーズレット!!」
「確かに、
「〜〜 だー!! もう!! わーってるよ!! 姉御!! みなまで言わないでくれ!!」
その様子を見て、呆れると同時に久しぶりの兄貴分との再会に喜びを隠せない黒崎。
「やれやれ…… そういう事かよ。 まさか刀になってやがるとはな…… どんな再会の仕方だって話だよ!」
「人間に生まれ変わって出てきたお前には言われたかねーよ!!!」
「いやいやいやいや!! 刀よりは全然普通だわ!!!」
「ぐっ!!! 確かにっ!!!」
「…… そういや、この手の術はあいつの師匠の十八番技の一つだったな」
「師匠? リーズレット様の陰陽術の方のお師匠さんですか?」
「ああ、 安倍晴明……」
「昔、下界の日本じゃ、かなり名の知れた陰陽術の使い手だった」
「天国で遊ぶだけ遊んで堪能したら、文明が発達した下界も本格的に楽しみたいってんでもう一回人間として転生したから、もう天界にはいねーが…… こんな事なら引き留めて戦力にでもしとくんだったな!」
「! その名前聞いた事あるかも!」
「私も! その人に師事してもらってたんですか!」
「ああ、といってもリーズの奴は陰陽術の基礎をあっという間にマスターしやがったからそこまで付き合いは長くなかったみたいだがな」
「ってそんな事より…… 引き締めろ! お前ら!」
「わかってます! 警戒は怠っていません!」
「とはいえ…… 普通はこれだけやったら死んでくれてるはずなんですが……」
当然、そんな上手い話があるわけがなく!
さらに怒りを蓄積しながら、爆煙の中から再生を済ませて姿を現す『災厄』!!
「くたばるどころか、ほぼノーダメージじゃないですか!!」
あまりにも理不尽な硬さと再生能力に若干キレ気味のカエラ!
「話に聞いていた圧倒的な硬さと再生能力ですか…… さっき鎌で斬りつけた時、こっちの手がおかしくなるかと思いましたよ。 わかっていたつもりでしたが、これは厄介すぎますね!!!」
「…… 雑魚共がぞろぞろと増えおって!」
「はは♪ そう怒んないでよ♪ 一応初めましてだからね♪ 僕等なりの『軽~い挨拶』だよ♪ 気に入ってくれた?」
「貴様……」
「なるほど、あれが千年以上にも及び、裏で天界を蝕み続けてきた
「うん、そしてやっとご対面ってわけだよ♪ これは歯応えがありそうだ♪」
「閻魔兄妹か…… 先代に勝るとも劣らない覇気…… 先程の一撃といい、大したものだ…… まあ、それでも我の敵ではないがな」
「ふふ、そうかい? お会いできて光栄だね…… と言いたい所だが、正直こちらとしては虫唾が走るってところかな。 『災厄』殿」
「そうだね♪ それに正直、武人として、そして剣士として、できれば誇り高き
「仕方ないから君で我慢してあげるよ♪」
「そういうわけで兄上、先陣は僕がきらしてもらおうかな♪ 直接ぶつかっての戦力分析もしたいしね♪」
「よく言う…… 少し前から気配を消して潜んで、奴の動きを観察し、眼も慣らしておいたクセに……」
「割とすぐにバレてたみたいだったよね~ 流石師匠♪」
「って、さっきからいたのかよ! お前らも!」
リーズに怒鳴りつけ、さらに霧島とカエラを睨む黒崎!
まあ先程まで、最悪の相手に孤軍奮闘していたのだから当然と言えば当然である。
「そ、それは~!!」
「だって! リーズレット様がっ! ね! 霧島君!」
「そうそう! そうなんですよ!」
「僕のせい!? まあ、発案は僕だけど♪」
「でもそうは言っても三分位前からだよ♪ だからそんな怒んないでよ~ 修二~♪ 師匠も♪」
「いやはや全くもって申し訳ない! 力を消耗する前に我等も『災厄』の戦力を分析しておく必要があったものでね!」
「僕等閻魔の力も、この戦いには大いに必要になってくるだろうし、いくら奴の動きを見切ったとしても、その頃にはもうほとんど消耗してたってなってたら、もうどうしようもないからねえ」
「まあ、そう考えての事だろうとわかってたから私は別にかまわんがな」
「ぐっ! わーったよ! その代わりしっかり働けよ! お前ら!」
「もっ! 勿論ですよ!」
「全力でサポートします!」
「ふふ♪ 当然♪」
「そうさせてもらうよ! それとリーズレット!」
「先程の一人で先陣をきるという話だが、奴は武人でもなければ剣士でもない! まあ、ちょっと位、一対一でやりたい気持ちもあるのだろうが、今回はこれ程までの相手と状況だ……」
「それにこう言っちゃなんだが、せっかくの機会だ」
「ここは久々に兄妹仲良く! この兄と剣の
「! ふふ♪ それもいいね♪ のったよ♪ 兄上!」
「そうこなくちゃ!」
そう言って閻魔兄妹が並び立つ。
そして小声で大王はアルセルシアに託す。
「師匠…… 奴の隙は我等が作ります…… 師匠はそこに
「うむ」
「霧島君とカエラ君は隙を見て修二と一緒に一旦師匠の所まで下がって! 警戒と観察を怠らない様に!」
「はい!」
「はい!」
「さあて…… ふふ♪ いいねぇ♪ こんな時だってのに僕♪ ワクワクしてきたよ♪」
「やれやれ…… 戦闘狂もここまでくるともはや病気だねえ。 我が妹よ」
両手を広げ、溜息交じりに言う閻魔大王。
「これはまだまだ嫁入りは先かなあ」
「僕はいつでもウエルカムだよ♪ 修二♡」
「……(無視)」
「僕はいつでも!!!! ウエルカムだよ!!!! 修――」
「うるせえな! 聞こえてるよ! 聞こえた上で無視してんだよ! 二回言うな! 馬鹿!」
「なに~♪ またテレてるの~♪ 全く可愛いとこあるんだから~ 修二は~♪」
「テレてねえよ! いい加減その自分主義なポジティブ思考どうにかしろ!」
「おうおう♪ シリウス! モテモテじゃねえか! 京子って女と、どっちが本命なんだよ!」
「僕だよ!!!」
「って、なんでお前が京子の事知ってんだよ!!!」
「ああ、ここ来る前にちょっとな!」
「しっかしお前…… 独特な好みしてんな〜! 確かに二人共、『黙っていれば』超絶美人だし、胸もでけぇが…… お前、確実に苦労するぞ…… 尻にしかれる事間違いなしだな! ははは!」
「オメーにだけは言われたくねえよ!!」
「なんだと! この野郎!」
「うっせー! ばーか!」
「ばかって言う方がばかだ! ばーか!」
「オメーの方がばかだ! ばーか!」
「本妻は僕だよ!!!」
「はは♪ いや〜、元気だねえ! 三人共♪ 正直僕はとっとと片付けて、いい加減、茶でもすすってゆっくりしたい気分なんだが……」
「何言ってるの? 兄上? どのみち戦後処理で暫くは大忙しだよ~ 特に兄上は~♪」
「やめて! 現実にもどすの! 言葉にしないで! わかってるから!!」
これだけ騒いでいても全く隙も見せなければ、逆に相手の隙を伺っていたりと観察も怠っていないのは流石の閻魔兄妹! 雷帝! そして黒崎であった。
まあ、会話の内容は割とマジなのだが……
ちなみに霧島とカエラはこのノリについていけず、アルセルシアは笑いを堪えていた。
「はあ…… やれやれ…… まあ、戦後の処理はともかくとして、その前に――」
「ああ…… そろそろ世界を脅かす大魔王退治と洒落込もうか♪ 兄上♪」
ここで眼が本気になり、完全な戦闘モードへと移行する閻魔兄妹!!
「どいつもこいつも…… 舐めおって…… いいだろう!! そこまで我の邪魔をしたいというのならば、まず貴様らを殺してから!! アルセルシアを始末してやる!!」
「ふふ、怖いねえ」
「やれるものならやってごらんよ♪」
最後の戦い―― 第二ラウンド!!
閻魔兄妹 VS 『災厄』!!!
―― 開幕!!!
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