第2話 神との出会い

「…ここは何処だ?」


 先程、俺は死んだ。


 筈だったが何故か何もない部屋にいる。


「おーい…誰かいないのか?」


 あまりに何もない空間であったので誰かいないか声をかけてみるも返事がまるで聞こえてこない。


「参ったな…こんなとこが所謂…天国?ってところ?いや地獄か?」


 動くなとも言われてないので好きにしても構わないと勝手に解釈した俺は好きにふらふら歩いていた。


 まるでどの台の座るか迷っているあの瞬間の様に


「君、やっと起きた?」


「は!?」


 歩いていたら目の前…いや、上にボサボサ髪の金髪で真っ白なコートを着た男が当たり前の様に浮遊しながら俺に向かって話しかけてきた。


「いやぁ。災難だったね?僕も見ていたよ?君がホールで頭ド〜ンと撃たれてそのまま死んじゃったあの光景を」


「やめてくれ…せめて死ぬならかっこよく死にたかったよ…」


 最後の死に様をギャグシーンみたいに語られるところを俺は下を向きながら聞くことしかできなかった。


「というかあんたは誰なんだ!?俺をこんなとこに連れてきやがって…」


「あぁごめんごめん。僕はね?神。分かった?」


「はいはい神ね…じゃねぇよ!?なんで神が軽々しく出てきてんだよ!?」


 この男の正体は神らしい。だが神々しくもなくただチャラチャラしただけの軽い自己紹介を秒で済まされた。


「いやぁさぁ。ちゃちゃっとこーいうのは済ませて起きたいっしょ?」


「そうですね…もうなんなのか分かったんで早く成仏させてください…」


 神が出たとなるとここで晴れて天国とかに行けると思い込んだ俺は神を前にして成仏を志望した。


「そうしたいところは山々なんだけどね?君、死ぬ間際になんかの不具合があったみたいで死んだっちゃ死んだんだけど完全に死には至らなかったの」


「え?じゃあ生き返る事ができるのか?」


「いやそれは無理。肉体は死んじゃったから。常識的に考えて無理でしょ」


「うん知ってた」


 こんな誰もいないところに来てしまったのは何かしらの理由があるにちかいないと薄々勘付いてはいたが、神の説明からして適当ではあるが理由が存在したので多少不満はあるも納得はした。


「でさぁ。生き返る事も無理で成仏する事も無理になっちゃってる訳。退屈してこない?」


「まぁ…ここにずっといるのも嫌だな」


 今の説明からしてこのままの状態でいれば間違いなく一生この何もない場所にいさせられるのだろう。


 俺的にはそれはそれで嫌だったので低いトーンの声で頷きながら神との会話を続けていった。


「せっかくだしさ?異世界、行ってみない?」


「異世界…大丈夫なのか?そこ?」


 完全に遊びに行かない?のノリで異世界に勧誘されたが、当然ではあるがそんな場所に俺は行ったことがないのでかなり疑心暗鬼になりながらも話自体は聞くことにした。


「だいじょーぶだいじょーぶ。ある程度の事は僕が保証するし、何もない場所にずっと居続けるのも退屈でしょうがないでしょ?それよりは異世界に行って第二の人生歩んだ方がマシでしょ?」


「言われてみれば…ここよりはマシかも…」


「でしょ〜?」


 何かありそうな気配はするけれどこんな機会、普通じゃ味わえない。


 だから俺は決めた。


「分かった。異世界、俺行くよ」


 異世界に行く決意を。

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