第10話 魔力暴走をおこしちゃお☆ 3






魔力暴走……一体どうやっておこすんだ?


魔力を動かすにはイメージが大切なのだということはわかった。

わかった。のだが……


肝心の魔素を動かす方法がわからない。


魔力を動かすためにイメージが大切だということは、きっと魔素もイメージが大切なのだろうが……


「――ふぬうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……!!!!!」


魔素の吸収をイメージしながら踏ん張ってみても何も起こらない。


はて、どうするか。


《もう少し詳しくイメージすることをおすすめします、主様マスター


妖精AIが言う。


イメージを詳しく、というと……原理とかか?

でも私、魔素がどうして吸収できるか知らないぞ。


《魔素が吸収できることに原理などありません。イメージがすべてを起こすのです》


げ……原理などない……だと?

……ということは、原理なども私の想像がすべてだということか。


んじゃ、設定げんりを考えよう。


まず、魔素とは何か。どのように存在しているのか。


これは別に、空気中にふよふよ漂っている、だけでいいだろう。



次に、どこで魔素を吸収しているのか。どうやって吸収しているのか。については……


……毛穴という毛穴から?

いや、それはやめよう。

毛穴が破裂しそうな気がする。


うーん、じゃあ……呼吸?

うん、いいな。呼吸なら危険もないだろう。


さっそくやってみる。


呼吸とともに少量の魔素を吸い込むイメージで、深呼吸……


魔素は肺を通り、魔血管を通って魔心臓へ。

そんなことを想像しつつ、深呼吸を続ける。


すると、魔心臓の部分が少しずつではあるが暖かくなり始めた。

成功である。


おぉ……!! やっぱり呼吸のイメージがよかったのか。

ちなみに、呼吸については某鬼退治の兄と鬼になってしまった妹の漫画を参考にした。




魔素の吸収がうまくいったので、やっと魔力暴走の時間である。


よっしゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

魔力暴走だああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!



――……こほん、少し取り乱した。





というわけで魔力暴走である。


さっきよりも多めの魔素を吸い込むイメージで深呼吸を始める。


……だんだんと魔心臓が暖かくなり始め、最終的に熱くなる。

それからまた少し時間が経つと、胸が圧迫され呼吸が苦しくなる。


……ッ……! これで、魔素の吸収はもう、終わりでいい。


次の、ステップだ。


この吸収した魔素の制御を放棄……ッ……!?



「痛ッ――くない……?」


……思わず「痛ッ」などど言ってしまったが、そうでもなかった。


いや、はじめはね?一番最初はピリッて、ピリッてきたんだぞ?

だが、痛みはそのときだけであとは痛みを感じなかった――というだけなのだ。


《それは私めが主様マスターの痛覚を制限していたからです》


……えっ。

そんなことができるのか。



怖っ。




まあそこは置いといて……。


成功したぞ、魔力暴走……!!

これで魔力の最大量が増えたはずだ。


私はわくわくと胸を高鳴らせながらステータスをひらいた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【個体名】 ヴィオラ=ベルベット

【種族名】 人間

【魔力適正】風 魅了 音 夢 糸 情報 付与

【魔力量】 200/200

恩恵ギフト】  魔法 精霊の耳 精霊の声 精霊の瞳 精霊王の寵愛 狂月猫ルナティック・キャットの因子 

【固有術式】魔装

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


お、おおぉ!!

一気に100も最大魔力量が増えているぞ!


あんまり苦しくもないし儲けものだな。

なぜ、みんなやらないんだろう。


《魔力暴走はそんなに軽々しく起こせるものではありません。苦しくないのも私めが痛覚、苦痛を抑えているからで、普通は高熱と痛みにうなされ、生きているのも辛い状態となります》


お、おぉう。

結構辛いもんなんだな。


ということは、妖精AI様々ということだな。


ま、他人のことなんて私には関係ない。

これからは毎日一回は魔力暴走をおこすようにして、魔力をめっちゃ増やすようにしよう。


そうすれば、死亡エンド回避につながるはずだ。

……と思いたい。

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